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【ビジネス書解説】24 TWENTY FOUR 今日1日に集中する力

こんにちは。
今回は、堀田秀吾さんの「24 TWENTY FOUR 今日1日に集中する力」について解説していきます。

はじめに


1日、24時間は、すべての人に平等に与えられています。では、24時間をどう使えば、ビジネスの成功や充実した人生につながるのか。どうすれば、今日を自分のために使ったことになるのか?その答えは、「今、目の前のことにただ集中すること」です。これは一見、当たり前に思えます。しかし、それをなかなか実践することはできないです。

毎日「やるべきことに集中できない」「24時間があっという間に過ぎて、何一つやるべきことが達成できていない」そんな人が沢山います。僕たちの周りには、集中を妨げるものがたくさんあります。そのため、自分でコントロールできないと、時間を消費し続けることになります。

この本には、「今日1日に集中するにはどうすればいいのか」その解決策が30個紹介されています。
この記事では、その中から僕が厳選した5個を解説していきます。
やるべきタスクを集中して進められない人や、毎日を無駄に過ごしている人は絶対に見てください。勉強になった、もっと知りたいと思った人は、いいねやコメントください。


具体的なアクションプラン

【1個目】 「未来」と戦っても人生は好転しない。

人がやたらと情報を集める背景には「情報を集めることで、失敗や間違いをなくしたい」心理があります。人がマルチタスクを行うのは、「そのほうが生産性が高い」と思い込んでいるからです。そして、これらはいずれも、「仕事や人生を効率よく成功させたい」という思いにつながっています。

しかし、いくら情報を集めて危機を回避して、自分を有利な状況に持っていってもダメです。いくらさまざまな仕事を同時にこなして、生産性を高めて、自分の価値を高めようとしてもダメです。いくらタイムマネジメントを徹底して、人生をコントロールしようとしても、その先にビジネスの成功や豊かで幸せな未来が待っているとは限らないです。それよりも、さまざまなことを上手にこなしている気になって、いらない情報や、本当はやる必要のない仕事の依存度が高まるだけで、人生にクリエイティブなことはまったく起きないです。

そもそも、知りえぬ未来と戦うこと自体が、人生の幸福度を下げることも多いです。過去に「こんな未来にしたい」と思いを抱いて、努力したにもかかわらず、望むような結果が得られないと、理想と現実とのギャップに苦しむことになります。

たとえば、一生懸命勉強して、いい学校や、 いい会社に就職する。幸せな人生を歩むために最適な行き方だと思って頑張っても、今の自分は毎日仕事に追われて、やりたいこともできず、幸福とは言いがたい人が沢山います。また、定年になればたくさんのお金と自由な時間が手に入って、悠々自適(ゆうゆうじてき)の生活が待っていると思って頑張って働いてきた。いざ定年になってみると、体力が落ちて自由がきかなくなって、定年後にやろうと思っていたことが何もできていない人もいます。ほかにも「昇進すれば」「転職すれば」 「結婚すれば」 素晴らしい未来にたどり着けると思っていたのに、思い通りにならず、苦しみや悔しさを感じている人がたくさんいます。

未来に多くのことを望んでも、それが叶うとは限らないです。また、現在に不満があるからといって、過去を変えることもできないです。つまり、僕たちは、未来も過去もコントロールすることができないです。僕たちがコントロールできるのは、今だけです。つまり1日=24時間しかコントロールできないです。だから何よりも大切にしてほしいのは、今日の24時間にやるべきシングルタスクを決め、集中して取り組むことです。僕たちが確実にできるのはそれだけです。その積み重ねの結果として、仕事の成功や、充実した幸福な人生が待っています。


【2個目】 未来の不安を予想しても「95%」当たらない。

人生は選択の連続です。僕たちは、1日あたり千回以上の選択をしています。

そして、多くの選択は、実は不安が基準になっています。「失敗したくない」「苦労したくない」「キャリアに傷をつけたくない」など、将来起こるかもしれないリスクを避けようとする消極的な考えが、選択を左右しています。

でも、不安という感情は完全になくすことはできないです。僕たちが不安を感じるのは当たり前のことだし、適度な不安はやる気の源になります。しかし、不安が大きくなりすぎると、仕事ややるべきことが手につかなくなって、ときには心身の病気になってしまうこともあります。そのため、不安とうまくつきあっていくこと、そして不安をコントロールすることが大事です。そのためには、不安の正体を知る必要があります。

不安は、選択の基準にしたり、行動の指針にするべきものではないです。なぜなら、人が不安に思うことの9割は、実際には起こらないからです。シドニー大学が行った「悩みごと」に関する調査があります。その調査によると、48%の人の悩みごとは、「問題解決過程」にあったそうです。つまり、約半数の人は、「この問題をどうやって解決したらいいのか」悩んでいました。

また、この調査では、「結果は変えようがないと考える人ほど、さまざまな解決法を否定的にとらえる」傾向も明らかになりました。「この問題をどうやって解決したらいいのか」と悩みつつも、「何をやってもダメに決まっている」と決めてしまっているため、ますます問題解決できなくなります。つまり、多くの人は起きた問題自体に悩んでいるわけではないってことです。

たとえば、仕事でミスをしたとき、「問題を解決するために、まずは上司に相談するべきか」「でも、叱られたらどうしよう。減給されるかもしれない」「隠しとおすことはできないだろうか」「でも、バレたときにもっと叱られる」といった具合に、まだ起きていない未来について考え続けてしまいます。

一方で、そうした人には、「何かほかの出来事が起きない限り、悩み続ける」特徴も見られました。これは、裏を返せば、「そうした人は、より意識を向けるべき出来事が起きれば忘れてしまう程度の問題に悩んでいる」ってことです。

また、ペンシルバニア大学の研究によると、「心配ごとの79%は実際には起こらず、16%の出来事は事前に準備をしていれば対処可能」なことが分かりました。つまり、心配ごとが現実化する確率はたったの5%です。ほとんどのことは実際には起こらないか、適切に準備することで、いざ起こっても乗り越えることができます。

しかも、今感じている不安は、1年後にはほぼ確実に忘れます。「エビングハウスの忘却曲線(ぼうきゃくきょくせん)」という理論があります。これは、19世紀のドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが、時間の経過とともに人の記憶がどのように変化していくかを研究して、提唱(ていしょう)した理論です。

研究は、子音(しいん)母音(ぼいん)・子音からなる意味のない3つのアルファベットを被験者に覚えさせて、時間と節約率の関係を調べる方法で行われました。結果 20分後の節約率が58%、1時間後は44%でした。約9時間後は35%、1日後は34%、2日後は27%、6日後は25%、1ヶ月後は21%でした。ちなみに節約率とは、一度記憶した内容を再び完全に記憶するのに必要な時間をどれだけ節約できたかを表すものです。つまり、この結果は、「時間が経てば経つほど、人が覚えたことを忘れやすくなる」ということを示しています。人間は本当によく忘れる生き物です。今感じている不安も1年後には忘れています。そう考えると、不安という感情を、少し冷静にとらえることができるようになるはずです。


【3個目】 やる気が出ないときは、今日やるべきシングルタスクを決めて、その作業を始める。

不安はチャンスに変えることもできますが、不安が大きすぎたり多すぎたりすると、判断ミスや集中力や、パフォーマンスの低下を招きます。では、どうすれば余計な不安を遠ざけることができるのか?答えは簡単です。とにかく、今日やるべきシングルタスクを決めて、その作業を始めるだけです。

脳の仕組みから考えると、目の前のことに集中するためのやる気は、気合を入れたり考え方を変えるだけでは、なかなか生まれないです。やる気は、実際に作業を始めたときに初めて生まれます。そのため、作業をしている間に深い集中状態に入っていきます。気の進まない仕事や、手のかかる作業など、「嫌だなあ」「面倒くさいなあ」と思ってなかなか手をつけられなかったのに、いざ始めてみると意外にハマって、集中できた経験が誰にでも1度はあると思います。

人間のやる気を司(つかさど)っているのは、脳の中の淡蒼球(たんそうきゅう)という部位です。淡蒼球を機能させるには、体を動かし、行動を始めてみることが一番です。脳研究で知られる、東京大学の池谷裕二(いけがやゆうじ)教授と上大岡(かみおおおか)トメさんとの共著『のうだま やる気の秘密』によると、やる気が出ないときは「頭で考えるよりもカラダを動かす」「やる気が出たからこぶしを上げるのではなく、 こぶしを上げたからなんだかやる気が出る」と書かれています。

不安を感じながら、目の前のことに集中できずにいると、いつまでも不安が払拭(ふっしょく)されないです。しかも、やるべきことをやっていない焦りも生まれて、不安がどんどん増していく悪循環に陥ります。しかし、一度、今やるべきことを始めてしまえば、やる気が起きます。そのため、集中力が増して、余計なことや、ネガティブなことを考えることがなくなり、不安にとらわれる時間が減ります。その結果、さらに集中力が増して仕事などがはかどるという好循環が生まれて、幸福感も得られます。

「不安を減らして、最適化した状態で人生を過ごしたい」考えは、現代の日本にはびこる罠といえます。明日自分の命がどうなるかわからない、 明日社会がどうなるかわからない状態では、将来のために今を犠牲にする考えには至らないです。

しかし、今の平和な状態が長く続くと思い込むのも、幻想です。どんな時代や、どんな社会であれ、人の一生は今の積み重ねです。そのため、何らかの不安を抱えて、今やるべきことへのモチベーションや集中力が落ちて、パフォーマンスが上がらない、成果が出ない人は、とにかくやるべきことに手をつけて、「集中できた」「パフォーマンスが上がった」という成功体験を積み重ねてください。

やる気を出してパフォーマンスを上げるには、声を出すのも有効です。リヨン大学の実験によると、声を出しながら動作を行うと、パフォーマンスがアップすることがわかっています。この実験では、被験者に 「ジャンプ!」と言わせてから垂直跳びをしてもらいました。すると、何も言わずに行ったときに比べて、平均で6%も高く跳べました。

さらに、ドレクセル大学によると、被験者に握力測定器を、①息を吸いながら、 ② 息を吐きながら、 ③ 声を出しながら、の3通りの状態で握ってもらい、握力を測定しました。その結果、③のときは、①に比べて25%、 ②に比べて11%も強く握れました。


【4個目】 幸運だと思いこむと、運が舞い込む。

ハートフォードシャー大学のワイズマンの調査によると、 「自分が幸運だ」と信じている人は、新聞にさりげなく仕込まれた賞金がもらえる情報を見つけ、賞金を持ち帰る確率が高かったそうです。こうした調査などの結果を踏まえ、ワイズマンは「運がいいと思い込むだけで、周囲の視線も好意的なものに変化して、生活に変化が表れる」と言っています。

本来は薬としての効果を持たない偽薬でも、患者が医師から「この薬は病気に効く」と言われ、服用すると、思い込みの力によって症状が改善することがあります。それと同じく、たとえ仕事で困難な状況に直面しても、「自分は運がいい」「自分にはクリアできる」と思い込むことで、不安を遠ざけ、高いパフォーマンスを発揮し、乗り越える力が生まれます。

不安をはじめとするネガティブな感情を寄せつけないためには、不機嫌な表情をしている人の顔を見ないことです。ネガティブな人と関わる時間をできるだけ減らすことが重要です。なぜなら、ネガティブな感情は伝染するからです。

アメリカ国立衛生研究所の実験によると、人間は、他者のネガティブな表情を見ると、ネガティブな感情を抱くことがわかっています。

また、ハワイ大学の研究によると、ネガティブな人と一緒に過ごすと、顔の表情や姿勢や、声の出し方や動作まで似ることが明らかになりました。否定的な人と過ごす時間が長いほど、人は同じような考え方をするようになります。

人はそもそも、ネガティビティ・バイアスを持っていて、どうしてもネガティブなものに意識を向けてしまいます。そして、他人のネガティブな言動や心の状態に影響を受けやすく、無意識のうちにまねをする傾向があります。落ち込んでいるときは、気をつけてください。専門家の間では、「うつ状態にある人には、自身に否定的な情報をよく思い出し、否定的な情報をもとに物事をとらえる傾向がある」ことが知られています。これは、「抑うつ者のスキーマ」と呼ばれています。

ちなみに「スキーマ」とは、スイスの心理学者ピアジェが提唱した概念で、「物事の捉え方の枠組み」や、 「人が自分以外の外界を認識する枠組み」のことです。人は落ち込んでいると、否定的な情報をもとに物事を判断するため、さらに落ち込んでしまいます。

ネガティブな人や情報に影響を受けて、落ち込んだ状態から抜け出せない人は、自分のせいだと思い込まず、 「今、自分は抑うつ者のスキーマの中にいるのだ」 「たまたまネガティブニュースが生んだ悪いループの中にいるだけだ」と考えましょう。そうすると、気持ちが楽になります。


【5個目】 最強の習慣「イフ・ゼン・プランニング」。

より良い24時間を過ごそうと心に決めても、それを習慣化することは簡単ではないです。そこでおすすめしたいのが、「イフ・ゼン・プランニング」です。イフ・ゼン・プランニングは、「いつ、何をするか」をあらかじめ具体的に決めておくものです。人間の行動を変えて、やるべきことを習慣化したり、よくない習慣をやめるのに非常に有効な手段です。また、さまざまな研究によって、目標達成率が2~3倍も高くなることがわかっています。

イフ・ゼン・プランニングの基本形は、次の通りです。「もし(if)、~になったら(~だったら)、そのときは (then) ….する」です。いくつか例を挙げます。
「(もし)午前9時になったら、(そのときは)15分間でメールをチェックして返信をする」
「(もし)土曜日の午後3時になったら、(そのときは) 近所の公園をゆっくり散歩する」
「(もし)集中力がとぎれたら、(そのときは)5分間、ストレッチをする」
「(もし) 誰かに腹を立てたら、(そのときは)頭の中でゆっくり10数えて気持ちを落ち着かせる」
このような形で、具体的な行動計画を作ります。最初のうちは、紙に書いて目につくところに貼っておくのがおすすめです。

あまりにもシンプルすぎて、「そんなことをしても意味あるの?」と思う人もいると思います。しかし、イフ・ゼン・プランニングの目標達成や習慣化における効果は、さまざまな実験によって明らかにされています。たとえば、「やり抜く人の9つの習慣」の著者であるコロンビア大学の社会心理学者、ハイディ・グラント・ハルバーソンは、「運動を習慣化したい」目標を持つ被験者を集めて、次のような実験を行っています。ハルバーソンは、被験者を2つのグループに分けて、片方のグループにはイフ・ゼン・プランニングを教えずに目標設定をさせて、もう片方のグループには「月曜日、水曜日、金曜日になったら、仕事の前に1時間ジムに行く」といった具合に、イフ・ゼン・プランニング形式で目標を立てさせました。

すると、数週間後、前者のグループは39%の人しか運動を習慣化できなかったのに対して、後者のグループでは91%の人が運動の習慣化に成功しました。また、コンスタンツ大学のアヒージガーらが行った実験によっても、 イフ・ゼン・プランニングの効果が確認されています。

イフ・ゼン・プランニングの効果がこれほどまでに高い理由は、脳が「○○なら××である」という文章を理解・記憶しやすいからといわれています。そして、一度「イフ・ゼン」によって行動計画を立てると、脳は無意識のうちに、決めたタイミングでしなければならないことを実行しようとします。「何曜日の何時に何をやらなければ」と気にしたり、「何をすればいいんだろう」と悩んだりしなくても、そのときがくれば、脳が自動的に行動を起こさせてくれます。これなら、意思が弱い人でも、忘れっぽい人でも、簡単にやるべきことを習慣化して、目標を達成することができます。

僕たちの周りには、誘惑がたくさんあります。しかし、イフ・ゼン・プランニングを使えば、こうした誘惑に打ち勝てます。そして、習慣化した「やるべきこと」に、より集中して取り組むことができます。

僕たちが何らかの誘惑に直面したとき、脳内では、大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)と大脳新皮質(だいのうしんひしつ)の2つの部位が働きます。このうち大脳辺縁系は、食欲や性欲や、睡眠欲などの本能や欲求や、喜怒哀楽を司っています。人が何らかの誘惑を目にしたときは、まず大脳辺縁系がその誘惑に反応するかどうかを決めます。大脳辺縁系の決断は速く、選択の結果がどうなるかは考えないです。大脳辺縁系が一度誘惑を受け入れてしまうと、簡単にやめることができないです。あとで勉強や仕事に支障が出ても、「ゲームをする」「サッカーの中継を観る」と決めれば、人はなかなかそれに抗うことができないです。

一方、理性や論理的な思考などを司る大脳新皮質は、誘惑に対して思慮(しりょ)深く、ゆっくりと対処します。試験前ややらなければならない仕事があるときほど誘惑に負けやすいのは、脳がストレスを感じて、大脳新皮質よりも大脳辺縁系の働きが優位になってしまうからです。

しかし、そのようなときでも、大脳新皮質の働きを活発化させれば、冷静な判断を下して、誘惑に打ち勝ち、やるべきことに集中できるようになります。そして、ニューヨーク大学の研究によると、大脳新皮質の働きを活発化させるうえで、「もし勉強中にゲームをしたくなったら、深呼吸を5回する」「もし仕事中にサッカーの試合を観たくなったら、コップ一杯の水を飲む」など、イフ・ゼン・プランニングを使うことが有効と提唱しています。ぜひ実践してみてください。

解説は以上です。アメリカの企業家、ヘンリー・フォードは「たいていの成功者は他人が時間を浪費している間に先へ進む」といっています。また、スティーブ・ジョブズは「この地上で過ごせる時間には限りがある。本当に大事なことを本当に一生懸命できる機会は、2つか3つくらいしかない」といっています。

「今日1日をどうすごすのか」という人類永遠の課題に対して、あなた自身の答えを出せるのは、あなただけです。大切なのは、自分だけの一歩を踏み出すことです。この記事を参考にして、最高の24時間を手に入れてください。今回の解説が参考になった人は、いいねやコメントをください。


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