見出し画像

2020年で学んでよかったものの振り返りと、2021年に注力するものについて

こんにちは。2020年がもうすぐ終わりますが、ファイナンスと法律に関して詳しくなろうと意気込んだ年でした。この記事では2020年に学んだものの中で、特に今後の人生全般にも複利が効きながら役立ちそうだと思ったものを列挙していきます。            

1. 孫子

孫子は3冊購入して電子版も購入しました。それくらい気に入ってます。

おおよそ2000年前の人が書いた文献です。古典は新しく出てくる本と比較されてきた上で今でも人気があるものなので、研ぎ澄まされている情報が多いと思っています。2000年間兵法書として残り続けている孫子ですが「戦いにどう勝つか」といったことが端的に書かれています。

例えば「百戦百勝よりも戦わないで勝ったほうがいい」という価値観や「まず負けない体勢を整えてから相手を崩そう」といったことが書いてあります。多くの人はアニメや漫画で育つので「一発逆転」や「仲間が助けてくれる」といったものがかっこいいというストーリーに触れることが多いですが、孫子は「戦いは化かしあいである」とも言っています。おそらく悪役の発言です。

しかし、イチロー選手は「準備は、言い訳を排除すること」という発言を残していたり、ナポレオンが各個撃破を重ねて連戦連勝していた(孫子も「我は専もっぱらにして一となり、敵は分かれて十とならば、これ十をもってその一を攻むるなり。すなわち、我は衆おおくして、敵は寡すくなし」と言っている)ています。

こういうのを鑑みると成功している人はまず負けない体勢を作ったうえで勝てるところで勝つことに重きを置いてると予想できます。この仮説を検証するために、まずは負けなさそうな体勢を作るということを意識していました。

ナポレオンの各個撃破は「ランチェスター戦略」の例として紹介され、経営学で「小さな会社は局地戦を仕掛けてニッチな市場でNo.1を取れ」といった様に教えられます。

しかし、ビジネスに活かすことを前提に考えると、2000年前に書かれた孫子のごく一部をそれっぽく焼き直したという風にも考えられますので、要旨のみが記載されている孫子の兵法が2000年も残っており、抽象的な表現が多いため、ビジネスに落とし込むことができるとも言えます。


2. 会社法

会社法は学んでよかったものの1つです。勉強した結果、事業家やまともなビジネスマンを志している人間が会社法を学ばずにビジネスするのは丸腰で戦いにいくようなものだなと思いました。

株主、経営者、従業員、監査など、それぞれのバランス感や関係性、株主総会の意義やそれぞれの立場の権利、責任、義務、それらが頭に入ってようやくビジネスの話に入れます。

特にスタートアップであればエクイティファイナンスを活用することが多いので、外部から株主が入ってくることがどういうことなのか、社内の複数人が理解しておく必要があります。理解がないままとりあえず第三者割当でというファイナンスは起業家を一気に不利にさせる可能性があります。

会社法を勉強しないと「取締役」と「執行役員」の違いも理解できないので、ビジネスをまともにやりたいと思う人は学生・社会人問わずおすすめできます。



3. ファイナンス

2020年の中旬からファイナンスブログというものを作成しています。内容としては資金調達方法やファイナンスの事例をわかりやすく紹介するというものでした。

ファイナンス(財務)自体は「資金の調達とその適切な投資」という認識でした。決算を読む習慣は2年前くらいからついていますが、具体的な資金調達方法や事例を知っているわけではなかったため、2020年では特に意識して社内外で勉強していました。

結論から言うと、ファイナンスだけを勉強していても知識がたまるだけであり、個別具体的な事例に応じて適切な提案ができるかでファイナンスオタクなのかネゴシエーターになれるかが決まりそうです。

おそらく

営業力×法律×ファイナンスの知識

で初めて資金調達系の交渉ができます。いわゆるCFO的なスキルというのはそういうものなのかなというのが今の認識です。

どのピースがあるかもわからないまま選択するのは無謀であると言えるでしょう。株式会社を経営することを目指す人、レバレッジをかけて事業を大きくしていきたい人は必ず勉強した方がいいと思いました。


4. タルムード

私は藤田田氏の「ユダヤの商法」を読んでからユダヤ教に興味をもち、ユダヤ人が書いた本とユダヤ教について書いてある本を買いあさっています。日本においてユダヤ教に関する本はそこまで多くないため、専門書のようなものが多いです。そのため、買い集めることが難しいですが、今でも続けています。

日本語版のタルムード(正しくは抜粋されたもの)を読みました。タルムードは生活の経典のようなものであり、結婚はこういう人としろ、労働はこういう風にしろ、労働者と使役者はこういうことを守れ、神とはこういうものである、家庭はこうしろ、善とはこういうものだ、といった生活や価値観に関するものを事細かに書いてあるものです。

タルムードのおもしろいところは更新され続けるところにあり、ラビと呼ばれるユダヤ教の教育者が議論を交わして時代に合った形に更新されていきます。通常、経典というものは「こう決めたからこうしなさい」というものが多いと思います(その解釈で多々揉める)が、タルムードは「AがいいこともあればBがいいこともある」というような形で残るのが特徴です。

昔の偉い人が考えたものをずっと使うのではなく、更新され続けるものという性質を持つことから強く洗練された教えになるのも納得ができます。

ユダヤ教は神との契約によって体をもらって生きているという価値観があるのですが、特におもしろいのは神でも間違った判断をすることもある、というものです。

神であれば全知全能というイメージがありますが、ユダヤ教の設定だと「神でも間違うことがあるし、人間ならなおさら間違ってばっかで当然だよね」という前提に立てるところです。

私は日本で育っているので儒教・仏教的な枠組みの中で社会生活を行ってきましたが、孔子が契約について論じていなさそうなので、ビジネスをやっていく上での「契約」というものについて異質さを感じていました。一方ユダヤ教は色々なことが契約によってまとめることができるので、ユダヤ教的な考え方からビジネスをみるとかなりしっくりきました。

契約という考え方やその他の合理性を求める考え方は儒教よりもユダヤ教の方が馴染みやすいため、ユダヤ教をかじっておくともやもやせずに仕事ができます。


5. インセンティブ設計

最後はインセンティブ設計です。これは本ではなく、私自身が仕事はDeFiを学ぶ中で強く感じたものです。

人間を動かそうとするにはインセンティブ設計が全て

これは会社という組織を作っていくにあたって、色々と考えた上でどんな人にとって有利に働いてどんな人とって不利に働くか、ということが全てだという話です。

よく人と人の問題を「人と人のつながりを」とか「コミュニケーションをもっとする」とかが曖昧な施策としてあがることが多いですが、結局人は感情的な報酬と金銭的な報酬の総合評価で「なんかめんどくさい」「なんかやる気になる」というのを直感的に判断します。

起業家は株式による将来の金銭的報酬と社会的名誉によって努力が報われますが、猛烈に働いてなにも得られるものがないことが確定している場合は当然ながら努力するインセンティブはなくなります。

起業家・投資家という関係性であればリスクとリターンは簡単に説明できますが、これが個別具体的な会社内の話だと異なります。

会社が目指す世界とビジネスモデルを理解した上でどんな人が何人必要なのかを逆算し、会社にとって残って欲しい人が報われるようなインセンティブを設計する必要があります。

結果を出した人が報われる会社というのは、結果を出さない人にとっては居づらくなります。一方、結果を出さない人が報われる会社というのは結果を出す人のがんばるインセンティブを削っていきます。

資本主義という大きな枠組みに乗っかっている以上、競争というものが前提となりますので、結果を出さない人が報われる会社は多くの場合淘汰されてしまうでしょう。

そのため、ビジョンしか語らず従業員のインセンティブをそこまで設計していない会社は当然、いい人は集まらず全体のパフォーマンスは低下していきます。ここまで理解した上でインセンティブ設計をすることで、ようやく「人に投資する」という言葉の解像度が上がったように感じています。

ビジネスモデルとビジョンはただの図と言葉であるため、すぐに真似できますが、インセンティブ設計は会社のフェーズ、事業内容によって変わり続けるため、付け焼き刃で導入したところで脆いものが出来上がります。

そのため、賢い人が中にいてインセンティブ設計を更新し続けることができる会社であれば、インセンティブ設計とそれに馴染んだ組織そのものが競合優位性になるのではと思いました。


2021年に力を入れるもの

2020年は攻めと守りでいうと守りの部分を鍛えた1年でした。セールス、マーケティング、デザイン、ファイナンスをあらかた経験させてもらえました。

しかし、上記のスキルは優秀であるために必要なものですが、商売上手であることとは異なります。スキルはコモディティ化しますが、ある程度のレベルまでいくとセンスが不可欠になります。

2021年は商売のセンスを身につけにいこうとおもいます。お金のにおいというものを実際のにおいとして認知できますが、再現性がないのでそこまで気にしていませんでした。言語化できる部分は再現性があり、コモディティ化しやすいので、自分でも言語化できない再現性のない部分を磨いていこうと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?