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「よくある間違い例」から学ぶ、DTP校正時の注意点・15選

こんにちは、DTPオペレーターのあきづきです!
先日公開した校正の練習用問題「校正間違い探し」を紹介した記事では、沢山の方々にお読みいただき、ありがとうございます!

前回の記事では「校正の基礎(手順)」を主軸に紹介していました。
今回は前回紹介しきれなかった内容の補足版として、「校正時の気づきを増やす」きっかけ作りを目的とした、「校正する際に気を付けたい注意点」について、校正例の解説を交えながら簡単に紹介していきたいと思います!

解説画像の見方

解説画像の見方

左に「元原稿」、右に「校正結果(解答例)」の内容を表示しています。


赤字周りの注意点

この項目では、主に「作業時の見落とし・見間違い」「うっかりミス」から起こりがちな「赤字周りの注意点」について紹介していきます

a. 入力間違い

校正赤字例_入力間違い
数値入力を打ち間違えた例

✔️ 校正時のポイント
「金額」「注文番号」など、特に慎重性が必要な箇所は、一桁ずつ慎重に数値を確認することで、間違いを見つけていきます。

 

b. 修正漏れ

校正赤字例_修正漏れ
要素の入れ替えに気を取られ、赤字指示を見落とした例

「一文字だけ消す」という指示自体、元々見落としやすい内容。
そこにレイアウト調整も加わるとそちらにも気を取られるため、赤字修正指示が更に見落とされがちです。

✔️ 校正時のポイント
「原稿にチェック漏れが無いか」を確認する事で、見落としを防ぎます。

 

c. 修正箇所が異なる

校正赤字例_修正箇所誤り
修正箇所を見間違え、間違って隣のアイコンを消した例

修正箇所の周辺に類似内容がある場合、「修正する箇所を間違えた」というのもよくありがちな失敗です。

✔️ 校正時のポイント
通常の校正と「指定外変化の確認」とを組み合わせる事で、「修正漏れ箇所」と「間違って変わっている箇所」のそれぞれを見つけていきます。


d. 内容を消しすぎ・余分な内容が増えている

校正赤字例_消しすぎ
文字を消す際に、誤って前の文字まで消しすぎた例
校正赤字例_内容が余分
保存時の入力ミスにより「s」が入ってしまった例

修正箇所の前後はこれらのような「消しすぎ」「余分な内容が増えている」ということが起こりやすい箇所です。

✔️ 校正時のポイント
「赤字の直前・直後の確認」と「指定外変化の確認」とを組み合わせる事で、見つけていきます。

 

e. 画像の欠け

校正赤字例_画像の欠け
本来画像の外側のフレーム(マスク)を選択すべきところを、
内側の画像字体を選択していたため、移動時に上側が欠けた例

トリミングや移動の際、画像が誤って欠けてしまっている例もよくありがちな失敗です。

✔️ 校正時のポイント
画像に関する修正指示があった場合には、「画像の四つ端に欠けがないか」を確認することで、見つけていきます。

 

f. 体裁が他と異なる

校正赤字例_体裁違い1
校正赤字例_体裁違い2
それぞれ、体裁を他と揃え忘れた例

修正前の状態が必ず正しいとは限らないので、時には「正しいかな」と疑うことも大切です。

✔️ 校正時のポイント
赤字を見ている時には中々気づきにくいので、一通り校正が終わった後、「最後に全体を俯瞰して見る」ことで、体裁違いを見つけていきます。

 

g. レイアウトの調整忘れ

校正赤字例_レイアウト調整漏れ1
アイコンを削除した後、隣のアイコンを左に詰め忘れている例
校正赤字例_レイアウト調整漏れ2
画像の角度を変えた後、全体のバランス調整を忘れた例

内容が増減した時には、随時バランス調整を行いますが、赤字だけを直してバランス調整を忘れてしまうこともよくありがちです。

✔️ 校正時のポイント
「最後に全体を俯瞰して見る」ことで、レイアウトルールが異なるところや、バランスが悪い箇所がないかを見つけていきます。

 

h. 漢字(字体)が異なる

校正赤字例_漢字が異なる
厳選の「選」の字が、「撰」になっている、という字体違いの例

恐らく今回の問題の中で、初めての方には一番の難問。

「こんな入力間違い、普通に変換をしたら絶対にあり得なくない?!」とついつい思ってしまうような、トンデモ間違い。
しかし実は、もし作業者が次のようなやり方をしていた場合には、このようなことが起こりうることがあります。

・OCRを使った入力
・漢字一文字ずつ、手書き入力からの変換(※海外委託している場合など)

また、普通に文字変換する場合でも注意が必要なのが、下記のような「会社名(商品名)」や「人名」などの事例。
前述の例の場合はまだ「そもそも日本語としておかしい」ので、音声読み上げをかければすぐに間違いに気がつけますが、こちらは「日本語としては正しい」ので、意識して見ていないと、中々気がつきにくい間違いです。

𠮷野家 と 野家
・渡  と 渡邉 

✔️ 校正時のポイント
会社名・商品名・人名に修正が入った場合には、原稿とカンプを見比べ、漢字の一画一画を慎重に確認することで、字体違いを見つけていきます。


疑問・申し送りの注意点

この項目では、主に「校閲的な視点」の内容について紹介していきます。

DTPをしていると、時折「原稿自体に誤りがある(もしくはその可能性が考えられる)」ケースに遭遇します。
それに気がついた場合、「確実に内容が間違っている」と判断がつく場合には直して申し送りをしますが、直さない場合でも、必ず依頼主へ質問(申し送り)を行います。

※もし作業者が申し送りを残さず直していた場合には、「申し送り漏れ」ではないかを、校正者は念のため作業者に確認をする事が多いです。

 

a. 桁数の確認

校正赤字例_桁数の確認
他が全て「8桁」なのに対し、一箇所だけ「9桁」になっている例

カタログによっては注文番号の桁数が決まっている場合があります。
その場合「一つだけ桁数が異なる」というのは、「赤字指示に間違がある可能性が高い」ため、必ず依頼主へ確認を行います。
 

b. 金額の確認

校正赤字例_レイアウト金額の確認
指示通り直した結果、税込・税抜金額が合わない例

金額はとても重要な情報のため、注文番号の桁数同様、こちらも必ず依頼主へ確認を行います。

✔️ 校正時のポイント
赤字と合わせて、念のため自分でも計算し、見つけていきます。

 

c. 文言統一

校正赤字例_文言統一1
「作業時」に文章の不一致に気づき、既に修正している例
校正赤字例_文言統一2
「校正時」に文章の不一致に気づき、質問をしている例

同じ用語・情報はなるべく文言統一されている方が望ましいので、こちらも適時依頼主へ確認をしながら、なるべく統一をしていきます。

※この例では、確実に間違っている前者は直して申し送りとし、後者に関しては判断がつかないため、直さず申し送りとしています。

 

d. 日付と曜日の不一致

校正赤字例_曜日違い
日付と曜日が合わない例

どちらが正解か判断がつかないため、こちらも依頼主へ確認を行います。

✔️ 校正時のポイント
日付と曜日が出てきた際には、カレンダーを見て整合性を確認します。


指定外変化の一例

この項目では、主に指示が無いのに何故か変わってしまっている「指定外変化」の内容について紹介していきます。

「いつ」「どこで」「どんな形で起こるか分からない」のが、指定外変化。今回は経験上、発生頻度が高い失敗例を挙げています。

※基本的に指定外変化に関しては、あおり校正や差分などを見る事で発見に繋がることが多いため、個別のポイントは全て省略しています。

 

a. 配置位置が異なる

校正赤字例_配置位置の誤り
他のオブジェクトを移動する時に、誤って「ツメまで選択」してしまい、ずらしてしまった例

 

b. 画像の変化

校正赤字例_画像の変化
何らかの理由で、画像が古い画像に置き換わってしまった例

  

c. 不要な要素の増加

校正赤字例_不要な要素
誤ってペーストしたなど、何らかの理由で余分な要素が増えている例

など。
指定外変化の内容は、とても多種多様に渡るので、在版流用や再校以降など、比較元がある場合には、必ず「あおり校正」もしくは「差分」を見て、指定外変化が起きていないかを確認します。


まとめ

今まで約10年ほどDTPをしてきた中で、校正の作業を行う上で一番大切だと感じていることは、「内容が間違っている前提にチェックする」ことです。

「多分大丈夫」と確認を怠った時に限って、思わぬ修正不備や指定外変化が起きていたりするもの…。
忙しい時、時間がない時はつい「念のための確認」がよく飛ばされてしまいがちですが、そこを疎かにしたことで、印刷事故や重大なクレーム問題が発生してしまうのは、本末転倒なこと。
そのため、基本的には少しでも「大丈夫かな?」と不安に思ったら「多分大丈夫」と過信しすぎず、「必ず念のため確認をする」ことが、校正を行う上で一番大切な考え方だと、私は考えています。


おわりに

校正もデザインと同じく、目を養う一番のコツは「どれだけ沢山の赤字を見てきたか」ということだと思っています。

同じ修正内容でも、人それぞれ「修正の仕方」が異なるからこそ、間違え方やミスの内容も十人十色
だからこそ日頃から「どんな赤字は漏れや間違いが起こりやすいのか」という点を、色々な赤字を見る事で一つずつ蓄積していく。
そうすることで、少しずつ気づける点が増えていくと考えています。

今回の記事が、少しでも皆さんの目を養うための「気づきのタネ」に繋がれば、幸いです!

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