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自分語りな自己紹介~少年期完~




開けても暮れても”仲間”と一緒にいる毎日。”街”に繰り出せばケンカにカツアゲ。別チームとの乱闘騒ぎ。いつしか僕は地元の不良の有名人。
親からも学校からも見放され、みるみるうちに”悪”に染まり悪行を重ねに重ねて。何人の人を傷つけ、何人の人を泣かせたのか・・・

やっぱり神様はちゃんと見ていますね。”罰が当たる”んです。例外なく悪行をする者には必ず。

ある日の夜でした。たまり場で何人かと飲んでいました(コーラですよ笑)

”ドカドカドカドカ!ガチャ!”飛び込んで来たのは幼馴染の仲間”F”です。
「や、ヤバい!隣町の連中に、○○に、Y君がやられた!”袋”にされたって!」袋叩きです。一気に緊張が走り全員固まります。

「今病院運び込まれて手術してるって!やべーよ・・どうしよう・・・」
「M君は!?M君は知ってるのその事!?」と、ガッつく僕。
「うん!今何人かで病院向かってるって!あーやべーぞーっ!クソッ!」
「皆で病院に行こう!」僕が切り出します。

「あーダメダメ!こんな状況だし、病院に警察何人も来てるから、俺達は来るなって!あーどうすりゃいいんだよ!」イライラと、何もできない歯がゆさが僕達を襲います。”なんで今日に限って一緒にいなかったんだろう”僕は罪悪感で一杯になりました。”ごめんねY君・・・ごめんね・・・”

            ~復讐~
何もできず、ただ”ポケベル”が鳴るのを待ちました。長い、永遠とも感じるとてもとても長い夜でした。
「ブーッブーッ」 「H君からだ!何々・・49620485131203」解読するとこうです。「至急病院」
大至急、僕とFが病院に向かいました。「頼む・・死なないで・・・」     

Y君が運び込まれた病院は僕の住む街の外れでした。半泣きで病院に到着すると、そこにはタバコをくわえたM君、缶コーヒーを飲むH君、しゃがみ込み下を見つめたままのR君、そしてY君の家族がいました。

「わざわざありがとうね。Yは心配ないから。少しだけ入院するけどね。皆本当にありがとう。」Y君のお母さんの言葉でした。膝から崩れ落ちた僕は、安心と喜びで泣き叫びました。M君が頭を「ポンポン」としてくれました。「良かった・・本当に良かった・・・」

Y君の家族を見送り”メンバー”だけになると空気が変わるのが分かりました。”いつ行く?”それまで沈黙を貫いていたR君が煽ります。
「明日だ。明日、○○の居そうな場所端から潰す。メンバー全員に集合かけろ。あ、それから”S”と”J”には俺が直接行って話付けてくるから。アイツらも全員集合かける。メンバー集まったら俺んち来てくれ。」


あれ?”S”さん”J”さんて別チームの”総長”だよな?ん?普段敵対するチームを呼ぶ・・・?どういう事?頭の中で「?」が駆け巡りました。
「またな。」と言い残し紅白の”CBⅩ”でM君が動きます。
「じゃ俺も。」R君が続きます。

「オイ!オメーぶるってんのか?」H君が僕にひざ蹴りをします。
「とりあえず帰って寝ろ!明日は”祭”だからよ!備えとけ。んじゃ。」
相変わらずなH君。・・・どうなるんだろう。”武者震い”僕は完全にビビッていました。散々悪行を重ねて来ているのに”怖い”のです。
胸騒ぎにも似た息苦しさがとめどなく押し寄せていました。

何とかたまり場にたどり着いた僕とF。待機していた仲間達が一斉に口を開きます。
「Y君は?」 「どうなった?」「死んでないよね?」・・・
「うん!大丈夫だったよ!少し入院はするみたいだけどね。心配ないって。Y君のお母さんも、M君もそう言ってた!」
「良かったーっ!」安堵する仲間達。”A”も涙目でニッコリでした。
「ただね・・・」 ・・・「ん?」一斉に僕を見ます。不安が伝わってきます。

「明日ね、乗り込むみたい・・全員で隣町。」・・・「当たりめーだろ!誰が仲間やられて黙ってんだよ!そいつら潰すまで帰って来るんじゃねーぞっ!ったく!オメーらそれでも○○○か!?どいつもこいつも情けねー顔して!この、根性無し!」”バタンッ”不甲斐ない僕等を一括した”A”でした。
キレたAを初めて見たのもこの日でした。

”M君”の家に到着したのは、夕方17時くらいでした。いつもとは違う空気が辺りを覆いつくしていました。
見覚えのある顔ぶれの中に、違和感のある”真紅”と”純白”の特攻服まとった集団がいます。

いつもは敵対する、2チームでした。昨日の夜、M君が話していた”Sさん””Jさん”が率いるチームの面々です。普段は敵対するチーム同士ですので、自然に”眼”~ガン~の飛ばし合いが始まる訳です。物凄い威圧です。


真紅の特攻服軍団○○の総長Sさんは身長180㎝以上あるイケメン
純白の特攻服軍団○○の総長Jさんは小太りな体格にパンチパーマ
これだけでも充分に迫力があるのですから、メンバーが加われば尚の事です。

普段はだだっ広い集合場所も、この日ばかりは”単車”と”メンバー”で溢れ返っていました。それほどの人数が集結したのです。
”総長3人”が集まり、何か打ち合わせをしています。その周りを各チームの幹部が取り囲みます。

「ヨーシ全員聞いてくれ!」M君が声を荒げます。”ざわざわ、ざわざわ”
「皆が知ってる通り、昨日うちのYが○○の連中に袋にされた。重傷だ。
顔面に木刀背負わされ全治3ヶ月。ヒデーもんだ。今からお礼参りに行く。昨日の今日だ、相手も相当な準備態勢でいると思う!無傷では戻って来れない。今少しでもブルってる奴がいるなら降りてくれ。うちらを、うちら地元○○を舐めた奴らを”皆殺し”にする!いいな!」 「押ーー忍!!!」

なんでも僕達の総長M君とSさんJさんは、元々高校が同じで一緒につるんでいた仲のようで、たまたま地元の先輩のいる”暴走族”に別々にスカウトされ離れているんだけで、先輩方も”地元同士仲良くやれ”とそういう仲だと聞かされました。なんか文章が分かり辛くてすみません(汗)

だから総長同士は仲がよかったんですね。いがみ合うのは僕等”下っ端”だけだったんです笑。

M君の掛け声と共に、耳を塞ぎたくなるような”轟音”が響き渡ります。地響きです。脳天を突き刺す様な凄い爆音です。
”その”大群が数十キロ離れた隣街へ向かいました。”仲間”の”兄弟”の復讐の為に・・・

街に近づくとそれぞれの配置に散らばります。事前に総長3人が立てた計画通りです。”片っ端から”なので敵が居そうな場所は全てです。
”デパート” ”ゲームセンター” ”駅前” ”公園” 思い当たる場所全部です。
そこで目に付いた”不良”達に声掛けします。

「オマエ等○○のメンバーか?」と。そこでそうだと分かれば”ワンパン”です。そして他のメンバーがいる場所を聞き出すのです。中には汚い奴もいて
「違う」と白を切るんです。目が泳いでるのですぐ分かりますが笑「上等だ!」と抵抗してくる奴もいます。
関係ありません。”皆殺し”ですからこっちは。ボコボコです。ボコボコ。

なかなか”本体”にたどり着けないもどかしさに、イライラが募り始めます。
「もうこの辺は一通り潰した。他の部隊も同じだろう。後はMが向かってる
”○○公園”だな。向かうか。」Sさんが言いました。「押忍!」

「やけに静かだな・・・」直感が走ります。もっと仲間と合流してもいいはずなのに誰とも合流できません。
「何でだ・・・?」他のメンバーも同じ感覚だったと思います。
○○公園が目の前に見えたその時です! 「逃げろーっっっ!!」M君の叫び声でした・・・

見渡す限り警察の群れです。何十いや、何百人もの警察がいたのです。
「ウワァァァァ・・・!」辺りは完全に包囲され逃げる隙間なんてありません。”ガシャン!バキバキ、ドカドカドカドカ!”一溜りもありません。
”ガチャ!”「○○時○○分逮捕ーっっ!」「うぅぅっ・・・」
終わったのです。Y君の仇も討てないまま・・・悔しくて悔しくて涙が止まりませんでした。”ごめんねY君・・しくじっちゃったよ僕・・ごめんね・・”

集団危険行為、凶器準備集合、道路交通法違反”僕に下った罪状でした。
逮捕、留置されたのです。

着替えを差し入れしてくれた母親が泣いていました。
何日か留置された僕は捜査機関の車両で”家庭裁判所”に移送されました。
これ程の悪事をしてきたのですから”鑑別所”送致は覚悟していました。

「保護観察処分」鑑別所送致ではなく”保護観”が下されました。
”保護司”と呼ばれる指導監督の元で月に数回、保護司と面会し、近況報告をします。その際に保護司から指導を受けていくのです。
指揮を執っていた”M君達”幹部連は”保護観”では済まず、鑑別所に送致された事を後から知らされました。

幹部連が鑑別から戻る間、保護観や処分保留となったメンバーで集合し、
チームの今後を話し合いました。
単車は没収され集会はできない。チームを潰す訳にはいかない。”幹部連は”少年院に行くかも知れない。まだ復讐も終わっていない・・・”どうすればいいんだよ・・・”
M君達が居なければ何もできない、ただの”指示待ち”小僧だったのです。

そんな窮地を救ってくれる”漢”が現れます。”M君”の親父さんです。
単車を没収されてしまった僕等は、M君の家に残されたわずかな単車を修理、メンテナンスしていました。そこへ親父さんが現れたのです。
「オウ!小僧共!またバイクか!ほら、コーヒーでも飲めや。」
「あ、すんません!」
「いやー笑さすがのおまわりも今回ばかりは見逃しちゃくれなかったな!」
「はい・・・」
「なぁに、男なんつーもんはやんちゃするくれーの方が華があるっつーもんよ笑!」
「あ・・・はい。」
「Mも年貢の納め時てやつか!年少だろうな!まぁ修行みたいなもんよ笑」
「そ、そうっすか・・・」
「仲間の仇討ちに行ったんだから大したもんよ!仲間てのはそうじゃなくちゃな!」
「そうっすね!」
「オウ!いいかいオメー達よーく耳の穴かっぽじって聞けよ!」
「はい、なんでしょう・・・?」
「Mがいねー今だからこそ、オメー達が一つになって守るもん守んなくちゃいけねーんだな。守るもんてのは色々ある。分かるな?俺もこの会社を立ち上げて何十年だ。それには俺一人の”力”じゃ不可能だよな?それには仲間の力がなくちゃダメだ。Mもバカじゃねぇ。ただ闇雲に仇討ちに行ってねぇ。最悪の結果も想定しての仇討ちだろうな。自分がパクられて年少ぶち込まれても、任せられる仲間がいるからとった行動だろう。後は分かるな笑!」
「はい!忠告ありがとうございました!」 「オウ!」
余りにも大きなその背中は、僕等の心を揺さぶり奮い立たせてくれたのでした。

”M君”が帰る迄は自分達だけでチームを守り抜かないと。”Y君が入院する病院には毎日通い、数少ないバイクと残されたメンバーでアピールを続け、敵対していた地元のチームと一緒に走り活動し続けました。

そんな毎日の中で、僕は卒業を迎えます。三年間ろくに通う事の無かった中学校の”卒業”です。式に出るつもりは全く無かったのですが、メンバーの強い進めもあり、出る事に決まりました。

式当日は特攻服を着て、メンバーに単車で送ってもらいました。
クラスメイトと簡単な別れをして外で待ってくれていたメンバーの単車で帰りました。”涙”も”言葉”もない、そんな卒業式でした。なんの意味もない”卒業”でした。卒業写真も卒業文集もない”空白の三年間が終わっただけでした。明日の事は分からないけど、何となく生きていくよ。それじゃあね。また会える日まで。

さようなら。僕の義務教育。さようなら。上部だけのお友達。
さようなら。秀才気取りの大人たち。お元気で・・・。

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