部活が不登校を生み出す。「監督は手も足も出る人で “ばか” “死ね” もよく言っていた」
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中学生や高校生が部活を辞める一番の理由は,部の人間関係だという(青木,1989)。尾見・藤根 (2021) は,監督が生徒を不登校に追い詰めていった事例を報告している。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaqp/20/Special/20_S196/_pdf/-char/en
不登校に至るまでに何があったか
北海道のある中学生Xのはなし。野球部に所属。監督による暴力や暴言がある環境。
その後もやめずに部活を続けるが,ひとつ上の野球部の先輩が自殺をする。監督はあいもかわらず暴力をつづけている。そうしているうちに,とうとう被害者Xは学校にいくことができなくなってしまったという。
なぜ加害者である監督は刑事告訴されないのか
この事例を読みながら,なぜ加害者である監督は刑事告訴されなかったのだろうという思いをもった。読み終えて,ふとこう思った。不登校という状態にさせられた子どもや親も,どこかこういう状態になったのは子ども本人に問題があるのではないかという意識をもってしまっているのではないか。自分たちを被害者だと思えないような状態にさせられてしまっているのではないか。
たとえば,監督のよく言う暴言は 「ばか」「死ね」だが,これは被害者X の自尊感情を大きく低下させる言葉だ。また,監督と仲の良い担任の教師もこのように被害者X にかかわったという。
担任の言葉は,つまりは「うまくいかないのはお前に原因があるだろう」という意味だ。まったく頼りにならない担任。苦しんでいる子どもを助けるのではなく,加害者といっしょに子どもを追い込む担任。
読んでいると,教員たちは,Xを不登校に追い込もうと意図して協働しているように読めるので恐ろしい。こんな仕打ちを受ければ,自尊心は著しく低下するだろうし,監督を刑事告訴しようという気持ちもわかないだろう。
そもそも学校の教員を批判すること自体とても難しいことだ。とんでもなく狂った教員であっても,なかなか親は学校を批判できない。学校で子どもがどんな仕打ちを受けるかわからないからだ。そんな狂った監督のいる部活などやめてしまえばいいと思うだろうが,実際はそうできない。
このへんのことは,尾見・藤根 (2021) が率直に以下のように書いている。
教員が大きな力をもってしまっているので,彼らの教員として考えられない行為も訴えることのできず,泣き寝入りしているケースがおそらくたくさんあるだろう。
不適切な人材の解雇
教員採用試験の倍率が年々低くなっている。若い人は先生になりたいとあまり思わないようだ。給料が低いわけでもなく,退職金も十分にでる。いろんな要因があるだろうが,若い人がこれまでいい先生に出会ってこなかったのというが,ひとつ要因としてあるのではないか。あんな大人になりたくないという人間が先生のなかにいたのではないか。
文部科学省は教員採用試験の試験日を前倒しして,教員採用試験を受けるひとを増やそうとしている。そのような取り組みにも一定の効果があるだろうが,まずは今いる教員の選別を行なったほうがいいだろう。不適切な教員には学校をやめてもらおう。不適切の基準はなにか。「暴行罪」「傷害罪」のような刑事事件として扱われる行為があるかないかで十分だ。
不適切な教員はたぶん多い。
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