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「和記鶏飯」のチキンライスボール@マラッカ

 マレー半島とスマトラ島に挟まれているのがマラッカ海峡で、アジアの海運にとって非常に重要な場所であることはいうまでもない。海峡に面してマレーシアの古都マラッカがある。交通の要衝であるだけに、古くからポルトガル、オランダ、イギリスの支配を受け、第二次大戦では日本が占領した歴史もある。マラッカはペナン島ジョージタウンとともにユネスコ世界文化遺産に登録されていて、ヨーロッパの複数の国とアジアのテイストがミックスされた魅力的な街並みを楽しめる。
 マラッカ旧市街の中心部にはオランダ広場があり、歴史的な建築物も多数あって、観光の起点になっている。この広場から伸びるにぎやかな通りがジョンカーストリートで、土産物や骨董店などとならんで中国系の飲食店が多く、チャイナタウンの風情たっぷりだ。奥まで歩いていくと、中国系の寺院もある。
 さて、マラッカの楽しいローカルフードはチキンライスボール。日本でもシンガポール料理店などが増えて、すっかりポピュラーになった「海南鶏飯」の、ライスがまん丸のボール型でサーブされるバリエーションだ。海南鶏飯はカタカナでいえば「ハイナニーズチキンライス」、華僑のコミュニティが存在する東南アジア各地で、どこでも安く、おいしく食べることができて、私の「アジア小めし食べ歩き」でも、最大のターゲットの一つである。鷄ガラスープで炊いた長粒米と蒸し鶏を一緒に食べる料理だが、ほんとうに飽きのこない味だと思う。タイで「カオマンガイ」といっている皿めしも、基本同じものだ。
 ジョンカーストリートにはこのライスボールを食べさせる店が何軒かあり、「和記鶏飯」はいかにも華僑の家族経営、特に人気の一軒だ。数年前にマラッカに3泊したことがあり、お昼時を外してトライ、うまく入店することができた。「5粒」とか「7粒」とか、ライスボールを個数で注文する。なにやらおにぎりのようでうれしくなるが、味はしっかり鶏飯だ。5粒完食してストリートにでると、中国系の大人数ツーリストや白人のバックパッカーふうの人々であふれんばかりの喧騒である。こぎれいそうなカフェを探して一休みする。
 コロナ禍で自由に旅行ができなくなって2年半も経ってしまった。ジョンカーストリートはいまどんなだろう。ゆっくりとマレー半島を旅することができる日が戻ってくることを切望してやまない。

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