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北回帰線を読んだよ。


今日は、ヘンリーミラーの北回帰線について話して行こうと思います。


youtubeでもゆるく話しているのでラジオ感覚でも聴いてみてください!


私が読んだのは、新潮文庫から出てる、訳は大久保康雄さんです。

はじめに、私は本に対しての知識とかはないのでゆるい感想です。 

この作品を一言で言うなら
ツイートにいいねを押すのに近いです。

短い言葉を並べると、とても薄っぺらく聞こえます。この作品を完璧に、これ以上ないくらい綺麗に言語化されている方がいます。序文を書かれているアナイス・ニンという方です。ネットで調べたらヘンリーミラーの愛人だそうです。彼女の文を抜粋すると、この作品は

「豊穣で複雑な1つの人生」
「流れるがままの服従」

という風に表現しています。5ページの短い文章なんですけど、この作品の全てがここに詰まってると思います。

この作品は、ストーリーとか展開を追うことはそこまで重要じゃないんですが、超簡単にまとめると。
パリで遊びと仕事を繰り返しながら暮らす青年の日常の話ですね。

生活のなかで出会う友人であったり、行きずりの女性であったり、散歩してる街や人の様子を描いているんですけど、そこから急に視点が内面に向かって自己観察がはじまります。だんだん内と外の境界線があやふやになっていく。そこが心地よいところでもあり、読みにくさを感じるところでもあります。その繰り返しです。パリという街はたくさんの人がいて華やかである一方、貧富の差や光と闇があります。さらに、人が大勢いるのだけど、自分は海の外の人間で、アウトサイダーで常に孤独を感じています。

都会に生きる孤独というのがが丁寧に描かれています。

ただ、北回帰線はストーリーを追って、結果がどうなったかという一般な物語の流れとは変わっています。日々の生活に対して、主人公の僕はどう感じたかということを、しつこいくらい自分の心を観察して、言語化しています。それがツイートをスクロールするに近いものを感じました。

ツイッターって、その人から見たその人の世界を断片的に綴っていてます。人生のストーリーや展開を追うのはあまり求めていなくて、特に脈絡がないけど、全体を通してその人の価値観に触れることができたり、何気無いツイートに共感したり、それでいいねを押したりするわけで。北回帰線はその感覚に近いです。いいねを押す代わりに、蛍光ペンで線に引いたりしましたね。

ツイッターみたいに、人生って脈絡がなくて答えもない。いくら歴史とか科学を勉強したり、偉人の教えを聞いて知恵を蓄えても人生の共通の答えってわからない。だから各々がの日常の範囲内で答えを見つけ行くものだと思っています。

北回帰線を読んでいると仏教のことを思い出したりしましたね。この作品でいう外というのがパリです。人や物やお金が絶えず動いている街だけど、満たされることがなくて空腹で貧しくて孤独で愛を常に求めています。一方で貧しさを感じながら内面を観察している時ってすごく文章が豊かになります。意図して書かれたものなのか、わからないけど私はそこの比較が面白かったです。

私の個人的な話になるんですけど、以前3ヶ月鬱病で休職していました。その時に北回帰線を読みました。当時田舎のアパートに一人暮らしていました。社会人の空白の3ヶ月って本当に無限を感じます。さらに鬱で基本的に何の気力もないっていうので、本当に孤独を感じました。その時に北回帰線を読んでいたので、主人公の僕の気持ちが痛いくらいしみました。多分満たされているときに読んだらそこまでハマらなかったと思います。
なので孤独を感じたり、貧しいときとか、失恋した時に読むのがオススメです。僕が寄り添ってくれます。

しかし、今思い返してみると、苦しさに依存するのではなく、ただ川の流れのように身をまかせるというか、「流れるがままの服従」と言う序文のアナイスニンの言葉が最後に響いてくるし、それが孤独とか苦しいと言う感情の乗り越え方なんだと思います。

というわけで、今回は北回帰線、ご紹介しました。見てくださってありがとうございます。


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