認知症の傾向を知ると、景色は変わって見える ── 『認知症世界の歩き方』を読んで
今年で30歳になった。
ということはつまり、両親は定年間近になったということだ。これまで考えないようにしてきたけど、そろそろ老後のことが現実味を帯びてきた。どちらもまだまだ元気だけど、時が経つのは早い。
さらに最近、母方のおばあちゃんが認知症になりかけていると言う。
自分自身は健康なだけに、自分の尺度で「相手はこうだろう」「なんでそんなこともできないんだろう」と思ってしまう。何に気をつけたらいいかわからない。どう変わってしまうのか想像できない。わからなくて考えてしまい、疲弊してしまう。
そんなときにTwitterで流れてきたのが、『認知症世界の歩き方』という本だった。
この本は、「認知症」という、一括りにするのがむずかしく、伝え方も複雑になりがちな内容を、“旅” に見立てて紹介していく。切り口が初学者にやさしく、初めて読んでも理解しやすかった。(イラストや解説がわかりやすいので、半日で読み終わってしまったほど!)
ライツ社のnoteでも、一部公開されている。
この本を読んでみて実感したのは、ざっくりでもいいから「当たりをつけられること」のありがたさだった。当たりをつけられると、「こうかもしれない」と、相手の立場に立って想像できる。対策も考えられる。それに、想像とちがったらくわしく聞いてみる余裕も生まれる。
個人的にびっくりしたのが、「お風呂に入りたくない」というところ。
体性感覚が鈍くなってしまう(知らなかった!)ことで、極度に熱く感じたり、ぬるっとした不快感があったり。また、お風呂に入ったばかりだという時間感覚のズレや記憶の取り違えなど、1つの事象でも複数の要因が考えられるのだそう。
また、本の最後には、「服を着るのが難しい」や「洗濯していることを忘れる」など、ぜんぶで148もの生活の困りごとがまとまっている。生活シーン別に逆引きができるのもありがたい。
知らなかったことを新しく学んでいく過程は、すごく楽しかった。「へぇ!」「知らなかった!」「なるほど!」と為になることも多かった。
新しい知識を得て、今の自分にはない立場から物事を見れるようことになることで、「わからなさ」への不安が減っていく。不安が減ると余裕がうまれ、落ち着いて考えることができる。たぶん、そのときになったらあたふたしてしまうだろうけど…。
本にも書かれていたけど、「認知症」の中にもいろんなタイプがあり、ひとくくりにしてはいけないし、母方のおばあちゃんがそのタイプにぴったり当てはまるかどうかはわからない。でも、全体感を知れて本当によかった。
認知症に関して「何となく気になっているけど、どれも小難しそうで、どこから手をつけたらいいかわからない」という人は、最初の一歩として、ちょうどいいかもしれない。
おばあちゃんだけでなく、両親のときのためにも。
これを機に、今から少しずつ学んでいきたい。
この本の感想文を書こうと思ったきっかけは、「 #読書の秋2021 」でした。この企画をnote社内でも盛り上げようと、有志のメンバーで参加者を募り、2人組になって、感想文を読み合い、公開。
僕は、人事の小森谷さんとペアでした。小森谷さんのおじいちゃんは認知症だそう。そのおじいちゃんとのエピソードをからめながら、この本を読んだ感想を書いています。感想文の記事はこちら。
感想文は、その本を通してその人が何を感じたのか、気づいたのかを知れるのがいいところ。なので、読むと記事を通して人となりがわかって、すごくおもしろい。いいきっかけをもらいました。ありがとうございます!
「読書の秋」企画は、11月30日(火) まで開催中。
ビジネス書から絵本まで、出版社さんが幅広い書籍をご紹介してくれているので、この機会に読んで書いてみてはどうでしょうか?
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