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「台灣高鐵」のチキン弁当@台南

 2023年11月5日の日曜日、第7銭までもつれたタイガースとバッファローズのプロ野球日本シリーズは、今季不調だった青柳の5回途中までの粘投もあり、タイガースが勝利した。私にとって、なんとも幸せで思い出に残るシーズンとなった。
 そして11月13日から、連れ合いと計画していた台湾の旅に出かけた。最近日本で女性を中心に人気の台南に3泊し、その後台北に移動、さらに2泊しようというプランだ。いつものようにお目当ては人気のローカルフードだが、今回は台湾の新幹線に乗るのも大きな楽しみのひとつだ。月曜日から台南で過ごして、木曜日のお昼前にホテルからタクシーで台灣高鐵(新幹線)台南車站(駅)へむかう。市の中心部から30分くらいは離れている。空港と見紛うような立派で新しい駅に到着する。すこしドキドキしながらカウンターでチケット購入にトライするが、拍子抜けするくらい簡単でスピーディに終了。係のお姉さんは訛りのない英語で、テキパキとカード決済をして発券してくれる。台南から台北まで約1時間40分、普通車で片道1350元。台湾元と日本円のレートは11月現在、1元=4.7円くらい。今回の旅行中に思い出すに、台湾は15年ぶりくらいである。あの頃は1元=3円くらいのイメージだったように思う。円が弱くなっていることを実感する。
 吉田修一さんの読者であることは、長崎の項で『横道世之介』について書いた。同じように愛読しているのが『路』である。テーマは2007年に開業した台湾新幹線。このプロジェクトの日本側企業連合の主要プレイヤーである大手商社に勤務する入社4年目の女性が主人公。彼女の目を通して、台湾と日本の人々の新幹線にかける思い、日本と、フランスを中心とする欧州のシステムと技術が混在する経緯のなかでの軋轢と苦労、そしてなにより台湾の魅力をいきいきと描いていて、吉田さんの代表作の一つだと思う。単行本は2012年に文藝春秋から出版されたが、最初に読んだときラストの無事新幹線が走り出したシーンでは、すこし涙ぐんでしまったものだ。
 スピードと乗り心地、車体のデザイン、内装も日本の新幹線のようだ。『路』を読んで以来ずっと乗りたかった「台灣高鐵」で台南から台北へ移動する。そしてこれも人気の「高鐵弁当」を台南駅で購入。ポーク、チキン、ベジの3種類からチキンをチョイス。ひとつ100元、ごはんにしっかりした味付けでローストしたもも肉がどんとのっており、ゆで卵、白菜、かぼちゃ、小さくて丸い人参などが添えてある。なかなかのボリュームで手抜きのない味。車窓に移りゆく台湾の風景をながめながら、この新幹線をつくり上げた人々のことを思っていた。

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