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落合陽一「 The Silk in Motion 」を観に行ってみた件

山梨県富士吉田市で12月11日(日)まで開催された「FUJI TEXTILE WEEK 2022」.1000年以上続く富士山麓の織物産地である富士吉田市を舞台に,国内外のアーティスト10組と19の機屋が参加した2年目の芸術祭です.

インバウンド人気観光地ということもあり海外からのお客様も多く街は賑わっていた.

この芸術祭に落合陽一さんの作品が出展され,本人も現地に脚を運ぶということで,落合陽一塾オンラインサロンメンバーと芸術祭に行ってきました.

アーティストの声と共にこの作品についてご紹介します.


ステートメント

The Silk in Motion

落合陽一は、常に新しいテクノロジーを筆のように自由に使いながら、我々の周囲の現実を独自の視点で描いてみせるメディアアーティストです。
今回、彼は織り機の原点にコンピューターと共通する原理があることに関心を持ち、その関連を考察しつつ、映像の作品を制作しました。テーマはこの作品が展示される小室浅間神社に伝わる木花開耶姫の伝説を描いた神馬です。極めて精細に写し止められた甲斐絹に描かれた神馬をこの伝説の炎のイメージとない混ぜにしながら、コンピューターを用いて加工生成し、それを小室浅間神社の神楽殿に設置した大型LEDに上映します。そこには、神馬のダイナミックな動きに加えて、通常見えない織物の建築的構造、その繊維のディテール、多様な色彩の魅力と変化を垣間見ることができます。富士吉田のテキスタイル産業の興隆とこの地の神話、そして現代のテクノロジーと未来へのビジョンが重層的に込められた作品です。
落合は日進月歩の最新技術から何百年も残ると言われるプラチナプリントや木彫など、多様なメディアを常に探究しています。そして境界領域における物化や変換、質量への憧憬をテーマに日々、推敲し、作品を生み出しています。

FUJI TEXTILE WEEK 2022

作品

▲0:47,1:20と神殿にどんどん近づいて撮影してます.

木花開耶姫(このはなさくやひめ)
神馬
神楽殿に祭神の炎

アーティスト本人から聞いたこと

テキスタイルとコンピューター

テキスタイルとコンピューターの縦糸横糸が似ているみたいな話は,昔からテーマのモチーフになり,古今東西多くの作家がやっている.
コンピューター作家として,テキスタイルがピクセル表現なことが面白い
X-Y位置を指定して入れるから,昔から刺繍もそうだし.
ピクセルだからLEDと相性は良いと思っている.

作品について

今回はDiffusion Modelを使用しAIの画像生成と,自然に撮影しソフトウェア処理で動かしている画像とのなめらかな繋がりがポイント

ストーリーは「木花開耶姫が火の中で子供を生む」「馬を使って富士山を跳ぶ」「馬が燃える」の3つを,それぞれ30本づつ作って合わせたもの

LEDが物質的にすごく光るので,能舞台上で映像が出てくるとその体験が,映像を見ているだけではなく,インスタレーションライブとして高い完成度に仕上がっている.

Diffusion Modelの活用

映像自体はものすごい量を作っている.
Diffusion Modelで作った映像自体は2時間ぐらい作ったと思う.
7,200[秒] × 60[fps] なので40万枚ぐらいAIで絵を描いている.
今まで手書きで40万枚描くことはできなかったので,それをAIが分業して描いてくれるのが自分には相性がよく,すごく良かった

Diffusion Modelを本格的に使いはじめたのは今年の11月3日

ヌルヌルしている映像作品は,北九州芸術祭(日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu
)の時にやったことがあるので,うまくいく確信はあった.
でも,それだけだと物足りなく思ったので,遊び要素が欲しいなと思ってディフュージョンしてたのかもしれない.

3D撮影中

さいごに

実際に現地で作品に触れると,その場に立ち尽くし魅入っている自分がいた.それは,私だけでなく他の方も…「すげぇ〜」と言葉を漏らしている方もいました.
特に小さなお子さんの反応がすごかった.能舞台上の作品に拝礼する2歳ぐらいの女の子も…霊性を感じたのだろう.

夜になると気温3℃となり,富士の心身と染みる寒さに暖が欲しくなるほどだったが,高輝度LEDの炎の映像が表示されると,どこか火の暖かさを感じた.脳が錯覚を起こす体験ができました.

おまけ:吉田のうどん

富士吉田市の郷土料理「吉田のうどん」.
日本一硬いうどん」と自称しており,むっちりコシが強い歯応えある太麺が特徴.
50店舗ぐらいあるらしく,今でも500円のワンコインで頂けるお店が多い.

一昔前は350〜400円でいただくことができたが,今でもお財布にやさしい.

芸術祭運営の方から「昔,織物産業が盛んだった時代.織り手の女性に代わって,男性が腹持ちの良いうどんを力を込めてこねたことで硬いうどんになった」と教えてもらい,「老舗から人気のお店に行く順番が理想」とも.

せっかくなので私も,元祖と言われている老舗のお店と,連日行列ができる人気店の2店舗をハシゴしました.

桜井うどん「うどん」400円.
醤油と味噌の合わせ汁にキャベツと大きな揚げの相性良し!
みうらうどん「肉うどん」500円
ほどよい甘さの馬肉の優しい味わいを感じることができる.

一口いただいた時,衝撃的な食感で…
でも,食べ進むと,噛めば噛むほど麺の旨味と小麦の香りを感じ,クセになる中毒性を感じました.ごちそうさまでした.


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