プロダクトのWebライティングルールを検討した話

Mobility Technologiesでプロダクトデザイングループに所属しているデザイナーのYSです。アイコンは我が家の愛しの猫ちゃん(サイベリアンのわさび♂)です。

現在、DRIVE CHARTにプロダクトデザイナーとしてアサインされており、デザイナー2名体制で日々プロダクト開発に取り組んでいます。

DRIVE CHARTとは

AIを駆使したドラレコが常に運転解析し、事故の要因となりうる脇見運転や一時不停止などの各種リスク運転行動を、自動的に検知し映像を残します。
映像を確認したり、レポートで振り返ることにより、リスク運転行動の改善を促し、事故を減らすサイクルを実現しています。

「事故を未然に防ぎ安心安全な社会を目指す」ことがDRIVE CHARTのミッションです。


検討の背景

DRIVE CHARTは、リリースから3年経過しているプロダクトですが、そもそも現在に至るまでWebライティングに関するルールがありませんでした。

新しくデザインを作る際は、デザイナー・PdM・エンジニア・QAチームが目検で確認。
なんとなく「下さい」は「ください」にする、などふわっとしたルールが存在している程度なので、当然人によってライティングにブレが生じる、といった具合でした。

ルール作りは往々にして、えいやーっと作らなければ、後回しにされがちな印象があります。もちろん課題として認識はしているのですが…。

きっかけはFAQページの作成

後回しにしていたルール作りなのですが、作らねばと思ったきっかけは、FAQページ、ツールチップ等によるヘルプ文言を追加するタスクが発生したタイミングでした。

FAQページに載せる質問や文言は、カスタマーサクセスチームが検討・作成し、エンジニアとデザイナーに連携する流れで、デザインを着手しました。
が、FAQ文言を反映して確認すると、画面上にあるヘルプ文言にしては、なんだか重い表現だな…という印象をうけました。

どうやったか

既に200件ほどFAQを作成いただいていたので、全体をざっと確認しました。

「ご確認の程宜しくお願い致します。」
「行っていただけますようお願いいたします。」
「どちらかの可能性がございます。」

など、丁寧度がWebライティングとしては、冗長で読みづらい印象の文章が多々あると気づきました。
敬語の使い方については、しっかりとルール作りをする必要性を感じました。

完成したルール

冗長な日本語を避ける


平仮名の方が読みやすい漢字は平仮名にする

逆にひらがなにしすぎても、どの漢字に当てはまるのか読み解く必要がでてきてしまい、伝わりづらくなる場合があるので注意が必要


敬語を使いすぎない

NG:◯◯をご確認いただけますようお願いいたします。
OK:◯◯を確認してください。or ◯◯をご確認ください。

NG:◯◯させていただきました。
OK:◯◯しました。


「ございます」の使い方に注意する

「ある」については、ございます使用OK
例:いずれかの可能性がございます。

「です」については、ございます使用NG
例:こちらが資料でございます。
例:営業時間は10時から18時でございます。

このルール策定は正直迷いました。
「ございます」を使った途端に重い文章になる印象があり、取引先とのメールでのやり取りというわけでもないので、使用をNGにするという手も考えました。
しかし、「ございます」は日本語として間違いではないし、丁寧にする場面も存在するだろう(後述)と考えてこのルールを定めました。


ユーザーとMoTとのやりとりが発生する画面では、人とUIで完結する画面より、ビジネス向けな丁寧な言葉を使う

前述の「ございます」についてもそうですが
FAQやお問い合わせ画面など、人と人で対話が必要、または人の回答が必要な画面ではダイアログなどUIに掲載される文章より、丁寧な言葉遣いのほうが好ましい、という観点です。

逆にUIは堅苦しい敬語や丁寧な言い回しを使うよりは、簡単な敬語くらいの方が、スッと入りやすいのでは、と仮定してこのルールを定めました。

「○○をご確認ください。」か「○○を確認してください。」で迷ったときは、ダイアログなどのUI上であれば、後者を使うといった感じです。

参考記事
SmartHR Design System ライティングガイドライン
よりよい文書を書くための校正ツール「textlint」のSmartHR用ルールプリセットを公開しました!|SmartHRオープン社内報
「することができる」は有害と考えられる
読みやすい文章の極意は「修飾語」にあり
「ございます」は丁寧語!意味や正しい使い方を例文を用いて徹底解説
ひらがなで書くべき漢字のまとめ: 企業サイトで使用する「ひらく漢字」「ひらかない漢字」


FAQを改めて確認・添削

策定したルールをもとに添削すると、下記のような文章になります。


修正前:原因としまして下記どちらかの可能性がございますので、ご確認のほど宜しくお願い致します。

修正後:下記どちらかの可能性がございます。


修正前:○○を行っていただけますようお願いしたします。

修正後:○○をしてください。


修正前:「リクエスト期限切れ」と表示がされますためお手数ですが、再度リクエストを宜しくお願い致します。

修正後:「リクエスト期限切れ」と表示されます。再度リクエストをしてください。


修正前:ダウンロードは可能となっております。

修正後:ダウンロードできます。


気づき

Webライティングをするにあたり、てにをはがおかしくなったり、丁寧を意識しすぎて冗長になってしまうなんてこと、あるあるだと思います。(自分も文章を書くことが苦手なので、よくわかります…)

今回200件ほどFAQを見ながら、なんとなくの傾向として

「お願いします」

の言い方には注意が必要そうだな、と感じました。

例えば、

  • ○○を行っていただけますようお願いしたします。

  • 再度リクエストを宜しくお願い致します。

に関しては、「○○してください」に直すだけでかなりすっきりした文章に見えます。

ネクストアクション

今回は、FAQのテキストや、長文向けの文体の統一といった観点でルールを策定しました。
これ以外にも、用語集が欲しいといった要望もあがってきていたり、送り仮名のルールがまとまっていなかったり、まだまだ決めることはたくさんあります。

文章はUIの大切なパーツの1つなので、ルールやガイドラインを設けることでプロダクト全体のクオリティが向上すると考えています。 全てを揃えるのは大変な作業ですが、今後も地道に活動を続けていきたいと思います。

最後に

現在、Mobility Technologiesではデザイナーとして一緒に働く仲間を募集中です。
また、Mobility Technologiesではカジュアル面談も実施中です。
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