描写って考え出すと難しいけど、凝り過ぎも良くないのかな 小説の書き方
木があります。
何も考えてないと、「木があった」です。
ちょっと考えると、「大きな木が堂々とそびえ立っていた」とかになるでしょうか。
描写に凝っている人だと、「ごつごつとした木肌の老木は、強風に枝が煽られてもしっかりと地面を掴んで立っていた」とかになるかもしれません。
でも一周回って上手い人だと、こうなります。
「 」
何も書かない。
半分冗談ですが、半分は本気です。
実際に上手い人の文章を見ていると、自分がいかに書きすぎなのかがわかります。その場面の状況や、目に入ったものの質感や、主人公の感情や、全部書いてしまいます。
それに、もっとでかい話をすると、「書かなくてもいいシーン」というのがあるんです。記事後半で言及したいと思います。
書かなくてもいい描写
描写において、「書かない」ことは大事です。
「俺は真夏の直射日光を浴びながら全力で走った。汗がだらだらと流れたが、それをぬぐうこともしなかった。とにかく必死だった」
いや、「真夏の直射日光を浴び」の時点でもう汗だくでしょ。どっちか削れ。
いや、汗をぬぐいもしないで走るって絶対必死でしょ。どっちか削れ。
結果、こうなります。
「俺は必至で走った」
ふざけんなという方もいらっしゃるでしょうが、私はこれもアリだと思います。
その前の場面で今が夏であるということは書かれているでしょうし、「全力」も「必死」も「汗」も「ぬぐおうとしない」も全部同じような意味です。
だからここの描写に関してはここまで減らす。
さっさとつぎの描写に移っちゃいましょう。そんなにこの描写が大事かって話ですよ。
個人的に好きな描写ではあるけど、物語の大筋からすると大事じゃない。じゃあ削りましょう。それでも未練があるなら、なるべくコンパクトにする。
「俺は流れる汗もぬぐわず走った」
これぐらいが妥協点ではないでしょうか。
描写というのは諸刃の剣で、「この人の描写ステキ!」ってなることもあれば「かったるい」と思わせてしまうこともあります。長く書こうとせず、自分の描写力は大事な場面に取っておきましょう。そのペース配分も含めて描写力と言えるかもしれません。
皆さんは「描写がかったるい」と思わせないためにどんな工夫をしていますか? 良ければコメント欄で教えてください!
応用:書かなくてもいいシーン
たとえば私の小説で「神様へラブレター」という変なタイトルの小説があります。
この小説では、書こうと思えば書ける場面をあえて削りました。
自作の小説を憧れの男子に手渡した葉月は、次の日学校で小説の感想を訊きます。
この場面を、いきなり葉月のセリフから始めてみました。そしてそのあと、「二人きりで話せるように、葉月と蒼斗は学校の屋上へ来ていた。」とだけ解説があります。
そう、葉月が蒼斗の手を引いて学校の屋上へ向かう場面、初々しい恋のワンシーンです。書きたくなります。でも、書きません。
読者が「え? 二人きり? どういう感じで屋上に来たの?」と想像してくれると思ったからです。
いや、正直ここまでは考えていませんでしたが、結果そうなったかもしれないってくらいです。まだまだ私も未熟です。
まとめ
読者の想像力を最大限まで引き出すには、最小限の描写がいい。
くどくなくテンポのいい描写をしよう。
自分の描写力は大事な時にとっておこう!
筆者について
超無名Web小説家、雨乃よるるといいます。
更新頻度は低いですが、カクヨムで小説を書いています。
気になった方はカクヨムで私の作品を読んでみてください。記事の中で紹介した作品です。
神様へラブレター(雨乃よるる) - カクヨム (kakuyomu.jp)
また次回お会いしましょう!
もらったお金は雨乃よるるの事業費または自己投資に使われるかもしれないし食費に消えるかもしれない