ダイナミックおじさん現る! その2
こちらからの続きです。
筆者は対面販売のカウンターに立っていた。
すると齢70は超えると思われる老人がやってきた。
「これ、お宅で買ったんだけども、マウスついてないから使いづらいわ」
調べると、付属ではマウスがついていないモデルだった。
「こちらはマウスは別売りとなっています」
「いや、お宅でこのパソコンの前にもデスクトップのパソコン買ったんだわ」
「はい」
「それには付いていたんだわ」
「はあ」
「デスクトップはT〇SHIBAのダイナミックで、このノートもダイナミックって言うから買ったのに。同じダイナミックで何でついてないのさ!?」
ここで筆者は果たして「ダイナミック」を突っ込んで良いものか途方に暮れた。
選択肢は3つある。
A 「はあはあ。ダイナミックと言いますか、Dynab〇〇kでございますね?」とさり気なく訂正する。
B 「デスクトップはダイナミックですよね? こちらのノートパソコンはDynab〇〇kと言いまして、違うパソコンなのでマウス付いてないんですよ!」と突っ込む。
C 訂正しないでその文脈で受け流す。
筆者はCを選択した。
「いえでもこちらのノートパソコンは付属ではマウスが付いていない仕様となっていまして」
「いや、同じダイナミックで何でついてないのさ!?」
「ですから……」
延々とループする。
さらには
「ダイナミックって言うから(ノートパソコン)買ったのに」
「それなのにマウスついてなくてやりにくいからマウスも買って」
「そうしたらそのマウスも不良品で」
いつしか怒りから切ない涙目になっていた。
ここから脱出するためには何が出来るだろう?
そうだ、二ヶ月前確かマウスを忘れたお客がいた。
しかもDynab〇〇kをダイナミックと叫ぶおじさんが!
筆者のメモリには下記のコードがロードされた。
if (お客 = ダイナミックと叫ぶ) {
忘れ物のマウスを出す
} else {
普通のご対応
}
「お客様、以前こちらのマウスをお忘れになりませんでしたか?」
「あ、これ。探してたんだわ。どこへ行ったかと思っていたのに……」
消耗を避けるため、電池を外しておいたので付け直す。
相変わらず電池がはめにくい。
「前対応してくれた人はもっと上手にやってくれたのに」
筆者の脳裏には選択肢が3つ現れた。
A 「それ、私です」
B 「その係員じゃなくて申し訳ありません」
C 意に介さない
(面倒くさかったので)筆者はCを選択した。
多少手間取ったが無事電池を装着し、更に念のためBluetoothのペアリングもやり直した。
無事マウスが動くさまをお互い確認すると老人は満足したが、別件を延々と話始める。
本来筆者は別の仕事で手が離せない状況だったので、軽く受け流し一礼して引き下がる。
今度こそはマウスを忘れずに持っていった老人だが、単に誰かとお話をしたかっただけなのかもしれない。
おしまい。
別の話につづく。
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