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【ビジネス書解説】「その働き方、あと何年できますか?」

こんにちは。
今回は、木暮太一さんの「その働き方、あと何年できますか?」について解説していきます。

はじめに


あと10年働いて、何が残ると思いますか?
ある程度の年齢になると、キャリアを積み上げ、会社の中ではいいポジションについています。
でも、ふとした時に「望んでいたのは今の働き方じゃない」と感じる人が多いです。

では、望んでいた働き方と、今の働き方が違う人は努力が足りないのか?
この本の著者の木暮さんはそう思っていないです。
日本人は他の国に比べて生産性が低いと言われています。
でもそれは、努力が足りないからではないです。
そして、仕事効率が悪いからでもないです。
労働生産性が低いのは「やるべきこと」が残されていないからです。
だから仕事をしても新しいものが生まれないです。

また、木暮さんは、この状況で労働時間を短くすることが根本解決にはならないといっています。
僕たちが持っている働き方への違和感は、今までと性質が変わっています。
そのため、これまでと同じ考え方で向き合っても何の解決にもならないです。
だから今こそ、その原因に目を向けるべきです。

この本では今の働き方の改善策が61個紹介されています。
この記事ではその中から厳選した7個を解説していきます。
今の働き方に満足できていない人におすすめの記事です。
勉強になった、もっと知りたいと思った人は、いいねやコメントを是非お願いします。


具体的なアクションプラン

【1個目】 このまま頑張り続けても「給料」はほとんど上がらない。

数年前から「働き方改革」が注目されています。
日本人の長時間労働は、度がすぎています。
僕たちは仕事にそこまでの時間をかける必要はないです。
これまで日本人は企業の要求に従って、必要性を吟味することなく長時間労働をしてきました。
ここで一度、立ち止まって考えることが大事です。
それと同時に、世の中で言われている「働き方改革」本当に僕たちの状況によって改善するのか、立ち止まって考える必要もあります。

このまま、企業が求めている生産性を向上させれば、「給料」は上がるのでしょうか?
仮に、生産性を倍にできて、倍の成績を残せたとしましょう。
そのとき、あなたの給料は倍になりますか?
残念ながら、給料が倍になることはないです。
日本企業の給料の決まり方から考えると、生産性を上げたところで、給料はほとんど上がらないです。

では、働き方改革が達成できたら、仕事にやりがいが持てるのか?
働き方を「改善」 できれば、あなたの仕事のやりがいが向上して、あなたの仕事ストレスは減りますか?
もしYesであれば、この働き方改革は正しい方向に進んでいます。

しかし、そうではないと答える方が多いです。
実際は、上司から言われたから 「改革」しようとしているだけです。

2017年に全世界1300万人を対象にした調査によると、日本企業は「熱意あふれる社員」がわずか6%でした。
アメリカの32%に比べると大幅に低く、139ヵ国中132位と最下位レベルでした。
さらに、2021年の調査では5%に下がりました。
「働きがい」を感じている人は他の国と比べて低い水準をキープしたままです。

そして、生産性がもし仮に向上しても、僕たちの給料が増えるわけではないです。
また、やりがいが増すわけではないです。だとしたら、何のための「働き方改革」なのか?
誰のための改革なのか?
僕たちはいつも頑張って仕事をしています。
これまでもずっと頑張ってきました。
就職する前も、いい仕事に就けるようにたくさん勉強をしてきました。
にもかかわらず、自分に満足している人はかなり少ないです。

もっと言えば、苦しい・しんどい状況に居続ける人が多いです。
その結果、去年と「同じところ」 にずっと居続けている感覚を強く持っています。
1年前、3年前、5年前の自分と比べて、今は確実に成長できていると自信を持って言えない人もいます。
給料が変わらず、自分の経済状態が向上していると感じられないからです。
仕事内容もあまり変わらず、毎日同じようなことをくり返している人が多いです。


【2個目】 8割以上の人が「収入」の為に働いている。

僕たちは毎日仕事をしています。
何のためにしているのか聞かれたら、多くは「給料をもらうため」と答えます。

2017年度に16歳から29歳までの男女1万人を対象にした若者の意識調査がありました。
84.6%の人が仕事をする目的を「収入を得るため」と回答しました。
もちろん収入は大切です。
でも、給料のためだけに働いているとしたら、毎月の給料以外何も手に入らなくても文句が言えなくなります。

自分の仕事が10年前と比べて楽になっていない。
しかも、自分の仕事が世の中にどう役立っているのかもわからない。
世の中の何を前進させたのか自信を持って説明できない。
もし、その状態なら、「ずっと同じところ」にいる感覚になってしまっても仕方がないです。

なぜ僕たちは、頑張っても頑張っても、達成感も満足感も得られないのか、その背景を分析して、ここから抜け出す方法を考える時期が来ています。


【3個目】 僕たちに必要なのは、労働生産性ではなく、自己生産性。

生産性とは何か?
「同じことを、より短時間、より低コストで生み出すこと」です。
たしかに、同じことを短時間・低コストでできるようになれば、それまでよりも効率化できています。
ただし、日本企業の場合、 無駄な作業をなくして短時間で同じ仕事をすれば、労働者として生産性を上げたことになるのかは、疑問です。

仮に短時間で仕事が終わったとしても、定時前に帰ることができないからです。
空いた時間に別の仕事を入れられてしまいます。

結局、次から次へとふってくるタスクを早く処理しろと言われているだけに聞こえます。
生産性を上げろ・効率を上げろという指示は当然のことです。
そのため、サラリーマンはそれに反論できないです。

ただし、企業が掲げる「生産性向上」は、単なるスローガンで、そもそも生産性の定義が明確にされていないし、生産性を測る指標もあやふやなケースがとても多いです。
つまり、ゴールがアバウトです。
これでは仮に生産数量を増やすことができても、同じ仕事を短時間でできるようになったとしても、本当の意味で生産性が上がったかどうかは判断できないです。

さらに、そもそも論で言えば、それは企業都合の指標です。
生産性を上げることは企業の目標になりますが、それを僕たち個人が自分の目標に置き換えてはいけないです。
僕たち個人が目指すものが「企業の生産性向上」であってはいけないです。

もちろん給料をもらっているため、業務ミッションを達成するように頑張ることは当然必要です。
しかし、それはあくまでも自分の会社員としてのミッションです。
決して、自分自身のミッションではないです。
僕たちが仕事をするのは、最終的には自分のためです。

自分のゴールが最初にあります。
それを叶える手段として、企業に就職したり、自分でビジネスをします。

「働き方」の主語は、労働者です。
労働者の働き方がもっと議論されるべきです。
それなのに、労働者の個人ミッションが無視されています。
そして、企業の生産性を上げろ、効率化して残業を減らせといった話になります。

それが労働者自身のゴールと一致していれば問題ないです。
しかし、そうではないです。
現在の「生産性・効率性向上」を達成させたところで、自分のためにはならないからです。
僕たちは自分のための「自己生産性」を上げる必要があります。
つまり自分自身が求めるもののために働くことを考えなければいけないです。


【4個目】 3+1を改善すると自己生産性が上がる。

自己生産性の意味は、「自分が望む状態に、より近づくこと」です。
そして自己生産性の要素を「3+1」に分解して考えてください。
これらを満たすことで、自分が望む状態を達成しやすくなるからです。
その要素を3つ紹介します。

要素の1つ目は、経済状態です。
経済的安心感があるかどうかです。
収入が増えていく期待が持てる、収入が減らない安心感がある、一度ゼロに戻っても再び収入が得られる確信がある状態です。

要素の2つ目は、自己存在感です。
誰かに頼られているかどうかです。
貢献できていると、実感が持てることです。
自分の行動によって、誰かに喜んでもらえている感覚を肌で感じることができる状態です。

要素の3つ目は、回避能力です。
自分が嫌いなものを避けられることです。
思い出すだけで憂鬱になることをやめること、もしくは減らすことが自分の意志でできる状態です。

この3つの要素を改善させることが、自己生産性を上げることです。
そのうえで、この3つの要素に加えてもう1つの要素を持つことが大事です。
人は選択肢がなくなると、途端に弱くなります。
そして自分が持っている唯一の選択肢にしがみつくようになります。
他に選択肢がないと「このチャンスを逃したら次はない」「この会社を辞めたら行くところがない」と考えてしまい、今の環境にしがみついてしまいます。

そして仮に、それまでの人生に満足していても、外部環境と前提条件が変わると、いきなりうまくいかなくなります。
そして、強いストレスを感じるようになります。
そうならないために、経済状態、自己存在感、回避能力の3つを整えて、僕たちの中の前提を作ります。
そして、僕たちを強くするのは+1の「選択肢」です。

業務のミッションとして、仕事の効率を上げることは大事です。
しかし、個人の人生としてはそれよりも重視すべきポイントがあります。
「経済状態を改善させられているか」「自己存在感をより認識できているか」「回避能力が身についてきたか」、そして「他の選択肢を用意できているか」です。

今の働き方改革を進めることで個人が幸せになれるとは到底思えないです。
だからこそ、僕たちが意識すべき指標は、労働生産性ではなく、「自己生産性」であるべきです。


【5個目】 ハワイと日本の店員さんの接客目的の違い。

ハワイにいくと感じることがあります。
それは店員さんの「態度」です。
ハワイのスーパーマーケットにも、レジ打ちの店員さんがいます。
しかし彼らは「店員」っぽくないです。

鼻歌を歌い、同僚と談笑しながらレジを打っています。
ときにはお客さんもそこに交じって談笑します。
日本ではあまり見ない光景です。

なぜハワイと日本でこの違いが出るのか?
気候的、文化的な背景もあると思います。
でも、店員さんの声かけからくるマインドに注目してください。
ハワイに限らず、 英語圏ではお客さんに対して 「May I help you?(メイアイヘルプユー)」 と声をかけます。
意味は、「お手伝いしましょうか?」です。

一方、日本では「いらっしゃいませ」です。
ハワイでは店員さんは「お客さんを手助けするため」にいます。
でも、日本では「お客さんに来てほしいから」います。

ハワイでは、お客さんの目的をサポートするためにスタッフがいます。
でも日本では、お客さんがお金をくれる存在で、そのお金をくれる人と接するためにそこにいます。
そのため「いらっしゃいませ」といいます。

ハワイでは、目的が明確で、「どんなことをしたい?私に何か手伝えることがある?」と聞いています。

そしてハワイのスターバックスには、モヒカン頭で顔中ピアスだらけの店員さんもいます。
日本のスターバックスであれば、採用面接で落ちる風貌です。
でも、ハワイのスターバックスに行くと、そんな店員さんも笑顔で働いています。
日本にそんな見た目の店員さんがいたらびっくりします。

でも本来、僕たちはスターバックスにコーヒーを飲みに行っているだけです。
もしくはその場の時間を求めて行っているだけです。
そのため、店員さんの見た目は関係ないです。
そしてハワイのスタバでは「おいしいコーヒーと、サードプレイスを提供するのが目的のため、モヒカンでも顔中ピアスでも問題ない」です。
つまり、目的が明確で、それを達成させるために人がいます。

一方で、日本では目的が不明確です。
強いてあげるとしたら、「必要とされること全部」かもしれないです。
たしかに、お客さんが必要としていることをいろいろ察してあげるほうが「親切」です。
それが日本のおもてなしと言えます。
でも、全部大事と言われたら、何を提供するためにそこにいるのか、わからなくなってしまいます。

また近年は、幸せになることと働くことが切っても切れない関係にあります。
そのため、多くの社会課題や労働課題を幸せになるために解決しようと頑張ってきました。
しかし、かつて有効だったさまざまな理論は、今僕たちが直面している課題の処方箋になっていないです。
僕たちはこれまでの考え方が通用しない課題を抱えています。


【6個目】 なぜ、「仕事の目的」を失ってしまうのか?

資本主義経済においては各企業が競争して、より会社の利益を増やそうとすることで、結果的に商品が安く提供されています。
消費者にとってはメリットが大きい仕組みです。
しかし、 企業にとっては、競争に勝つために利幅を減らしたり、さらに頑張らないといけないという、なかなかしんどい環境です。

しかも、今となって気づくのが、各企業の競争で削られていくのは「利幅」だけではないです。
利幅とともに重要なものが削られてきました。
それは「商品の意義」です。

ざっくり言って利幅は「消費者が感じる商品の意義」の大きさを表しています。
消費者が「高い金額を払っても買いたい、この金額を払う意義や意味がある」と思っていれば、利幅が大きくとれます。

利幅が小さくなるってことは、「その商品にそれほど大きな意義や意味が感じれない」「今持っているもので間に合うから、大金を払ってまで新しい商品を買おうと思わない」ってことです。
利幅と同時に、「商品の意義」がどんどん小さくなっています。

経済学には「限界効用逓減の法則」があります。
これは「同じことをやって得られる満足感はどんどん減っていく」ということです。

よく例にあがるのが「1杯目のビールと10杯目のビール」の話です。
同じビールなのに明らかに1杯目のほうがおいしいし、満足感があります。
そして、2杯目、3杯目と飲んでいくうちに、どんどん「1杯当たりの満足感」が減っていきます。
これが限界効用逓減の法則です。
同じことをくり返していると、だんだん満足感が減っていきます。

そしてこれはビールだけではなく、どんな商品でも同じことが起きます。
最初の商品で感じてもらえた満足感と、100番目の新商品で感じてもらえる満足感を比べると、それがよくわかります。

ゲーム機でも携帯電話でも、初号機が発売されたときのインパクトと感動はすごいです。
でもそれを改良し、バージョンアップして出された2号機は、初号機ほどのインパクトがなくなります。
もちろん初号機より性能がいいけど、消費者から見た「商品の意義」は減っています。

たとえば初号機が50点の満足感、2号機は57点の満足感だったとします。
2号機のほうが点数は高いのに、「プラスで得られる満足感」は「7点」だけです。
2号機のほうがいいけど、1号機を持っている人からすると、7点の差を得るための商品になってしまいます。

そしてこの点数は、どんどん減っていきます。
3号機は63点、4号機は67点になります。
となると、99号機と100号機の差は「0.01点」くらいになっているかもしれないです。


【7個目】 現代はやりがいが見つかりにくい

企業は競い合っていい商品を出そうとしています。
でもその工夫と努力をすることで、これからできることがどんどん減っていきます。
資本主義経済では、常にライバル同士が 「さらに上」を目指して競争していきます。
競争するのはコスト削減や生産体制だけではなく、商品の機能やエンタメ性も含まれます。
この競争は行きつくところまでいってしまい、もはや差がつかなくなっています。
新しい商品を生み出そうにも、どこに差をつけていいかわからない時代になっています。

ふと自分の周りを見渡してみると、多くの仕事がこれと同じ状態にあることに気づきます。
もはや「やるべきこと」 がやりつくされていて、これからどこを磨けばいいのか誰にもわからない状態にです。
それなのにその状態から、仕事をしなければいけないです。

しかし自己啓発本を開くと「すべては自分次第。やりがいを持とう」と書かれています。
「やりつくされた社会」で、僕たちはやりがいを見つけることを迫られています。
何のために働いているのか真剣に考えて、やりがいを見つけて下さい。

更に詳しく学びたい方は、こちらの動画をみてください♪

解説は以上です。

働いている日本人の約90%が会社員です。
その人たちが自分の仕事が好きじゃない、毎日嫌なことをやっているっていう状態は、正しい社会の在り方ではないです。

考えてみると、僕たちは労働者でありながら、消費者であり、生活者です。
では、働いている人たちは、誰のために働いているのか、ハッピーにするため、そして誰かを笑顔にするために仕事をしています。

そして、そのハッピーにする相手は、結局のところ労働者です。
つまり「自分たちのために、自分たちが働いている」状態です。

もっと自分の想いに忠実になってください。
新しいやり方を身につける前に、そこに本当に向かいたいのか、人目を気にせずに素直になってください。
今回の解説が参考になった人は、いいねやコメントを是非お願いします。

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