note短歌

【35歳①】 よく晴れてなんにもない日むりにでも出かけなければもう角砂糖/法橋ひらく

こんにちは、柴田葵です。今回は私が私の言葉で私の考えていることを書きます。

先日、法橋ひらくさんの第一歌集『それはとても速くて永い』批評会に行きました。

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※第一歌集とは、その作者(歌人)の最初に出した短歌の本です。尚、この歌集は書肆侃侃房から刊行されている新鋭短歌シリーズの21冊目。新鋭短歌シリーズとは、自薦他薦による有望な若手歌人の、主に第一歌集を打ち出していく企画です。kindleでも読むことができます。

※歌集批評会とは、歌集をより深く読むための勉強会のようなものです。数名のパネリストが様々な切り口で歌集を批評し、それについて話を深めます。様々なスタイルがあると思いますが、私を含め大多数の方はそれを座学のように聞く体勢で過ごします。とても面白いです。

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そこで「推し歌バトル」というコーナーがありました。「法橋さんの歌集『それはとても速くて永い』のなかからイチ推しの短歌を選んで良さを語り、より説得力のあるチームの優勝」というゲーム形式のもので、4名の歌人がばりばりと「推し歌」を語っていました。

というわけで、私の推し歌はこちらです。

よく晴れてなんにもない日むりにでも出かけなければもう角砂糖/法橋ひらく

「角砂糖」。角砂糖ってなんなんでしょう。あんなに真っ白な立方体って他にあるでしょうか。なぜわざわざ、砂糖を立方体に固める必要があるんでしょう。どうせまもなくコーヒーなり紅茶なりに入れて、崩して溶かして無くしてしまうのに。

世界の定理に則って、美しく正しく押し固められ、角砂糖にされてしまった砂糖は、まもなく消えることがさだめられています。

無理にでも出かけなければ。あなたも角砂糖になる前に、脱出しなければ。


法橋ひらくさんは一度歌会でご一緒したことがありますが、あとから、同じ生まれ年だと気付きました。この歌は数年前につくられたはずの歌ですが、現在35歳である私は、まだ角砂糖になりたくないし、なるかもしれなくて、無理にでも出かけます。

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