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【ビジネス書解説】「五〇歳からの勉強法」

こんにちは。
今回は、和田秀樹さんの「五〇歳からの勉強法」について解説していきます。

はじめに

五〇歳になると、これまで培ってきたものをアウトプットして、ブラッシュアップする事が重要です。
五〇歳は、知識だけでなく、思想が問われる年代です。
五〇歳は、会社員の場合、今の仕事でまだまだ力を発揮するべきです。一方で、男性ホルモンの低下など、生理的にさまざまな老化の兆しが出てくる年代です。モチベーションの維持が生理的にも難しい時期といえます。すでにそれなりの成果を上げているため、勉強が続かない年代でもあります。
実はこれは、前頭葉の老化によるものです。
重要なのは、何をどう学ぶかです。勉強ができない生徒は、怠け者というより、真面目な生徒が多いです。頭が悪いのではなく、勉強の仕方がよくないだけです。にもかかわらず、そのよくない方法を変える発想を失ってしまっている人がほとんどです。
いくつになっても、勉強のやり方は学んだほうがいいです。それさえ掴んでおけば、これから先、いくつになっても頭をよくすることができます。

今回は、五〇歳を迎えた人に向けて、何をどう勉強したらいいかを10個のアクションプランで紹介します。
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具体的なアクションプラン

【1個目】 アウトプットをする

日本人は比較的勤勉と言われます。社会人になっても勉強好きな人は少なくないです。少なくとも、少子化の影響で受験がかなり簡単になったり、ゆとり教育の若者よりは、五〇代の方がはるかに勉強の習慣もあります。
しかし、勉強することが目的になっている人が多いです。英語はその最たるものです。ひたすらインプットすることに夢中になってしまいます。
受験勉強もそうです。東大に入ることを目的化している学生は少なくないです。
資格試験や入学試験、昇級試験など、目的が明確な場合は、それに向けて問題集などで勉強します。しかし、それ以外の、自分なりの思想を持つための勉強や、独自の視点を持つための勉強や、情報収集などの勉強の「出口」はどこかを考える必要があります。
そもそも勉強は、なんらかの形でアウトプットするためのものです。それなのに、普段の勉強で得たことをアウトプットする人が非常に少ないです。本を読んでいる割には、学んだことを使っていなかったり、語れない人が多いです。

そういう人が何のために勉強をしているのか、それはこんなことを知っているという自己満足のためです。知らなかったことを知る喜びや、分からなかったことが分かるようになる喜びは大きいです。しかし、知る喜びと同時に、外に知らせる喜びを味わって下さい。
勉強で得たことを周りに伝えることで、「あの、物知りに聞いてみよう」となります。つまり、アウトプットすることによって、社会で一定の居場所を得ることができます。
また、アウトプットすることによって、記憶が定着します。受験勉強で、カードをつくって覚えるよりも、実際に問題集をやりながら、試験に出る形で覚えていった方が効率よく覚えられます。
さらに、覚えたてのことを、実際に口に出したり、文章に引用したりして使うことで、それが反復練習となって、記憶が定着します。
アウトプットが、記憶そのもののトレーニングになります。
アウトプットすることを目的にインプットをしていると、最初から情報を整理して記憶するため、インプットの効率も上がります。

今は、ネット上で、誰でも発信できる時代です。ツイッターやフェイスブックや、ブログや個人サイトで記事を書いたり、ユーチューブの動画配信を行ったり、noteのように、自分が書いたものに簡単に課金できるサービスもあります。
アウトプットしようと思ったら、まずはネット上で、きちんとした発信を始めることをオススメします。


【2個目】 独自の解釈や意見を持つ

学生時代から40代まで、僕たちの勉強はほとんどすべてが知識のインプットです。もちろん、いくつになっても、常に新しい情報や知識に触れて、それを吸収する事が重要です。
しかし、知識量そのものを競うのであれば、AIに勝てないです。それどころか、記憶力もよくて、ちゃんと復習もする若い秀才にも勝てないです。
いずれにしろ、ネットで検索すれば、たいていの知識は誰でもすぐに入手できる時代です。ひと昔前のように、物知りだからといって、重宝されたり尊敬されることはないです。
 
では、何が問われるのか、知識や情報に対する、その人なりの独自の解釈や意見です。独自の視点があれば、「あの人だったらどういうことを言うか」「どういう意見を持っているか」「思いがけない情報分析をしてくれるかもしれない」と期待されて、人が集まってきます。
仕事はもちろん、SNSでの私的な発言や投稿も同じです。
今、池上彰さんが人気なのは、単に知識を分かりやすく解説してくれるだけでなく、そこに彼自身の意見が反映されているからです。
五〇歳を超えた人が学ぶべきは、知識そのものではなく、その知識に対する捉え方です。


【3個目】 いつから学んでも遅くはない

現場を統括していた技術系の人が人事の役員になったり、海外の支社やこれまでとはまったく異なる業種の子会社の社長や役員として出向になることは珍しくないです。
ある程度の仕事を任せられるポジションに立ったり、使う人の数が増えてきた場合、企業のM&Aや方針の転換によって、これまで経験したことがない仕事をしないといけなくなるケースもあります。
いずれの場合も、辞令を手にしたその日から、勉強しなければいけないです。
なお、この過程で、この歳から英語を学ばなければいけない人も出てくるかもしれないです。会社が突然外資と合併してしまい、英語で会議や商談を行わなければならなくなった話はよく聞きます。
しかし、心配しなくてもいいです。五〇歳を過ぎてから本格的に英語の勉強を始めて、自分の専門分野の同時通訳を努めるようになった人もいます。


【4個目】 定年後の起業の準備をする

定年後の起業は、大きく2つに分かれます。
一つは、今の仕事の延長で、専門性や人脈を生かした独立や起業をするケースです。コンサルタントとしての開業する事です。
もう一つは、資格を取って、これまでとはまったく違う業種で開業するケースです。社労士や産業カウンセラー、飲食店経営、臨床心理士などが挙げられます。
資格が必要なものについては、いまのうちから勉強を始めるのはもちろん、事業計画の立案や戦略作り、人脈づくりについても、今から始めておいた方がいいです。
前頭葉の老化によって、意欲と発想力がいまより低下してしまう可能性があるからです。
業種については、学問的知力そのものよりも、長い人生経験を生かした人間観察力やコミュニケーション力が生かせるものの方が、若い人との競争に巻き込まれず差別化できます。


【5個目】 夢を実現するための勉強をする

若いころから好きだったけど、あきらめてしまっていた夢は誰にでもあります。
例えば、音楽や絵画や演劇、小説などです。
文化的な活動の場合、独学でもいいですが、古典や歴史なら放送大学や社会人大学院などの大学に通ったり、音楽や絵画なら先生についたりして始めることになります。
同じ夢を持つ昔の仲間がいればいいですが、そうでなくても、学区へ行くなどすると、そういう仲間は見つかるものです。

ただし、特に大学や大学院選びには注意が必要です。いまは国立大学法人も含めて経営難で、社会人大学院などはかっこうの資金稼ぎの場となっているケースが少なくないです。学費や講義内容をよく調べることをオススメします。学べる学科は案外限られています。
再就職のために学位が欲しい、場合ならともかく、研究そのものが目的の場合は、大学の知名度や偏差値ではなく、研究テーマと指導教官によって選ぶべきです。


【6個目】 仲間づくりのための勉強をする

仲間づくりのための勉強とは、目的が、音楽とか歴史研究といった課題そのものではなく、そこから派生する人間関係にある場合です。
したがって、各種勉強会やNPO、地域の活動、ボランティアに参加してもいいです。また、俳句や短歌を学ぶ会に加わる行為もオススメです。


【7個目】 条件を知る

どんな目的であれ、やはり勉強を始めて続けるには、現実的な制約があります。
次の4つの項目を明らかにしてから始めるべきです。
①最終的な目標は何か
②目標達成までの、お金や時間は、どのくらい必要か
③目標達成のために必要なスキルは何か?
④自分が確保できる人脈や環境、学ぶ場所までの物理的な距離は大丈夫か

学んでいく過程で、目標がいい意味で変わることも大いにあり得ます。あくまでも趣味を極めて、若さを維持するために始めた勉強が、ビジネスに繋がっていったり、思いもしなかった自分の才能に気付いてしまったり、「想定外」の事態も楽しめるように、覚悟してください。
あなたが漠然と始める勉強は、4つの条件に照らし合わせるとどの程度か把握することが大切です。
しかし、最も重要な条件は、いずれの場合も、あなたがこれから始める勉強は、あなたが好きなこと、あるいは好きになれることでなければいけないです。
ただでさえ、意欲が低下しやすい年代というハンディを負っています。好きでなければ続かないです。自分に正直になって、本当に好きなことを始めてください。
これまで、好きなことをする「わがまま」を封じ込めてきた世代には、案外難しいことかもしれないです。しかし、家族に責任のある若い人には得られない、この世代の特権です。


【8個目】 英語を勉強する

何を勉強するかにもよりますが、多くの場合は、英語はできたほうがいいです。人脈も楽しさも広がります。
ただし、トーイックを目指すわけではないため、若い人と同じ勉強法をする必要はないです。英語好きの若い人に多いのは、英語ができるようになることそのものが目的になってしまうことですが、五〇歳からの英語は違います。あくまでも手段としての英語です。知識を獲得して、あるいは、意見を発信して、日本語圏以外の人と交流するための手段です。
そこから逆算すると、英語を読む、書く、聞く、話すのうち、中高年が特に力を入れるべきは、読む力と話す力です。

まず読む力、すなわちリーディング力ですが、情報収集のために、英語のネットニュースや専門の論文が読めるようになることを目標としてください。
いまは、ネットに登録すれば、ニューヨークタイムズなど、英語のニュース記事がいち早く読めます。日本語に訳された記事も出ていますが、訳す側のポジショントーク的な記事になっていることが多いです。詳細のURLをクリックすると、それが英語の記事だったりします。エコノミストのように、英語でないと現物は読めないものもあります。

まずは、あなたの専門分野や興味のある分野から、辞書を引きながら読んでみてください。続ければ、段々早く読めるようになります。社会人大学院の受験を考えている人も、大学院によっては英語の試験があるため、役立ちます。
また、日本語圏以外の人との交流や意見交換の機会は、これから増えることはあってもなくなることはないです。しかも、それはたいてい、英語圏以外の人たちです。といっても、いまではたいてい英語が話せます。英語はいわば、世界の公用語です。
日本人の英語好きは発音や文法にこだわりますが、相手の大半がネイティブスピーカーではない時代、発音が悪いのはお互い様です。それより大事なのは、会話の中身です。

世界中の若者が集まる会議のような場所でも、いつも話題になるのは、日本人の発言の少なさです。よく聞いてみれば、みんなたいしたことを言っているわけではないですが、堂々としゃべります。そのなかで、日本人はいるのかいないのか分からない状態になっています。
話す内容に価値があれば、何とかして人は聞きたいと思います。発音がいくらよくても、内容のない話なら、アメリカ人は聞こうとしないです。僕たちが、中身のない話を続ける日本人より、多少日本語は下手でも、面白そうな話をしてくれる外国人の話を聞こうとするのと同じことです。
その点で言うと、中高年は有利です。これまでの社会経験から、それなりの知識と自分の思想があるからです。


【9個目】 日本語を学びなおす

英語で自分の意見を言えない人はそもそも日本語でも意見を言わないです。会議の場などでひたすら「様子見」している人が、インテリと呼ばれる人ほど多い気がします。
あるいは、少し反対意見を言われただけで、論理的ではなく感情的に反論する人が多いのを知っているため、口をつぐんでしまうのかもしれないです。
しかし、意見は口に出して、相手からの何らかの反応を受けながら、形になっていくものです。アウトプットする習慣なしには生まれないです。
英語のスピーキングのためにも、まず日本語で意見を表明する習慣が必要です。
幸い、今はブログやツイッター、フェイスブックやnoteなど、無名の個人であっても参加できる様々な表現の場所があります。現在は仕事の関係でSNSの使用を禁じられている人も、いずれ組織の人間でなくなれば、自由に発信できます。
しかし、そのときに急に書こうと思っても、なかなか難しいです。いまから機会を見つけて発信することをオススメします。
しかし、ここで注意したいのは、意見や内容以前に、日本語をきちんと使いこなせているかどうかです。日本語だから誰でもできると思うかもしれませんが、きちんとした日本語を書ける人は年々減っていっています。これはある意味、ネットで誰でも気楽に発信できるようになったことの弊害かもしれないです。

しかし、若い人ならともかく、五〇歳の大人が正しい日本語を使っていないとなると、相手にされないです。英語と違って、母国語である日本語では、内容と同じくらい表現の正確さが求められます。
日本語力は、服装や身だしなみに似ています。特にある程度の年齢になると、人は外見からその人のレベルを判断するものです。自分の地位や立場にふさわしい外見や振る舞い、言葉遣いで、知性と感性があるかどうかで判断されます。
読みにくい下手くそな文章や品のない文章、語彙力がない文章、非論理的な文章、面白みのないお役所的な文章などが、世の中には蔓延しています。
そればかり読んでいると、日本語力はどんどん衰えます。

正しい日本語を鍛えるには、優れた文章を書き写すことです。オススメなのは、朝日新聞の「天声人語(てんせいじんご)」です。それなりに文章が上手い人が選ばれていて、分量もちょうどいいです。そのときそのときの話題がテーマとなるため、世の中の動きやそれに対する他の人の意見も知ることができます。
話の展開がうまいため、どういう風に話を繋げていくと人に興味を持って読んでもらえるかの参考になります。
さらに、毎日更新されるため、習慣にするにもちょうどいいです。


【10個目】 読書では一部を熟読する

様々な考えを知るための読書は、なんでも読んだほうがいいです。
本に限らず、新聞や雑誌、ネット記事まで、なんでも読んだ方がいいです。

自分と異なる意見を持つ人の本やメディアも、意識的に読むと、前頭葉の訓練になります。それだけでなく、勉強の本来の目的である、「答えがたくさんあることを知る」のに必要だからです。
最近は、個人による有料のメルマガも多いです。しかし、特定の人の信者のようなフォロワーになるのはオススメしないです。そういうメルマガの発行人は比較的若い人が多いため、五〇歳を過ぎて、若者の信者となって同じことを言っても誰も耳を貸さないです。

幅広い情報収集が必要ですが、なかなか時間が取れない人が多いです。そういう人は、本は最初から最後まで全部読むものと思っています。それでは一生のうちに読める本が限られます。人生がもったいないです。
それぞれの本で、重要なところに付箋を貼って、そこだけ熟読してください。
読んだところは、朝礼やSNSで発信してください。アウトプットすることで、知識として定着します。アウトプットしなければ、読んだ時間そのものが無駄になります。

解説は以上です。
五〇代からの勉強は、明確なゴールが無い場合が多いです。仮にゴールに到達したとしても、そこで満足していれば、なんのための勉強か分からなくなってしまいます。
あるゴールに達すれば、それをステップにして、さらなる前進をしてください。
たとえば資格試験で合格できれば、その資格で独立したときに、どのようにすれば集客が可能か勉強しないといけないです。
話の面白い人として一目置かれるようになっても、きちんと自己投資をしなければ、同じ話ばかりをするオヤジに転落してしまいます。
五〇代はまだまだ成長できる年代です。諦めるのはまだ早すぎます。

今回紹介したアクションプランを実践して、まだまだ成長してください。
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