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改めて探索的テストと向き合う 〜ソフトウェア・シンポジウム 2020 参加レポート〜

ソフトウェア・シンポジウム 2020 がオンラインで開催されるとのことで、
今回初めて参加してみました。

2日目のワーキンググループは 探索的テストのコツ~チャーターの活用術~ を選択。
仕事で探索的テストを行う機会が増えた中、自分のやり方で本当に品質保証できているだろうか? テスト実行を他のメンバーに依頼する際に正しく指示が出せているだろうか? と少し不安になっていたところでした。
そんな不安から抜け出すヒントが得られたらいいなと思ったのです。

探索的テストの問題点は何だろう?

参加者はオーナーのネモトさんを含め7名。
当初予定していた内容を少し変更し、まずは探索的テストに対して抱えている悩みを話してみようということに。

一番盛り上がったのは 属人化 と 教育 について。

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個々人で異なるバックグラウンドを持っているからこそ多彩な観点が出るはず。属人化をポジティブに捉えるとそうなります。
問題は バグが見つけられない人、チャーターに書かれたことだけを実行して終わらせてしまう人 をどうフォローしていくのかという点です。
センサーに引っかかる感覚、つまりベテランのテストエンジニアであれば違和感を抱くであろうポイントをジュニアレベルの実行者が身につけるにはどうすればいいかという教育面の問題が絡んできます。

これに対しては 実行後にふりかえりの時間を設ける という解決策が出ました。ナイスなバグが見つかったらその人に手順を聞いてみる、達人から学ぶというやり方です。複数人で実行する場合はその方法が良さそうです。
(この後のやりとりでも度々ふりかえりの話が出てきました。自分の場合あまりそこに時間を割いていなかったので目から鱗というか反省……)

テスト設計のスキルが無いと探索的テストはできないのではないか という意見も出ました。テストケースを作成する時間的余裕があれば、レビューを通してサポートした方が長期的には有効かもしれません。

ちなみに個人的に気になっていたのは
いつもチャーターを細かく書きすぎてしまうので、実行者の想像力の妨げになっていないか不安
という点でした。

これに関しては他の参加者から出た
書かれていることから逸れてもいいよと言う
という経験談が突破口になりそうです。
派生した思考を止めない、探索的テストの基本だけど一番大事なところですよね。

Explore It! の2章を読んでみよう

ここで個人的に以前から気になっていた探索的テストの名著 Explore It! をみんなで読むことに。

読んだのは2章。チャーターについて書かれているところです。
テンプレートがなかなか良いですね。

Explore ( target )
with ( resources )
to discover ( information )

( 標的 ) を ( 資源 ) を用いて探索し、( 情報 ) を発見する

これだけでもう「あ、買おう」って思いましたもん。

2章で心に残った箇所を話し合ったのですが、
「探索はリスクや問題を見つけるだけではなく、新しい要求を発見する機会にもなりえる」
というくだりを全員挙げていましたね。
探索的テストには学習が含まれるという、大事なことを思い出させてくれる一文でした。

miro を触るのが楽しくなって……

今回のワークでは miro を使用しましたが、
僕とネモトさん以外の参加者は miro を触るのが初めてでした。
ホワイトボードのような手触りと柔軟性に夢中になった結果、
「miro の探索的テストをやろう!」ということに。

miro のテストチャーターを書くという話だったのに、自分はいつものクセでマインドマップのようなものをつらつら書いてしまいました。
まずは自分の中で整理したいんですよね。

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ここで他の方のすてきなチャーターを一部紹介します。

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範囲、ゴール、優先的に触ってほしいポイントが書かれているのがいいですね。

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こちらのチャーターの面白いところは、「これからテストしてほしいところ」ではなく「ここはもう見たのでそれ以外を探索してほしい」という指示に使われているという点です。チャーターを書いている時点で作成者が最低でも一度はプロダクトを触っていることになるという考え方だそうで、なるほどその発想は無かったなと。

Fun Done Learn でふりかえり

よりポジティブなふりかえりがしたいねというところから、今回は FDL でのふりかえりを行いました。個人的に初めてです、FDL。

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一番感じていたのは 探索的テストについて語り合うのはやっぱり楽しい! ということでした。
個人のセンスや価値観の違い、一緒にテストをするメンバーとの関係性などによってバリエーションが出てくる探索的テスト。やり方に正解は無いからこそ、ときどき今回のようなワークを通して刺激を受け、自身をアップデートしていくことが大事ではないかと思いました。

ありがとうございました!

オーナー:ネモトさんのレポもどうぞ。


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