2020年5月21日

朝8時起床。

寒い。

冬用のカーペットもストーブも閉まってしまった。

あまりエアコンは好きじゃないんだけど暖房でなんとか過ごす。


「ラジオにおけるメールの存在」

結果を出すという事は数字を出す事だ。

テレビなら視聴率、DVD、CDなら売上枚数、再生数。

ラジオも聴取率と再生数というものがある。

ラジオにおける数字というのは「リスナー」と呼ばれる番組を聴いてくれる人が何人いるか?で決まる。至極簡単な仕組み。

ただ他のコンテンツと違い、ラジオ独自でラジオならではの指標がある。

それがメールの数。

テレビ番組でメールを募集して、それが何万通になった所で「凄い」とはならないが、ラジオ番組におけるメール数は番組の実力と紐付いているような感じを受ける。なのでメール数の多い番組は盛り上がっている、人気というイメージがある。


「メールの価値」

ただラジオ番組におけるメールの数って、実はそのもの自体に金銭的価値はない。

メールが増えたからと言ってスポンサーが増えるわけでもない。

現にメールを募集していない番組でも大スポンサーが付いている場合もある。

Twitterのフォロワーみたいなものだ。

フォロワーは増えた所で1円の特にもならない。

派生でPR案件が来る場合もあるが、フォロワーの数自体に価値があるわけではない。

ではメールの価値とは何か。

先にも書いたがメールの価値は「番組の盛り上がりの指標」。

当然、盛り上がっている番組にはメールの数が増える。

なので僕らラジオ制作者はメールの数が増えるようなコーナーや番組構成を考える。

金銭的価値はないが、番組的価値があるのがメールだ。


「メールが来ない」

前に担当していた番組のことだ。

毎回、メールが来ない。

面白いトークはしていると思う。

パーソナリティーにも多くのファンが付いている事は知っている。

しかしメールが来ない。

メールが来ないというのはパーソナリティーのテンションを極端に下げる。


メールを送るというのは、実はかなりハードルが高い。

昔は官製はがきにボールペンで住所とラジオネーム、文章を書くという恐ろしくハードルの高い事をしていた。

メールになってそれもかなり楽になったと思うが、これも大変。

いちいちパソコンかスマホ開いて、アドレス入れて文章書く。

普通聴いている人なら送らない。

「この面白い輪に自分も入りたい!」と思わなければメールを書く気にはならないだろう。


その番組は何をしても本当にメールが少なく、途中からメールを送って貰うことを捨て、聞き専ラジオにする事にした。

※メール募集などリスナーとのやり取りを主ではなく、パーソナリティーの喋りを主とする聞く事をメインとしたラジオ

番組をその方向に舵を切り、パーソナリティーの新しい一面が出た。

これもこれでラジオとしては成立するのだが、やはりメールが欲しかった。


「作りメール」

番組でメールが来ない時に言われがちな一言。

「作りメール入れて貰えませんか?」

いわゆる作家がリスナーに化けてメールを送る事だ。

正直、あまり好きではない。

めんどくさいってのが一番だけど、スタッフが底上げした所で番組全体の底上げにはならない。

カンフル剤を打ったところで、体力ないならどうにもならない。

あと最近のリスナーは嗅覚が凄い。

鋭い人は作りメールが分かってしまう。

個人的にはあまり推奨はしない。

どうしてもという時には担当作家の僕ではなく他の作家に頼み、選別段階で作りか分からないようにして貰う。

自分で書いたメールを自分で選別してパーソナリティーに読ますという所がなかなかしんどい。


「メール職人」

同じ番組で何度も読まれる通称「メール職人」。

人気番組には同じ人から何十通、何百通とメールが届く時がある。

ただ何百と送っても採用されないと意味がない。

採用がどれくらいいくかによって、スタッフやリスナーから「職人」と認識されるかどうかが決まる。

10通送って10通採用されるのも100通送って10通採用されるのも同じ。

要は採用されるかされないか?だ。

メールの採用に関しては過去に記事を書いているので、そちらを見て欲しい。


ただメールが上手い職人の共通点として、「ラジオで話題になっている流れとは違う所を突いてくる」というのがある。

例えば今担当している「告RADIO」のコーナー番組「うるバカ」。

パーソナリティーの鈴木崚汰くんイジりが面白い番組なのだが、少し前のブームが鈴木くんへの童貞イジり。(本人は否定しているが)

童貞イジりで番組が盛り上がった回が放送されると、次の週「童貞イジり」のメールが爆発的に増える。

ただよく採用される職人は「童貞」じゃないイジりのメールを送ってくる。

童貞で盛り上がったのはもう前。番組は生き物だから常に進化している。

職人はそれを肌感で分かっていると思う。だから童貞メールが増える中、職人は別の方向性からメールを送ってくる。

これが凄い。

そのバリエーションがあるから採用される。

これが出来る人はそんなに多くないので、同じ人のメールが採用されがちになる。

結果、職人へとなる。


「総括」

ラジオ番組にとってメールは必要なものだ。

メールが多いから番組が続くとはならないが、番組を盛り上げる為に必要不可欠なものだ。

是非、興味がある人は聴いている番組にメールを送って欲しい。

採用されるされないば置いておいて、その一通がパーソナリティー、スタッフの士気を上げる。

採用されたらその面白さに気付くかもしれない。

もっと送りたくなっているかもしれない。

最終的にメール職人になっているかもしれない。

まぁ面白いメールを書けたからと言って、人生のプラスになるかどうかは分からないが。

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