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ロゼの年

前回に糖度を計測したZinfandelという品種は、実は今年が2年ぶりの収穫となります。2021/2022は霜のせいで葡萄が実ること出来ず、お手伝いしているワイナリーでは2020年が最後のビンテージとなっておりました。とはいえ、以前に計測した時点でも糖度は低く、酸度は高い状態で、とても従来の赤ワイン用に使うのは難しいため、今年はロゼを作ることに決まりました。ロゼは若い葡萄などが使われるため(赤ワインには植えてから3~4年程度の葡萄が必要なので)、今回は初めての試みとなります。他にもこちらのワイナリーではCabernet SauvignonやGrenacheなどのロゼが既にあり、個人的にはこの畑のZinfandelがとても好きなので、新しいレパートリーが増えるのは今から楽しみです。

また、こちらのワイナリーでのロゼは収穫された葡萄は①除梗(葡萄の実がついている黄緑色の梗という部分を取り除く)作業を行い、②破砕(葡萄の実を潰して、ジュースと皮と種の状態にする)作業をした後、③圧搾(皮と種をプレスしてエキスを絞り出しジュースだけの状態にする)作業をしてから発酵に移ります。しかし、今回はこちらも新しい試みで、①②を飛ばし、③からのスタートをすることに決めました。つまり、皮や種だけではなく、梗の部分からもプレスしてエキスを絞り出すことになります。この梗の部分からのエキスはワインを青々しくしてしまうため、(北カリフォルニアのような冷涼な地域では別ですが)気温が高い南カリフォルニアでは通常用いられません。例年はこの時期まで収穫を待つことは出来ないですが(糖度は高くなりすぎ、酸度は落ちてしまうため)、今年は気温も低く収穫時期も一ヶ月程後ろ倒しになったことに依り、梗の部分も既に黄緑色から茶色っぽくなっています。その結果、梗からエキスを絞り出しても嫌な青々しさにならないのでは…といった背景もあり、今回は全房プレス(③からスタート)という方法を試みることになりました。

このように葡萄を丸々プレス機に投入していきます!

ちなみにですが、今回は全ての葡萄を収穫せず、一部は12月頃に糖度が上がった干し葡萄の状態で収穫する予定です。少量ですがPort wineにするとのことなので、そちらはまた別の機会に書こうかと思います。

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