四日市萬古焼、シンガポールに上陸

今週は、四日市萬古焼の国際アンバサダーとして初めて公の場で本格的にお手伝いを行った1週間でした。

シンガポールで毎年行われるFood Japanという展示会に萬古焼のメーカーとして出展し、ブース設営、通訳、営業まで一連の流れを経験するとともに、シンガポールでの現地の需要を肌で感じることができた、大変学びの多い数日間になりました。

今回ブース出展の主体となったのは、三重県四日市市を代表する萬古焼メーカーの藤総製陶所。主に急須を得意とする窯元ですが、確かな技術と伝統だけにとらわれない、時代にあった柔軟な発想で萬古焼を世に送り出す、四日市萬古焼の未来にとって大変重要な役割を果たすメーカーです。

どれもまだシンガポールでは一般に流通していない製品ではありますが、是非とも導入したいと意気込んでくれるディストリビューター、レストラン、セレクトショップに数多く出会うことができ、大きな手応えを感じました。

茶器としても酒器としても使える藤総製陶所の大ヒット商品「ひとしずく」
伝統的な見た目からは想像できない、細部にわたって現代的な工夫が加わった「至高急須」シリーズ

また、現地の日系製品を幅広く扱うスーパーにも訪問し、販売する製品の選定や他企業とのコラボのアイデアもたくさんいただきました。

ショッピングモールPlaza Singapuraに店舗を構えるイロハマート様での様子

シンガポール自体は人口約500万人の小さな国ですが、シンガポールで火がついた日系製品は東南アジア全体に流行が飛び火します。シンガポールの国内市場そのものよりも、この国はショーケースとしての価値が非常に高いのです。それだけ競争も激しく、消費者の目も厳しいですが、だからこそシンガポールでの実績を備えた商品は他の東南アジア諸国への展開が楽になり、大きな成長が期待できます。

製品力が非常に高いにもかかわらず、まだまだ海外で認知が低い四日市萬古焼は、成長しかない産業であるように私には見えます。その一方、この萬古焼を地場産業としている三重県四日市市の現地では、地味な衰退産業に見られる場合も少なくありません。海外に目を向ければ大きな可能性が広がっていることを、もっと地元の方に気づいてもらえるように活動するのが、シンガポールに住む四日市出身者である私の役割だと感じています。さらには、四日市萬古焼を支える仕事が魅力的な職業であると若い世代に感じてもらえるよう、産業自体のイメージを一変させることに情熱を注ぎたいと考えております。

まだまだ始まったばかりの地元の伝統産業の海外展開ですが、今回の展示会では大きな可能性を感じるワクワクする出会いや出来事ばかりでした。そういった出会いを一つずつ着実に次のステップに繋げていきたいと考えています。