【ビジネス書解説】「とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?」
こんにちは。
今回は、長尾 義弘さんの「とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?」について解説していきます。
はじめに
40代のころは、老後なんてまだずっと先のことだと実感がなかったのに、50代になってから 老後の暮らしが心配になってきた…。
老後に向けてお金を残したいけど、年金だけで暮らすようになるまで、あと10年、15年ほどしか残されていない…。
仕事を辞めたあと、年金だけで暮らせるかどうか不安がいっぱい…。
この記事をご覧になっている人の中には、将来のお金に関する悩みや不安を抱えている人がいると思います。
たとえば、住宅ローンや教育費に追われて、貯蓄がほとんどない人、数年後に子供が大学受験を控えている人、子どもはいなくても、遊びや旅行でお金をいっぱい使って貯蓄はほとんどゼロ、って人もいるのではないでしょうか?
実は、一般に思われているよりも、50代で貯蓄があまりない人は少なくないです。
近年、平均寿命が延びて、老後の生活期間が長くなったことも、不安を大きくする要因の一つとなっています。
定年退職してから短くても20年、もしかしたら30年以上生きる可能性も十分あります。
そのため、親世代と比べて、老後資金はより重要です。
50代になっても、老後に向けた資金作りをする方法はいっぱいあります。 たとえ貯蓄ゼロからのスタートでも、頑張れば何とかなります。
この本では、50代で見直したいお金の使い方が66個紹介されています。この動画では、その中から僕が厳選した11個を解説していきます。
今まさに、お金の不安に直面している50代の人はもちろん、あまり将来のお金について考えていない人にもおすすめの記事です。
勉強になった、もっと知りたいと思った人は、いいねやコメントください。
具体的なアクションプラン
【1個目】 老後の生活に不安を抱える人は多い。
老後に漠然(ばくぜん)とした不安を感じている人は、非常に多いです。
生命保険文化センターの2019年度の意識調査によると、「自分の老後生活に不安感あり」と答えた人は8割を超えています。
ほとんどの人が不安を感じています。
男女別では、女性のほうが不安な人がより多くなっています。
一般的に、女性は長生きするのが理由のひとつ考えられています。
では、何に対して不安なのかというと、「公的年金だけでは不十分」という理由が断トツの1位です。
健康上の不安が次に続きますが、3位と4位はまたお金に関する不安です。「退職金や企業年金だけでは不十分」 「自助努力による準備が不足する」理由があげられています。
ほかの同じような調査を見ても、ほとんどの人が老後のお金に不安を感じている事がわかっています。
PGF生命が実施した「2021年の還暦人に関する調査」では、平均貯蓄額は3026万円となっています。
「還暦人」とは、その年に60歳を迎えるという意味です。
この平均額はかなり多いと思う人が多いです。
しかし、実際は、ものすごく貯蓄の多いごく少ない人が、平均を引き上げています。
同じ調査で、ほぼ3人に2人の貯蓄額が2000万円未満、同じく3人に1人が300万円未満、4人に1人が100万円未満と答えています。
お金を持っている人はたくさん持っています。
しかし、貯めていない人はほとんど持っていないです。
お金を持っている人と、持っていない人の、二極化が進行しています。
【2個目】 リタイア後の生活に必要なお金。
生命保険文化センターの意識調査によると、夫婦2人がゆとりある老後生活をおくるのに必要な金額は月額36万1000円です。
「ゆとり」と考えるのは、旅行やレジャー、趣味、教養にかかる費用、日常生活費の充実です。
また、夫婦2人で老後生活をおくるうえで必要と考える「最低日常生活費」は、月額22万1000円です。
この程度の収入があれば、余裕はないにせよ、何とかぎりぎりの生活ができるイメージです。
そして、実際はどうなのかというと、2019年のデータでは、毎月3万円ほどの赤字になります。
つまり、年金だけでは暮らしていけないってことです。
毎月3万円の赤字なら、1年で36万円も不足します。
10年間では、360万円が必要です。
老後の生活が30年あるとすれば、トータルで1080万円足りないです。
しかし、2017年の調査では、毎月5万5000円の赤字という結果が出ました。 計算すると、1年で66万円の赤字で、30年間では約2000万円足りないです。この「2000万円」こそ、いわゆる「老後2000万円問題」です。
2019年のデータと2017年のデータを比較してわかるように、家計の収支を示した家計調査は毎年、データがかなり異なっています。
要するに、老後の暮らしがどうなるのかは、収入と支出とのバランスってことです。
各家庭や個人の事情、そのときの社会の状況によって変わってきます。
【3個目】 いまの50代の老後が厳しい理由。
ひと世代、ふた世代前の人たちは、けっこう楽な老後をおくっていた、ってイメージがある人が多いです。
しかし、 昔と比べて、いまの現役世代が大変なのは仕方がないことです。
いまと昔の違いを語るとき、よく例に出されるのが『サザエさん』です。
サザエさんに出てくる波平さんは、じつはまだ54歳です。
昭和の時代の終わり近くまで、会社員は55歳で定年退職するのが一般的でした。
つまり、波平さんは定年になる1年前の設定です。
波平さんがあれほど高齢者っぽく描かれているのは、現在と状況がまるで違うためです。
昭和30年頃の男性の平均寿命は65歳前後でした。
つまり55歳で定年退職したら、多くの人はわずか10年ほどで寿命を迎えていました。
当時は年金を受け取れる時期が早く、多くの場合、退職金もありました。
そのため、定年退職後の10年程度なら、ご隠居さんのような暮らし方をしても、何の問題もなく暮らすことが可能でした。
その後、日本人の平均寿命は右肩上がりで延びていきます。
それでも、昭和末期で男性はまだ75歳に届くか届かないか平均寿命でした。
つまり、いまとは老後の長さが違っていました。
しかし、年々平均寿命は伸びていて、今は老後の期間が長いです。
そのため、昔よりも老後のお金がより多く必要です。
【4個目】 老後に必要なお金は、生活費だけではない。老後の生活を楽にするポイント。
老後に必要なのは、生活費とちょっと楽しむためのお金だけではないです。年を取ったら、いろいろな病気にかかりやすくなります。
人によっては、介護の問題も出てきます。
マンションや持ち家に住んでいる場合、10年や20年に1回ほどはリフォームも必要になります。
そのため、プラスアルファの資金は、生活費とは別に用意しておく必要があります。
もしものときの出費を考えておかないと、長い老後生活をおくっていくなかで、間違いなく破綻します。
要するに、長生きすればするほどお金が必要です。
楽に暮らすためには、長く働くのがいちばんです。
寿命が延び、高齢者の数が増えていくのに連動して、会社の定年も延びる傾向にあります。
2013年に「高年齢者雇用安定法」が改正され、定年が60歳から65歳へと引き上げられました。
現在は努力義務の経過措置期間ですが、2025年から義務化されることが決まっています。
いま50代以下の会社員や公務員は、65歳まで働ける環境が整えられるわけです。
また、2021年には定年を70歳に引き上げることが努力義務になりました。 これも数年後には義務化されると予想できます。
ごく近い将来、70歳まで働くことが当たり前の社会になるってことです。
長く働くのは、老後を楽にするための最大のポイントです。
【5個目】 保険の見直しで節約する。
人生のなかで、最も大きな買い物は家です。
その次に大きな支出が、 じつは保険です。
節約のためには、大きな支出を削るのが効果的です。
保険はその最たるもののひとつです。
生命保険文化センターが実施した2021年度の「生活保障に関する全国実態調査」によると、1世帯当たり年間37万1000円もの保険料を払い込んでいます。
保険の場合、超長期の契約になります。
10年払い続けると371万円、30年払い続けると1113万円もの大金が出ていくことになります。
これほど高額の支出なのに、どういう経緯で加入するかというと、知り合いの紹介で保険の営業員が家に来て勧誘されたからって人が多いです。
プランの説明を聞いて、ほとんど言われるがままに入った、人もいっぱいいるでしょう。
1世帯当たりが払う保険が年平均38万円ということは、月額3万円ちょっと支払っていることになります。
保険の内容を見直し、必要ないものを月額2万円ほど削れば、年間で24万円、30年では720万円の支出を抑えることができます。
保険が老後の資金計画に大きく影響してきます。
【6個目】 保険を見直すべきタイミング。
保険には見直したほうがいいタイミングがあります。
ひと言でいえば、大きなライフイベントのあるときです。
家やマンションを買ったり、子どもが社会人になって独立したり、というはっきりした人生の区切りです。
子どもがまだ大学を卒業していない場合、トータルで1000万円ほどかかるため、死亡保障としてある程度の金額を残しておくのが理想です。
しかし、大学を卒業して社会人になると、死亡保障で大金を備える必要がなくなります。
つまり、子供の独立は保険を見直すべき絶好のタイミングです。
大きなライフイベントのほかには、払い込み満了の時期を迎えたときも保険を見直すべきタイミングです。
この時期が近づいたら、多くの場合、保険の営業員がやって来て、「保険が満了になりますので見直しをしませんか?」と勧誘します。
しかし、こうした話には簡単に乗らないでください。契約する前に、本当に必要なのかどうか、しっかり考えることが大切です。
提出されたプランを見ると、年齢が上がったのにもかかわらず同じくらいの保険料になっていることもあります。
年齢が上がっても保険料が変わらないのは一見お得に思えます。
しかし、これは保険の「転換」というからくりを使ったもので、お得なように見えるだけです。
保険を解約すると、「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」といって、契約者に対してお金が払い戻されます。
新たなプランが一見安く見えるのは、この解約返戻金を次の保険の保険料に充てているからです。
本来、契約者に返されるべきものですが、新たなプランに乗せられているため、戻ってこないです。
そのまま、掛け捨ての保険料として消えてしまいます。
【7個目】 一見お得に見える保険にも注意が必要。
保険料が生涯変わらない保険もあります。
保険料が生涯変わらない保険の場合、単独の医療保険は終身タイプです。
保険は通常、年齢が上がるにつれて保険料も高くなっていきます。
しかし保険料が上がらないのは、すごくお得なように思えます。
しかし、払込期間も終身です。
つまり、保険料は一生上がりませんが、一生払わなければならないです。
そのため、元気で長生きをすると支払う保険料の総額がどんどん多くなるってことです。
平均寿命が上がっていることを考えると、結果的には損になることが多いです。
【8個目】 保険の見直すべきポイントは医療保険。
20年ほど前は、定期保険特約付き終身保険がよく販売されていました。
医療特約や三大疾病特約、介護特約といった特約がてんこ盛りの終身保険です。
特約の部分を見直してみると、毎月の保険料が半分ほどまで下がることはよくあります。
医療保険などの特約は掛け捨てのため、いつ解約しても問題ないです。
医療保険は必要と考える人が多いです。
しかし、じつは、医療保険はかなり優先度の低い保険です。
日本には優れた健康保険制度があり、一般的には、かかった医療の3割を負担するだけで済むからです。
加えて、医療費が高額になったとき、一定の金額を超えた分があとで払い戻される、高額医療費制度があります。
日本の制度はよくできていて、治療費に100万円かかろうが、200万円かかろうが、一般的な所得の人なら月額9万円前後を自己負担するだけで済みます。
医療保険に入っていれば、自己負担分のお金もしっかりカバーできると考える人もいます。
たとえば、1週間入院した場合、給付金が1日5000円出るプランなら、7日分の3万5000円を受け取れます。
しかし、保険料を月額3000円とすると、年に3万6000円です。
1週間の入院をして、3万5000円を受け取っただけでは、逆に損です。
長く入院すれば、それなりの給付金が支給されますが、一般的に、入院日数はどんどん短くなっています。
また現在発売されている医療保険は、60日型の商品が主流になっています。つまり、 入院60日以上の入院には対応できないってことです。
入院と入院が180日の間をあけると、また入院給付金を受け取ることができます。
しかし、1年、2年以内に1か月の入院が必要な病気やケガを、間をあけてするかというと、しない可能性が高いです。
【9個目】 保険がなくても、負担はそれほどない。
じつは保険の新規契約数で、ここ数年、ずっと第1位をキープしているのが医療保険です。
年齢を重ねてくると、病気になったときにどうなるのか、お金は大丈夫なのか心配になります。
しかし、70歳を迎えると、多くの人は、自己負担額はそれまでの3割から2割に、75歳以上になると1割に減ります。
つまり、実際には病気になっても、それほどお金がかからないことがほとんどです。
病気になったら、どれほどお金がかかるのか、医療保険はどれくらい保障してくれるのか。
この機会に、改めて考えてみてください。
【10個目】 住宅ローンの返済方法。
早めに住宅ローンを組んでいても、定年退職後に残ってしまうことはあります。
退職金が出るなら、それでまとめて払ったほうがいいと考える人もいますが、例外もあります。
定年退職後、再雇用などで収入が半減するなか、住宅ローンを残したくないのは当然の考えです。
定年後も住宅ローンを払うのは、老後破綻に片足を突っ込んでいるようなものです。
かなりリスキーな状況なので、 退職金ですべて払えるなら、まとめて支払ってもいいです。
ただし、住宅ローンの支払いで貯蓄がゼロになってしまう場合は、避けるべきです。
60代以降の生活がとても危険な状況に陥ってしまいます。
貯蓄がゼロにならないように、住宅ローンの一部を繰り上げ返済することをおすすめします。
繰り上げ返済なら、ある程度の貯蓄を持ったうえで、支払い終了の時期を早めることができます。
いまは多くの場合、60歳を過ぎても再雇用などで働き続けるケースが多いです。
そのため、しばらくの間は、収入を得ながらローンを払うことができます。しかし、65歳以降は仕事をやめて、収入が年金だけになる可能性が高くなります。
そうなっても住宅ローンが残っている、という状況はかなりリスキーです。
あと10年足らずで退職金をもらえるとなったら、それを頼りにしたい気持ちはわかります。
しかし、想定よりも低い金額かもしれないです。
最悪の場合、会社が倒産したり、転職せざるを得なくなったりすることも考えられます。退職金に頼り過ぎることなく、ボーナスなどによる繰り上げ返済を心がけてください。
【11個目】 退職金を運用するときの注意点。
運用とは自分のお金や土地、建物などの財産を活用して増やしていくことです。
老後に向けて貯蓄するだけではなく、いまのうちに運用してお金を増やしてみたい、人も多いです。
お金が増えることが多くてお得ですが、必ずやらなければいけないわけではないです。
いままで何の経験もない場合、いきなり積極的にはじめるのは危険が伴います。
なかでも注意しなければいけないのは、もらったばかりの退職金を運用につぎ込むことです。
退職金が銀行口座に振り込まれて1週間ほどすると、銀行から 「運用してお金を増やしませんか?」という営業の電話がかかってきます。
しかし、銀行はお金を扱うのが仕事です。
運用の専門家ではないため、ここは用心する必要があります。
電話に乗せられて銀行に行くと、支店長や副支店長が歓待してくれます。
銀行側は頃合いを見て、「これがおすすめの商品です」と提案してきます。
言われるままにハンコを押したらアウトです。
銀行は手数料によって利益をあげるのが商売です。
自分たちがもうかる商品しか提案しないと考えてください。
なかでも特徴的なのが「退職金特別プラン」です。
銀行の定期預金と投資信託を抱き合わせにした商品で、定期預金の金利が7%もあります。
いまの金利は1%を大きく割っているため、すごく高い利率で一見お得に感じられます。
しかし、差し出された申し込み用紙をよく見ると、小さな文字で 「3か月」と書いてあります。
7%の利率は3か月だけで、それを過ぎれば通常の普通金利である0.002%に戻る仕組みになっています。
一方、投資信託を銀行で申し込むと2〜3%の手数料を取られます。
ということは、仮に退職金1000万円を定期預金と投資信託に500万円ずつ利用した場合、定期預金の利息は3か月で8万7500円になります。
対して、投資信託の手数料は2%で計算すると10万円、3%なら15万円です。つまり、数万円のマイナスから運用をはじめることになります。
そのため、一見お得に感じられる銀行のお誘いには、簡単に乗らないように注意してください。
解説は以上です。
今50代の人が70歳になるまでは少なくとも10年以上あります。
長い人では20年近くも猶予があります。
老後までの長い期間をどう生きるのか、どう働くのかによって、これからの人生が変わってきます。
いずれ訪れる老後から目を逸らしてはいけないです。
たとえ今貯蓄がないとしても、これからの過ごし方で挽回できます。
この記事を参考にして、まずは保険や、ローンの支払い方法の見直しなど、できることからやってみてください。
1日でも早く行動することが、老後の不安を減らすポイントです。
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