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ゲイの両親と息子。家族をつなぐのは“血縁”なの? Netflix映画『僕らをつなぐもの』

2022年3月4日にNetflixで配信スタートしたイタリア映画『僕らをつなぐもの』は見ましたか?

原題は『Il filo invisibile(和訳:見えない糸、英題:The Invisible Thread)』。ゲイの両親のもとで育った少年を主人公にした本作は、ユーモアたっぷりに描かれた、ほろ苦くて心に残る物語でした。

映画『僕らをつなぐもの』あらすじ

引用元:Amazon

イタリアで暮らす16歳の少年レオネの両親は、男性同士のカップルであるシモーネとパオロ。アメリカ人の代理母・ティリーが生みの親です。しかしある日、両親の間に大きな問題が発覚。2人は別れを考え、レオネと実際の血縁関係にあるのがどちらなのかを明らかにしようとしはじめて……。

“家族”って、なんなんだろう?

物語は、レオネが学校の課題で作っている「家族のドキュメンタリー動画」からはじまります。

レオネの両親は子供を望んでいましたが、同性カップルに養子縁組は不可能でした。そんな2人の気持ちを知ったシモーネの同級生ティリーが代理母になると申し出て、生まれたのがレオネです。

何度も法律の壁にぶつかり、思うようにいかず苦しみながらも、なんとか家族として過ごしてきた3人。しかしある日、大きな問題が発覚してしまい、シモーネとパオロの関係に大きなヒビが入ります。

そこで2人は、どちらが本当のパパか調べようとするのです。精子を混ぜた「カクテル」(すごい呼び方)を提供して代理出産をしてもらったので、どちらが本当の父親なのかわからないのでした。

そんな状況に巻き込まれた少年レオネ。愛する両親が別れるだけでなく、どちらかとは血縁関係がないことがはっきりしてしまう。家族は一体どうなってしまうんだろう……。そういう苦しい感情が、繊細に、ちょっと独特な空気感で描かれています。

家族をつないでいるものとはなんなのでしょうか。家族ってなんなのでしょうか。ゲイであるとか代理出産であるとか関係なく、誰もが深く考えさせられる物語です。

監督と共同脚本を手がけたマルコ・シモン・プッチョーニは、以下のように話していました。(直訳)

“ 親の性的指向は、子供の幸福にどう影響しますか?それはあなたの家族や社会的関係にどう影響しますか?家族の境界とは何ですか?「血縁」はまだ子育てと家族の基盤ですか?子供にとって、親のケアをすることよりも遺伝的つながりの方が感情的に大切だとまだ言えるでしょうか?

これらの質問を振り返るために、この崩れそうな家族の物語を、息子または何よりも幸福(ウェルビーイング)が大切であるはずの人物の視点で描きたかったのです。”

https://www.vogue.it/news/article/il-filo-invisibile-film-netflix

レオネに向けられる切ない偏見

パリから転校してきた美女・アンナに片思い中のレオネ。しかし、彼女はイケメンなダリオと仲良しでーー。そんなレオネの甘酸っぱい恋愛も描かれます。

しかし、愛する両親が同性カップルであることを隠していないレオネは、それが原因で、ある偏見にさらされてしまうことになるのです。それがまた、なんとも言えない切なさのある偏見で……。ほろ苦くて可愛らしい青春も見どころです。

キャスト

レオネ役:フランチェスコ・ゲギ(Francesco Gheghi)

主人公レオネ役は、2003年8月19日、イタリア・ローマ生まれのフランチェスコ・ゲギ。13歳から演劇を始め、『I am Tempesta』(18年)で映画デビュー。その後、映画『My Brother Chases Dinosaurs』(19年)、『我らの父よ』(20年)に出演しています。

パオロ役:フィリッポ・ティーミ(Filippo Timi)

レオネのパパの1人・パオロを演じたのは、1974年2月27日生まれのイタリア人俳優フィリッポ・ティーミ。映画『時の重なる女』(09年)や『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』(09年)、アメリカ映画『ラスト・ターゲット』(10年)などに出演しています。

シモーネ役:フランチェスコ・シャンナ(Francesco Scianna)

レオネのもう1人のパパ・シモーネを演じたのは、1982年3月25日生まれのイタリア人俳優フランチェスコ・シャンナ。映画『シチリア!シチリア!』(09年)、『ジョルダーニ家の人々』(10年)、『カプチーノはお熱いうちに』(14年)などに出演しています。

アンナ役:ジュリア・マエンザ(Giulia Maenza)

レオネが想いを寄せるアンナ役は、1999年12月15日生まれのジュリア・マエンザ。シチリア出身のモデルです。女優としての過去出演作品は、『マフィアは夏にしか殺らない』(13年)くらい。

ダリオ役:マッテオ・オスカル・ジウジョッリ(Matteo Oscar Giuggioli)

イケメンなダリオを演じるのは、2000年12月31日、イタリア・ミラノ生まれのマッテオ・オスカル・ジウジョッリ。2011年の映画『un passo dal cielo』で子役として俳優デビューし、『Couch Potatoes』(17年)や、Netflix映画『リッチョーネの日差しの下で』(17年)などに出演しています。

ヤコポ役:エマヌエーレ・マリア・ディ・ステファノ(Emanuele Maria Di Stefano)

レオネの親友ヤコポを演じたのは、イタリア人俳優エマヌエーレ・マリア・ディ・ステファノ。生年月日は公表していないようです。俳優活動はまだ少なく、過去出演作は映画『La scuola cattolica』(21年)くらい。

まとめ

映画『僕らをつなぐもの』は、LGBTQ+をテーマに扱いつつも、ごく普通な少年と家族を描いた、青春・ヒューマンドラマです。アハハと笑えるというよりは、じわっと心に沁みるようなユーモアが随所にありました。

ゲイだから、代理出産だからといって、家族が特別なわけでもニセモノなわけでもなくて、結構普通なんだよ、ということを改めて教えてくれる作品でもあります。

気になった方はぜひNetflixで鑑賞してみてください〜!

サムネイル画像引用元:Netflix

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