【読書ノート】2030年アパレルの未来 ー日常で消費する製品から業界を捉えてみるー
ローランド・ベルガーの方がアパレル業界についてまとめた著書。
アパレル業界の特徴、実際の企業事例、今後の生き残るアパレル企業の特徴等までかなり具体的にまとめている。
■この本を読むと良い人
・アパレル業界への就職や転職を考えてる人
・現職でアパレルで働いている人
・1つの業界を深く理解するということを経験してみたい人
■この本で学べること
・閉鎖的、変化が遅い業界の大きな変化の仕方
・今後のアパレル業界変化への見立て
■印象的だったポイント
①外部環境変化による業界人の衰退
ヨーロッパのファッションショーや業界人同士のクローズドな人間関係、展示会等の情報からトレンドを作り、一方向に消費者に情報を提供してきた業界人。テクノロジーの進化や新興サービス登場などのトレンドに関する情報の同時性は高まるかつ、小さなトレンドから双方向に情報が浸透するようになっている。
情報の非対称を武器にトレンドを作り一方向のコミュニケーションを作ることに価値があった人たちの価値は徐々に減っていく。
②2割の能動的な消費者はインフルエンサー化する
アパレルの消費において、感度が高く能動的に選択している層は2割と言われている。残りの8割は、受動的な消費者とされ、選ぶことにサポートがいる。インスタグラム等の個人メディアの台頭により、上記の2割はインフルエンサーとなり、残り8割へのレコメンデーションをするようになる。
これは、インスタを使ってみてもそうだろうなーという印象。
かつての雑誌の編集者やスタイリスト、販売員の機能を一部代替しているとも言えるところが面白い。単純に代替はされないが、レコメンドする機能を職業にするにはかなり競争が上がっていると言えるのではないか。一部のアパレル企業ではスタッフにSNSアカウントを運用させるように指導しているのも見受けられる。
③ラクスルと同様の観点を持ったシタテルというサービス
「シタテル」という企業は、川上から川下の中小企業の非効率な連携や情報共有に着眼し、繊維工場と製品の生産インフラを必要とするアパレル企業をつなぐサービスである。
技術力の高い工場のアイドル時間を効率よく発注者とマッチングさせるという意味で印刷会社と印刷発注車をマッチングさせているラクスルと似ている。同じような川上から川下までの構造が複雑で遊休資産が生まれやすく構造の業界にはまだまだ効率化のチャンスがあるのかもしれない。
④ブランドストーリの弱さ
日本のブランドにはブランドとして差別化するためのストーリが弱いという。ブランドとしての価値を証明するために必要なのは、
ブランドとして設定するブランド価値の正統性の有無とルーツがあるか。
確かに、様々なアパレルの広告が流れてくるが、誰でも作れるアクセサリーやTシャツをみても、買うきにならないがマクアケなどで本物の職人のこだわりや生産者のストーリが乗っかると購入を検討する気がする。
個人や少人数でのブランド立ち上げの敷居が低くなる分、上記がないような小規模なブランドが多く立ち上がり、淘汰されそうな予感もする。
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