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父と私の日記

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かなり変わった父とアル中の母を持つ娘(一人っ子)の忘備録です
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2024年2月の記事一覧

生死を分けた伊豆旅行⓵

生死を分けた伊豆旅行⓵

毎年夏になると父の友達とうちの家族で、海か山へ1泊2日の旅行に行くのが定番だった。

父の趣味は多岐に渡るが、基本的には自然に親しむタイプの人だった。
親しむと言っても野草を愛でたりバードウオッチングしたりという親しむではなく、キャンプは山奥。野グソは常識。川の水飲むのは当たり前(湧水に限る)。海に行けば素潜り上等。焚き火はその辺の木を拾ってきてかまどを作って…という感じで、サバイバル感満載な遊び

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生死を分けた伊豆旅行②

生死を分けた伊豆旅行②

沖を泳いで父の言うプライベートビーチへ行くことが決定し、各自ビーチボートにコンロや食材、折り畳みのビーチチェアやボールを積み込み始めた。
私はシュノーケルと浮き輪。母はまだ何かわあわあ騒いでいるが、一人置いていかれるのも嫌なので渋々フィンを装着していた。
ボートの前方はO夫妻、後方にはTくん。真ん中左右に私と母というフォーメーションで、肝心の父はすでに海の中で待機しており、まるで「特攻隊長」のよう

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オリオン座映画館にて

オリオン座映画館にて

我が家はアウトドアな父と、インドアな母の両極端な構成の家族なのだが、映画と読書は両親の共通の趣味でもあった。

静岡市内には映画通りなるものがあり、街中から少し離れると紺屋町という町がある。そこには当時いくつもの映画館が軒を連ねていた。

紺屋町は、全館シアタールームの東宝会館と、信号を渡るとミラノ座1.2.3、ピカデリー、有楽座、オリオン座というおしゃれで夢のある名前の映画館が集合している地域で

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