【15】勇者と魔王 4

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「なんでアンタは勇者なんかやってんのよ!」

「なんでって……」
    マーシャの言葉にアインは過去の"記憶"をたどった……


10年前
ガーネット街
「モンスターだぁー!! モンスターの群れがやってきたぞーー!!!」
    人々の悲鳴。建物が崩れる音。焼け焦げた匂い。土煙と煙があちらこちらで上がっている。
    8才の俺はその光景を目の当たりにした時、動けずにいた。
「アイン!こっちへ来い!逃げるぞ!」
    父だった。その後、母と3人で迫り来るモンスター達から必死に逃げた。
しかし……
「グァッ!グァッ!」
    俺達はオークに行く手を阻まれた。
「ここは父さんに任せてお前達だけでも逃げろっ!」
    父は手に持った斧でオークに向かったが道具屋の父がどうにか出来る相手ではなかった。
ゴンッ!
オークの一撃が父を襲ったのを目の当たりにした。
「あなたーーっ!」
母は叫んだが俺も母も恐怖で動けずにいた。
「グァァァ!」オークがこちらに向かって吠えた。あの時もうダメだと思った。しかしーー
1人の勇者が現れた。
    あまり覚えてないがその勇者は父を襲ったオークは勿論、迫り来るモンスターをことごとく追い払い、俺と母を守ってくれた。
    そして俺は強い勇者になろうと心に決めた。"強い勇者"になれば、誰も殺されないで済むし、泣く人もいなくなる。
そう思ってた……
だがーー

    目の前には "強い勇者"の存在によって泣いてる人がいる。
    その現実は俺の胸に深く突き刺さった。
強さを求めた先が、こんな結果を招く事もあるなんて想像してなかった。

    アインが我に返ると、マーシャはまだアインを睨んでいた。
「なんでって……住民の安全を守るために……」
    月並みな返答しか出来なかった。
マーシャは話す価値すらないと思ったのか、もうこっちを見ることはなかった。

    もう日が沈みかけている。いつまでもここにいる訳にもいかない。
「……暗くなってきたし、もう帰ろうよ」
そう言って手を引こうとするがーー
「触らないでっ!」手は振り払われてしまった。
    為す術がないアインは途方にくれ辺りを見回した。
    大きな袋が落ちている。カレーやアユの塩焼き、そしてビー玉が転がっている。
    アインは入り口に落ちていたビー玉を思い出した。
(そうか。あのビー玉は、この子が陣中見舞いに来た跡だったんだ)
楽しみにして来たのだろう。それを思うとまた胸が痛くなった……
「もう、帰るよ……」
その言葉に返事は返ってこなかった。

    落ち掛けた日が二人の影を長く、長く映し出していた。

店主 アイン
創業108日目
有名道具屋で信頼の勇者

店主 マーシャ
創業115日目
無口な本屋で孤高の魔王



    読んで頂きありがとうございました!
登場した人物、レシピ品全てフィクションです。
    気になるレシピがあれば実際に作って頂いても構いません(作ってもらえたら飛んで喜びます)

作中に出ても良い店主募集中
    店主名、オーナー番号をTwitterでDM下さい。
    普段のプレイスタイル等入れてもらえたらなるべくそれに沿って書かせて頂きます。
    登場する話は事前にDMで確認して頂いた後掲載させて頂きます。

    各物語のイメージ画像募集します!募集させて下さいー!
    物語を読んでみて浮かんだイメージがあればそれをお願いします。
    又は次の物語の画像書いて頂けるというのであれば掲載前に物語をDMで送信します。
    もしくは既にオリジナルのキャラ等の画像あれば、その画像を元に物語を考えます。
名前、職業種の設定あれば教えて下さい。
    提供して頂いた方のお名前はその物語内の1番上に紹介させて頂こうと思ってます。
例「イメージ画 ~様から提供」みたいな感じで。
よろしくお願いしますー!

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