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弱い人などいない

この仕事をしていると「私は○○が弱くて〜」という表現をよく耳にする。

一番多いのが胃腸が弱いという表現で、あとは腎臓が弱いとか、気圧の変化・季節の変わり目に弱いといった表現があるけれど、「あなたは頭が弱いですね」と言われたら腹が立たないだろうか?
歪んでいるという表現も多く、他の整体院などで骨盤が歪んでいると言われた経験をお話になるのだけど(なぜか嬉しそうに語る人もいる)、「あなたは認知が歪んでいますね」と言われたら腹が立たないだろうか?

食べ過ぎたら胃が痛んだ。どうも私の胃袋は弱いと申す人がいた。 食べ過ぎて胃袋が痛むなら、これは当然、正常な胃袋だったと言えよう。 弱いということに結びつける理由はない。使い方が下手だったと言えるだけである。(野口晴哉)
異常を除いて正常であろうと考えている養生人は多いが、 問題は異常ではない。 問題は異常の中に正常を保っている体のはたらきである。それがどのように働いているのか、 それを確かめることに養生の道がある。(野口晴哉)

お腹を下したり、食欲不振になる原因は人それぞれいろいろある。体に合わないものを食べれば誰だって下痢をするし、ストレスが胃腸の状態に影響を与えやすいタイプの人もいる。だからといって自身の体に弱いというレッテルを張る必要はなく、人それぞれの体の偏りを取っていくと不快な症状は出にくくなる。ただしどんな不調でもこれをやれば改善するという単純な手段はないので、自分の体にどんな特徴があって、どこを変えれば良いのか知ることがスタート。

必ず変わる。整体の勉強を始める前、ストレスがかかると食べ物が一口も喉を通らず、毎朝下痢をしていた僕が保証する。

歪んでいるという表現に関してはどちらかというと言う側の問題というか、骨盤は左右で役割が違うし内臓の疲れで左右の高さなんかは簡単に変わるので、骨盤にしても背骨にしても、人それぞれ癖があるのは当たり前でまっすぐ左右対称を目指す必要もない。歪んでいるとか左右の足の長さが違うといっていたずらに不安を煽るのはよくない。

異常が出ることが問題ではない。
異常が出ない人が強い・丈夫かというとそうでもなく、体が鈍感になってしまって異常を感じられず、積もり積もった異常が大病を引き起こすこともある。「風邪をひかない=丈夫」ではないし、無病が健康というわけでもない。

異常を感じられるその繊細さは弱さではなく強さなのだ。

本来強く、まじめな人が弱者扱い、病人・障がい扱いされている怒りを原動力に仕事しているようなものなので、価値観をひっくり返して反撃していく人をもっともっと見たい。

この記事は旧ブログで書いたものです。(2018年7月30日の記事)

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