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眠っている機能性を掘り起こすことで生まれる、「ファンクショナルブランディング®」とは?


こんにちは、YRK&マーケティングチームの越野です。

今日のnoteコラムはYRK&の登録商標で独自に開発・提唱する、「ファンクショナルブランディング®」戦略のお話です。自社のブランド戦略を考察する上でのヒントになるかもしれません。是非ご一読ください。

ファンクショナルブランディング®は、「イングリーディエント・ブランディング」に比べて広義に位置します。

ファンクショナルブランディング 図

そもそも、イングリーディエント・ブランディングとは


圧倒的な競争優位性を持つ部品や素材などを対象としたブランド戦略で、
成分ブランディングなどと和訳されることもあります。
代表的なブランドとしては、インテル、ゴアテックス、シマノ等が上げられ、いずれも、その技術・成分を川下に位置するセットメーカー(パソコン業界でいうとDELLやNEC)へ販売供給し、両者でブランド価値を高め合うことで差別優位性を確立するブランド戦略です。


一方、ファンクショナルブランディング®

これは例えば、パナソニックのナノイー、コンビのエッグショック、ダイソンのサイクロンテクノロジーなど、”自社製品ラインナップの範囲のみ”で展開する独自技術のシンボル化で、コモディティ化市場において差別優位性を図るブランド戦略も含まれています。

それはすなわち、可視化・管理されていない、埋もれてしまっている「商品価値」を活用し、商品や事業を横断したコミュニケーション強化により経営的効果を発揮させます。


勿論、これはどちらが優れている、劣っているという事ではありません。
自社が置かれている市場環境や目指すべきポジションによって、もう少し踏み込んで言うと、自社のミッション・ビジョン・バリューを定義した延長線上で、どちらの戦略でいくのか?経営戦略として考えていかなければなりません。

今回は、このファンクショナルブランディング®の必要性や活用方法を具体的に解説します。コラムニストは弊社ブランドクリエイティブユニット(BCU) ブランドクリエイティブディレクターの大西 イッセイです。是非ご期待ください。↓↓

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#コモディティ化を突破する、ブランド戦略。 眠っている機能性を掘り起こすことで生まれる、 新たな価値づくり。

機能訴求(ファンクション)にはスペック優先、コモディティ化、差別性の弱さ、ストーリーの欠落、ベネフィット不在など、コミュニケーション戦略においては、どちらかと言うとネガティブな印象が多いかと思います。我々が伝える「ファンクショナルブランディング®」は、「その機能」を聞いた時に、「その機能」がもたらす価値や、便益、有効性、満足感、その後の環境イメージまでを、一貫してイメージさせられるかどうかが大切だと考えます。

すなわち、ブランディングとして、その機能から「連想される世界観」の閾値にまで達しているかどうかが重要なのです。

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コモディティ化を突破する。

私たちの身の回りを見渡すと衣食住、ほぼ不便なことはもうなくなりました。なんでも揃えることができます、しかもローコスト&ハイスピードで必要なものを必要な分だけ揃えることができる。近頃はそれに加えてデザインも素晴らしいですよね。統計的にも生活満足度が向上し、日常的不自由がない時代と言われています。「モノの価値を感じにくい」コモディティ化時代です。

どの商品もどんぐりの背比べに見えているということですね。コピーもすぐできちゃう時代ですし、これ以上のモノの飛躍的な発展がないのでは?と思ったりもします。

そんな、モノや情報が溢れる市場において、生活者に「指名されるブランド」になるために、まず、数多くある商品やブランドの中から一歩抜け出て選択肢に入り込むことが重要です。瞬間的に発見でき、直感的に何か良さそうだ!と「機能性ではなく、機能感を醸成」することが重要な鍵を握ります。

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「ファンクショナルブランディング®」で最も重要なことは何か。

機能が持つ本質的価値を抽出し、言語化、可視化と磨き上げることも大切ですが、その機能だけをプロモーションすること自体は、実はそう難しくありません。その価値を「ブランディング」として、やり切れるかどうかが最も重要なのです。価値を積み上げ、蓄積し、PRや広告、SNSやクチコミをコントロールしながら、社内外のどちらをも「連想される世界観」にまで連れていけるかどうか。そして、その機能を「ブランド資産」と捉えて、継続的に投資できるかどうかに「成功と失敗の大きな差」が生まれるのです。

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シャープのプラズマクラスターが典型的な成功例だと言えます。あのブドウのシンボルですが、プラズマ放電によって作られたIonが集まった状態がぶどうの房(クラスター)に似ていることからネーミング化されてマーク化されています。このマークはwithコロナにおいても、清潔で安心な品質のマークになり、大成功し続けています。

「清潔で安心感」が連想される世界観として構築されているからこそ成功したのですね。さらに、「ファンクショナルブランディング®」のもう1つのメリットは、この機能が搭載されている各商品を横軸で突き刺すことができます。プラズマクラスターは、空気清浄機、加湿器、エアコン、掃除機、ドライヤー、LEDライト、そして飛行機、電車、車、公共機関にも拡張し、シャープ全体のブランドイメージにまで発展しました、つまり「点の戦い」から「群の戦い」に持ち込めたということです。まさに「ファンクショナルブランディング®」

点から群へ

圧倒的な潔さと強さを感じますね。ユニクロのヒートテックは「暖かさと着心地」が連想される世界観となり、ファンクショナルプロダクトとして圧倒的なシェアを獲得し続けています。少し古いですが、Intel社は「インテル入ってる?」のメッセージとともに、「インテルが入っていることでの高性能感」を連想させています。GORE-TEXは「完全防水素材と大自然にも負けない強さ」を連想させてくれます。

このように、機能性だけを伝えても伝わりにくい価値が、「ファンクショナルブランディング®」により「機能感」を醸成し、持続的に戦略的に「ブランディング」されているのです。

ですので、単なるマークのデザイン、単なるプロモーションとは大きく違うのです。ちなみに下図にあるように、機能だけでなく素材や思想などを可視化する企業も最近は増えてきています。

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機能価値の可視化の方法。

その商品が持つ機能の一番優れたポイントをワークショップなどで議論し、言語化、可視化していきます。実は、企業側が伝えたいと思っている価値と、生活者側が求めている価値にズレが生じているケースがよくあります。だから、第三者的な視点を入れて、市場と社会を俯瞰して機能の本質的価値を決めていくことが重要になります。

これは、企業側から広告代理店へのオリエンテッドなしくみでは到底生まれません、ブランディングに特化したパートナーと共に、共創型で取り組まれることをオススメします。この価値抽出は意外と体力が要りますが、見つかった時はプロジェクトチームが一丸となる満足度があります。一過性のものではないので、形に残りますしね。

機能の本質的価値が見つかっても、基本的には機能訴求がベースであるため、一般生活者には難しかったり、複雑だったりするので、クリエイティブの力を使って、わかりやすく、クリティカルにネーミングをブラッシュアップしていきます。次にデザインの力で人の記憶に残るマークをシンボライズしていくのですが、ブランドを背負うことになるので慎重に、色々検証しながらファンクショナルブランドのシンボルに昇華させていくのです。

シンボルマークの重要性。

1971年にカリフォルニア大学の心理学者メラビアンが提唱した法則では、話の内容などの言語情報が他人に影響する割合はたった7%、つまり人間は視覚で物事を判断しているのです。

周りを見渡してください、まず目に入るのは映像や写真ですよね。次に図柄や色、最後に文字なのですね。人間は100年前も100年後も視覚に頼って生きているのです。ブランディングは企業と生活者との信頼をデザインする仕事です。その1つのシンボルマークは、生活者が安心できる品質の太鼓判のようなものだと考えています、ただのマークではありません。

割合

やり続けることが成功の鍵。

最後に、どれだけ素晴らしくてもファンクショナルブランドを創るだけでは何の意味もありません。そのファンクショナルブランドを「一貫性を持ってプロモーション」していくことがとても重要なのです。YouTube、SNS、TVCM、WEB、店頭、OOH、PRなど、多角的なメディア時代に、その機能から「連想される世界観」をまるごと浸透させましょう。

どんな商品にも必ず機能があります。「今すぐにでもはじめられるブランディング」ですので興味があればぜひお問い合わせください。

イッセイ

株式会社 YRK and
ブランドクリエイティブユニット(BCU)
ブランドクリエイティブディレクター
大西 イッセイ

ファンクショナルブランディング®に関するプレスリリースはこちら

ファンクショナルブランディング®のホワイトペーパーはこちら


【こんな企業にオススメ】

①競合製品・サービスとの差別化を図りたい

②ブランドのコミュニケーションの主戦場として店頭にウエイトがある

③特許技術など独自技術の価値が伝わっていない

④販売員のセールストークとなるものが確立されていない

⑤機能を基点に自社製品を横軸につなぎ、他製品の購入につなげたい