花吹雪|#シロクマ文芸部
花吹雪は幸せでした
美しく舞い散ることも忘れ
ただ 優しい風に吹かれて
繋いだ手を離すことは
勇気のいることでしたが
風に飛び乗った時の恐怖心は
いつのまにか消えました
くるくると舞いながら
心躍る瞬間が
永遠に続くことを願い
限りある命を喜びで満たして
ひらひらと落ちていく花びらは
地上10cmのところで
信じたままに
また ふわりと飛んで
辿り着いた場所は
陽あたりの良い
最後の花道でした
芽吹く新緑の
静かな喝采が
遠く 遠くに
聞こえました
(おわり)
◇#シロクマ文芸部 に参加させていただきました。ありがとうございました。
(時間に間に合っていません。ごめんなさい…。)
父の四十九日も終わり、気がつけば桜の木も新緑に。
白装束の代わりにタキシードに蝶ネクタイで、ベートーヴェンの交響曲第九番が鳴り響く葬儀場から、極楽浄土に見送って。
あちらの花畑に寝転んで、歌でも歌っているような、そんなことを想像をさせる法名(戒名)をつけていただいて。
いろいろあったけれど最後まで幸せな人だったと、そんな父のことを思う日々を過ごしていました。
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