『読むだけ英単語』【4】
▼さて,いきなりですが,冒頭から質問です。
「カーネーション」と「カーニバル」の共通点は何でしょうか?
▼「んー,何だろう…?カーネーションって母の日に送るものだよね?でも,別に母の日にお祭り騒ぎをするわけじゃないし…」と不思議に思われたかもしれませんね。
▼母の日に送る花として有名なカーネーション(carnation)ですが,この単語,語源はなんと「(人間の)肉の色」なのです。淡いピンク色や赤色が肉の色を連想させたのでしょうが,「肉色の花」ってすごいですよね…
(;゚д゚)ゴクリ…
▼ちなみに,上の写真は人間の肉ではなく,先月,自分で作ったローストポークです。フライパンで回りをこんがりソテーしてから160℃のオーブンでじっくり焼き上げ,外はカリッと,中はジューシーに仕上げました(笑)。
▼Oxford English Dictionary には以下のように意味が記載されています。
※花のカーネーションの語源については,シェイクスピアの時代に冠飾り(coronation flower)として用いられていたことからという説もあります。なお,corona は crown(冠)のことで,coronation は「戴冠(式)」の意味です。ついでながら,現在私たちを悩ませている「コロナウィルス」も,coronavirusと綴ります。「コロナのかたちをしたウィルス」という意味です。
▼さて,もう一つの「カーニバル(carnival)」という単語ですが,こちらは「謝肉祭」と訳されます。これはラテン語の carnem levāre(肉を取り除く)に由来した単語で,四旬節(4月初旬に行われるキリストの復活祭[Easter]前日までの40日程度の期間)に断食や食事の節制,祝宴の自粛を行うため,その前にどんちゃん騒ぎをしておこう,というものです。そう考えると,なんとも人間臭くてユーモラスですよね(もっとも,四旬節の断食や食事の節制は,食物の貯えが少なくなる冬場に食べるものを節約して春まで生き延びる生活の知恵としての側面もあるようなのですが)。
▼というわけで,carnation と carnival に共通する carn という綴りが「肉」を表している,というのが正解でした。
▼肉食動物のことを carnivore と言います。英語の文献では19世紀中ごろに表れた単語のようです。ちなみに,草食動物は herbivore(herbi- は「植物」の意味。「ハーブ(herb)」ですね),人間のような雑食動物は omnivore(omni- は「全て」の意味)です。vore とは「食べる,飲み込む」の意味のラテン語 vorāre から来ています。
▼ちょっと難しい単語ですが,incarnation という単語があります。incarnate(肉体を備えた,具現化された,具現化する)という単語の名詞形です。この単語は〈in-(中に)+ carn(肉)+ -ate(動詞・形容詞を作る接尾辞)〉という構成で,「肉体を与え(られ)る」→「具現化する(される)」となります。incarnation は incarnate の名詞形なので,「肉体を与える(与えられる)こと」「具現化」「化身」などと訳します。the Incarnation と大文字で表記された場合,「托身」「受肉」「化(け)肉」などと訳され,キリストが人類の救いのためにイエスという人間の姿で現れたことを意味します。
▼その incarnation に「再び」という意味の接頭辞 re- をつけたものが reincarnation です。「再び肉体を与える(与えられる)こと」という意味で,「生まれ変わり」「輪廻」などと訳されます。死んだあと肉体を抜けた霊魂が別の肉体に宿って戻って来ることを意味します。
▼そういえば,性的な欲求を示す表現で「肉欲」という言葉がありますよね。英語では文字通り,carnal desires と言います。carnal は「肉の,肉体の」「性欲の」「色情的な」「肉感的な」「現世的な」という意味の形容詞です。
▼では,今回お話しした単語をもう一度確認してみましょう。
carnation
carnival
carnivore
herbivore
omnivore
incarnation
incarnate
reincarnation
carnal
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