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忘れられないLive【番外編】ボーカルライブ-1度だけの願い-


どーも、Yossi-です。

前回で終わったはずのシリーズ、いきなり復活するパターンで今回はお送り致します。

Instagramを見て下さってる皆様にはストーリーズで出したんですが、もう既に新章にも着手はしております。


ですがそっちにちょっと時間をかけております。

長くお待たせしてしまうのも何なので、番外編を作ってみました。

時系列的にはDay7〜Finalの間の10年間の間にあった事です。
これまでのシリーズとの関連性も特に無いので、重苦しい空気が出る事もなく気楽に読んで頂けると思います。  


では、よければ最後までお付き合いください。



時は2016年。

僕は新しいオリジナルバンドの始動に向かっていた。前のバンドが無くなり、それからは色々あって音楽を辞めようとした事もあったけど、やっぱり辞めていなかった。

少し時間はかかったが、これから新しい夢に向かう。
それまでの時間は割と音楽活動は自由で、助っ人にも数々参加していた。

この年の活動はカバーバンドばかりだが、そのうち一つには僕主導の案件もあった。バンド未経験のボーカリストをステージに上げてやると約束し、知り合いのバンドマンを召集して作戦を無事に終わらせたイベントもあった。

そして、その時招集したメンバーからの打診で僕は社会人音楽サークルに入ってライブに出る事になった。その場には初めてのライブで温かい人達に支えられ、僕はすぐに馴染む事が出来た。

そのイベントは楽しく、個人的に1番魅力を感じていたのが初心者プレイヤー、ライブ未経験者、バンドがやりたくてもなかなか組めない人のバックアップ体制が整っていた事だった。


僕もそんな雰囲気は好きだ。そして何を思ったのか、そんな環境なら自分も気兼ねなく初心者パートに挑戦出来るんじゃないか?と考えていた。

ドラム歴も10年を超えた。それで向上心が無くなった訳ではないが、相変わらずドラム専属のプレイヤーである事には変わりがない。もしそんな事が出来るなら俺は何がやりたい?

もうすぐオリジナルバンドも動き出す。そうなったらさすがに、バンドの初動は助っ人活動も控えてそっちに集中しようと思っていた。

そんな今の状況。チャレンジするなら今しか無い…と思い立ち、僕は行動を起こす事にした。

僕の希望パートは「ボーカル」だった。

10年間の活動歴があれば、カラオケの延長で挑戦出来る気楽なパートではない事ぐらい知っている。カラオケには「歌を上手く聞こえさせる」マジック要素が多数仕込まれているからだ。

自分は1人でカラオケに行くのも好きだ。単純に声を出してストレスを発散し、好きな曲を歌って楽しみに浸りたい気持ちが1人で行く主な理由なのは間違いない。

昔はカラオケなんて大嫌いだったが、音楽が好きになってからは行くようになり「上手いやん!」って言われてその気になった事もある。
楽器が出来なかった時には友達と夜遊びに出てアコースティックギターを弾いてもらい、外で歌うのが凄く楽しくて「バンドのボーカル俺な!」なんて言っていた記憶もある。今はドラマーとなったが、いつかボーカリストとしてステージに立ってみたい気持ちもあった。

昔のバンドでボーカルにドラムを叩いて貰ってフロントに出て煽りをやった事はある。
もっと前には大学の軽音部の新歓でボーカルをやった事はあるが、経験はその程度で今やりたい気持ちが強い。自分の欲を満たしたい気持ちが強いのが1番だが、たった一つだけ真面目な理由もあった。

「フロントマンの気持ちを知りたい」

ドラマーとフロントマンでは、観ている景色、聴こえている音もまるで別物だ。むしろ僕はドラムセットが定位置だからこそ落ち着けるのかも知れない。そういった気持ちを知る事が出来れば、今後にも生きるはずと考えていた。

僕はボーカル希望でエントリーを提出し、ドラマーが足りないからやっぱりドラムをやって欲しい…と言われない事を願っていた。ドラマーが貴重だとは今は思わないが、ボーカリストに比べれば絶対数が違う。本来ドラマーで届出を出しているサークルには迷惑な話かも知れないが、無事に僕の希望は通り初のメンバーとの顔合わせの日になった。

とはいえ…僕にはこれが歌いたいってものがなかった。
これで少しメンバーを困らせてしまった。自分の好きな曲ばかりなのも違うし、特にドラムが難しいと知っていたら安易に提案する事も出来ない。正直な気持ちを言えばあるにはあるが、そのバンドの曲は難易度が高く、とてもじゃないけど提案出来なかった。

だけど、その不安が現実のものとなった。

「SIAM SHADEにしよう」

何故か流れでそう決まったのであった。

筆者はこの当時、大好きでした。この1年前にはさいたまスーパーアリーナでライブを観て泣きました。


それならドラムの方が…という気持ちはさておき、こうなった事は僕が1番驚いていた。

更には僕がSIAM SHADEで1番好きな曲「Dear…」もプレイリストに入った。こんな事があっていいのか?
予想外の事態に僕はそれから何度も1人でカラオケに行くようになった。

幸い、このおかげでボーカルの難関「歌詞が覚えられない」を突破した。擦り切れるほど聴いた自負があるバンドの曲構成は完璧に頭に入っており、カラオケを何度もやるうちに歌詞もほとんど頭に入っていた。

SIAM SHADEはどちからといえばマイナーなバンドでもあり、一言二言間違えたぐらいなら誰も分からないだろうという余裕もあった。それを間違えて悔しいのは「ファンとして」だ。

スタジオに行くにも重い機材を運ぶ必要もない。毎回荷物は軽く、スタジオが多少遠くても何とも思わなかった。だが、回を重ねる事に壁が立ちはだかった。

「声が出ない…」

練習中の話だが、2度同じ曲を繰り返すのが厳しい曲があった。スタジオの時間が長くなればなるほどその負担も増していく。僕はドラムならコンディションが良ければ長時間の練習も出来るが、ボーカルはここが厳しかった。

僕は昔のバンドの時は精神論、根性論で育って来た面もある。
バンドの練習で3時間程練習して「まだやりたい」って言った事もある。おそらくこの状態のボーカリストがメンバーから「まだやりたい」なんて言われたら殺意が湧くかも知れない。自分がこうなった事で、あの時の無茶振りに気付く事になった。

そして本番。リハーサルも問題なくこなし、後はその時を待つだけだ。
歴代のバンドのボーカリストがよく言っていたのは「本番の日の食事の時間」の事だった。ドラマーの時は見境なく本番直前でもいつでも食べていたが、今日は違う。少しその事が生きた瞬間だった。

そして本番。いつもとは違う緊張感でステージに上がった。


曲は歌えたが、立ち振る舞いに感じては全く出来なかった。
マイクスタンドを置いて貰ったのに結局使わず、頭の中が混乱して思い描いていたパフォーマンスも緊張に負けて全く出来なかった。

やはりお客様を盛り上げる事も出来なかった。
最終的には、僕で白けさせてしまったかも知れない…と思っていた。

良かったよと言ってくれた人はいたが、僕には出来なかった反省の方が勝った。


また、この日は実力派ドラマーが多く、色々な話を聞く事も出来たが、そんな事を聞くとやっぱりドラムの方が良かったかも…という気持ちもあった。


打ち上げを終え、いつもの10倍軽い手荷物を持って帰りの電車に乗って考えていた。


ボーカルは本当に大変なパートだ。

これまでのバンド活動でボーカルが我慢してくれただけで、実は無茶を言っていた瞬間が多数あったんだろう。

そしてフロントの緊張感はドラムとは全く違う。どんな状況でも全力でフロントに立っている人は偉い。

だけど上手くやれればあの景色は最高なんだろうな。
そんな事を考え、これからはフロントマン、特にボーカリストには敬意を持って接しようと決めた瞬間だった。


後日、ライブのDVDが出来たので取りに行った。

家に帰って恐る恐る再生した。


「うーわ…」




今回も最後までのお付き合い、ありがとうございます。

これを書いても対して…って思ってたんですが、意外と書けてしまいました。

結局、やはり僕にはドラムが合ってるな…って思いました(笑)
もうあれから6年経ちましたが、よく考えたら結構大きな経験でした。
あれからはたまにドラムコーラスをするくらいで、たまにオープンマイクでノリでマイクを握る事もありますが、基本的にはご無沙汰です。

歌も自力で伸ばすのは無理だな…と思っている節があります。今、ドラムで師事を受けている事もあり手が回らないというのもありますが、時が来たとなったら一度習いに行きたいなとも思っています。

私事ですが今年8月にアコースティックギターを中古屋で購入し、それもたまに弾くようになりましたが難しい…

今は割と気楽な立場なので色々新しい事にも手を出してますが、専属のドラムがもっと出来るようになりたい気持ちが1番強く…

一気に色々やるのは苦手です。時間があってもなかなか難しいと思います。

さて次回には新章を届けられると思います。
今日も最後までのお付き合い、ありがとうございました。

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