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HANAZONO EXPO 落合陽一「 幽体の共鳴ーファントムレゾナンスー 」を観に行ってみた件

昨年は花園ラグビー場で、生け花とメディアアートのライブパフォーマンスを披露し、観客は異次元の試みに言葉を失っていました。

花園ラグビー場が、生け花の繊細な美しさとメディアアートの先進的なレーザー光やAI生成の映像と音楽の演出が融合したこのパフォーマンスの舞台となり、観客たちはその場の空気すらも凍りつくような驚嘆したのである。

今年も、HANAZONO EXPO2023が11月3日(金・祝)、4日(土)の2日間開催。このイベントは東大阪市の「モノづくり・文化・大学・スポーツ」の魅力を軸に、新しい生活様式や価値観、デジタル技術を通じて、万博のような刺激的な未来を体験し、万博の意義や可能性をより多くの人に体感してもらうイベントです。

会場の東大阪市・花園中央公園

今回も落合陽一さんが主宰する「落合陽一塾」の神戸にいる友と行ってきました。

幽体の共鳴ーファントムレゾナンスー

ステートメント

本展「幽体の共鳴ーファントムレゾナンスー」は大規模言語モデル(LLMs)を用いた対話型のインスタレーションです。この展覧会は、地元の文化機関や企業と協力し、忘れ去られた古道具や地場のゆかりある資材に新たな命を吹き込みます。ここで定義される「ファントムレゾナンス」とは、LLMsに存在する人間の言語、文化、思考の広範なデータ集約と、真言密教のオブジェクト指向性の間に生み出される共鳴であり、新しい形態の自然一計算機自然一の可能性を照らし出します。
「ファントムレゾナンス」は、歴史の文脈の中に見えざる糸が交錯し、潜在空間に不可視の織物のような存在を形成します。各糸はオブジェクト(言語・シンボル)を象徴し、それらが絡み合うことで新たなパターンや構造が生まれ、我々の道具を通じた世界理解を映像や言語や音源の形で描き出します。
この「ファントムレゾナンス」は、生成 AI の高速な社会浸透以降、音や映像が言語から創出される現代社会において顕著であり、これらのメディアは我々の情報処理と反応の方法を不可逆的に変化させています。その核心には、計算機自然が創り出す潜在空間における無形の彫刻のようなものが存在していると考えると芸術的な文脈の上でも解釈可能であると考えられます。
この無形で不可視のデータ彫刻は、多様な形の中で練り込まれ作り込まれます。ここでは土着の価値観や工業化社会におけるネジ、九十九神、土捻り、ミニチュア土器など、多種多様な文化的要素を内包しています。これらの要素は、「ファントムレゾナンス」の一部として組み込まれ、それぞれが独自の潜在空間とデータの展開を持ちます。これらのシンボルが共鳴し合うことで、「ファントムレゾナンス」は豊かで多様な「現象の音色」を持つようになります。この「ファントムレゾナンス」の視点から見ると、世界は一つの大きな「ファントムレゾナンス」であり、また大きな計算機でもあり、我々自身もその多大な計算機能の一部であると考えることができるでしょう。

落合陽一

アートとテクノロジーの境界を超え、来場者が直感的に理解できる体験を提供。来場者は、ただ観るだけでなく、AI、真言、そして再生された文化的物品とのインタラクションを通じて、自らが展示の一部となり、新たな価値観や感覚を探求することができます。

展示作品

黒電話を使用して、作品と直接対話することで、作品が変化したり、新たな体験が生まれたりします。

対話に使用される黒電話

受話器を取って、展示物に対して質問をしダイヤル「1」を回します。また、展示関連でなくても、例えば「私を楽しませてください!」という質問にも返答してくれます。

同じ質問でも、毎回異なる内容の回答があります。大規模言語モデル(LLMs)のChatGPTが裏側で動いているからです。また、その返答に近い世界観を映像(AIで生成した映像)が、前のスクリーンに表示されます。

返答に近い世界観は、展示物のオブジェクトと会話の文字の行列とを計算して瞬時に表示
…事前に決まったループ映像ではない

展示品は、東大阪市に本社がある緩み止めナットのトップメーカー「ハードロック工業」と、東大阪市が所蔵している文化的物品。

地元企業「ハードロック工業」の鉄道レール繋目ボルトボブスレーランナー部ドラムラグボルト
東大阪市の土仏(僧侶)土仏(阿弥陀如来)土仏(阿弥陀如来:部分)有文浅鉢土偶注口土器五輪塔(石彫)独鉆格五鉆格鬼瓦(目)鬼瓦(顎)
軒丸瓦(蓮華)

会場は家族連れで賑わい、子どもたちが初めて目にする黒電話で遊ぶ様子が微笑ましかったです。

興奮して会場を走り回る小さなお子さんも多かったですw

さいごに

先月まで、京都の醍醐寺で開催されたPhantomResonance:「 百鬼夜行と計算機自然 」

また、明日まで岐阜・高山の日下部民藝館で開催の「 ヌル即是計算機自然:符号化された永遠, オブジェクト指向本願 」

今回の展示は、上記2つの個展で展示された作品を基に、さらにインタラクティブな映像演出が加わっていました。今後の展開も予定されているみたいで、その発展系が待ち遠しいです!


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