冬の息、意外と

白い、暑い、湿っぽい。
喉を焼き切るような冷たさ。
君の亡霊は地平線の向こう側を走っている。
僕はそれを追って、足を空で泳がせている。
始まるんだ、きっと過去が。
詩を読んでいた君の髪が落ちるのを見ていたあの時が。
にぶくてざらりとした冬の吐息を、僕が吸って、粉雪をまぶして叩き返す。

息が底をついて、一旦膝に手を置くと、立ち止まった君が手を伸ばしてくれた。
「初めまして」
君の頬が雪化粧をしている。
ノスタルジーはいつだって新鮮だ、意外と。


もらったお金は雨乃よるるの事業費または自己投資に使われるかもしれないし食費に消えるかもしれない