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灯り

彼女は軽い鬱で理由もなくよく涙を流している。
だけど、そんな中たまに見せるこの笑顔はきっと本物の笑顔なのだろう。
友人、恋人、仕事、家族、側から見れば充実している彼女が、いつしか本人でも分からない心の悲しみを抱えてしまった。
誰も見つけることができないこの深い湖の中にいるような彼女の出口。
「いつか抜け出せることができますように。」そんな彼女を思っての些細な一言が、彼女をもっと深い湖に陥れていることに気づいたのは最近だ。
抜け出したいのに抜け出せないこの感情を、世界がとても狭く感じてしまうこの劣等感を、誰も助けてあげることはできないのだ。
少しずつ、少しずつ、出来ることから、
彼女の涙をただ抱きしめて、こんなことしかできないけれど、どこまで彼女の心に寄り添えるか、少しでも深い湖の中の小さな灯りになれていたら。そんなことを考える深夜2時。

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