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「和成豊」のフカヒレスープ@バンコク

 チャイナタウンが好きだ。国内であれば横浜、神戸、長崎があって、三大中華街などどいわれてにぎわっている。横浜、神戸は規模も大きく、行かれたかたも多いだろう。月刊誌の編集部にいた若いころ、長崎の新地中華街を取材したことがある。端から端まですぐ歩けてしまうような面積で、お店の数も少ないのだが、長崎の街によくなじんでいてなんだか愛おしく感じられた。すっかりファンになり、その後もときどき旅をする。
 一般的には福建などのいわゆる華僑と呼ばれる人たちが中国の外に出て、その土地で形成しているコミュニティをチャイナタウンというのだろうが、これまで旅をしてきた東〜東南アジア各地でチャイナタウンを歩くのは、格別に楽しかった。シンガポールやクアラルンプール、ペナンのジョージタウンなどで、雑貨店やスーパー、ゴールドのショップ(金行という)などをのぞいたり、屋台やフードコートなどでちょっとしたローカルフードを食べたり。そういえば香港は、街全体が一つの巨大なチャイナタウンなのではないかと思ったりする。
 そんななかでバンコクのチャイナタウンは、2015年くらいからだろうか、最近になってから歩くようになった。歩いてみていっぺんに好きになった。なんというエネルギーだろう。大通りの両側にさまざまな商店、食堂、安ホテルなどがびっしり軒を連ねている、両側にいくつも路地が伸び、そこにはまたも小さなお店がひしめいている。店々にはこれでもかと商品が並び、置ききれない商品は歩道に棚やら台やらを出して商売している。街中に喧騒があふれている。うろうろしていると極彩色の中国のお寺に行き着いたりする。こちらも気分が高揚してくる。
 ガイドブックなどにも載っている有名店が「和成豊」だ。チャイナタウンに本店があり、セントラルなど市内のモールにも支店があり入りやすい。看板メニューのフカヒレスープを注文する。土鍋に熱々のスープ、たっぷりフカヒレが入っている。付けあわせは、生のもやしとパクチーのような野菜で、投入するといいアクセントになる。猛暑のチャイナタウン歩きの途中で熱々スープ料理、格別の味で、値段も日本で食べるフカヒレでは考えられない安さだ。2019年に地下鉄の駅がオープンして便利になっていると聞いた。コロナ禍が収まったら、まっさきに再訪したい。

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