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市場環境におけるポジショニングの重要性:人気爆増中のONE PIECE系YouTuber【もっちー先生】を分析してみた

自己紹介

こんにちは。YouTubeのトビラ執筆者のKTリンです。Youtubeのトビラは、Youtubeに関する分析を行い、クリエイターの方の為になる情報をお届けするメディアです。週2本ペースで投稿を予定しておりますので、Youtubeチャンネル運営をされている方は、ぜひフォローを宜しくお願いします!

本記事で取り上げるクリエイター


・名前:もっちー先生
・YouTube:https://www.youtube.com/@user-xg4ro7tx1t/featured

・初投稿:2020年10月
・ジャンル:ONE PIECE考察

本記事の目的


2020年付近から動画投稿を開始し、急成長を遂げたONE PIECE系YouTuber【もっちー先生】が、チャンネル人気を獲得するに至った要因について検討します。

分析に関する大きな目的としては、その時々の市場環境の中で自チャンネルのポジショニングを確立し、他の競合チャンネルと差別化を図ることの重要性について分析したいと考えております!

ONE PIECE動画の特徴・市場環境を類型化


週刊少年ジャンプより連載中で、少年漫画の金字塔”ONE PIECE”。
その独特の世界観と謎多きストーリー展開から、「考察」というジャンルが爆発的な人気を誇っています。
ONE PIECE動画の市場を、わかりやすく下記の通り分解してみました。

ONE PIECE系YouTube動画の市場環境

・X軸【感想(ライト)⇔考察(コア)】
今後の展開や物語の核心的な謎を明解にする考察動画から、キャラクター紹介や感想動画まで様々な内容の動画が人気です。
分析をする上の便宜上、ライト層向けの感想動画とコア層向けの考察動画に分類をしました

・Y軸【斬新⇔王道】
動画スタイルの違いを、斬新と王道に分類しました。
斬新動画とは、大胆な考察手法を用いた内容や他とは異なる切り口から踏み込む内容がメインの動画。
王道動画とは、巷で主流となっている考察を主として扱っている動画です

市場環境:初期(~2019年12月)


もっちー先生が動画投稿を開始する以前の、ONE PIECE系YouTuber黎明期から初期市場の中で、当時のTOPクリエイターがどのような動画を投稿していたか、先ほどのマトリクスを使って図式化してみました。

市場環境:初期(~2019年12月)

ONE PIECEを題材として動画投稿をしていたYouTuber自体少なく、上記5チャンネルによるほぼ寡占状態に近い形でした。動画スタイルについては大きく分けて3パターン。
①ライト層向けコンテンツ
対象:オネガイシマス海賊団、コヤッキーチャンネル
内容:キャラ人気ランキングや最新話感想の投稿などどちらかというとライト層や低年齢層向けの動画を展開。
②超王道考察コンテンツ
対象:おDん、ユイの研究所
内容:事実ベースの考察をメインとして投稿しており、巷でよく噂されるような人気考察の深掘りなどが多い印象で、受け入れやすく人気も高かった。
③斬新コンテンツ
対象:MONSTERsJOHN TV
内容:インパクトの強いサムネイルで、ユーザーの視聴を促すインパクト型のコンテンツ。シャンクス2人説など斬新な内容のコンテンツを投稿し、視聴者によるコメントでの議論の場を提供していた。

上記の図を見てわかる通り、当時は斬新なアイデアで目新しい独特の考察を行うようなYouTuberはおらず、力を持った【斬新考察系】のクリエイターはいませんでした。

そこに現れたNewcomer、もっちー先生

2020年10月、黒船のごとく現れたもっち先生ー。後発組の彼が、今やチャンネル登録者38.7万人(2023年1月現在)を獲得するに至った背景を見てみましょう。

もっちー先生の動画スタイル:極端な斬新考察動画

もっちー先生が他YouTuberと一線を画し、一気に人気を獲得することができたポイントは、考察動画を投稿するにあたっての根拠となる引き出しの豊富さにあります。

例)
①徹底的なストーリー観察 
②現実世界の神話・史実を根拠とした考察手法
③他漫画のオマージュという観点

とくに素晴らしきは②現実世界の神話・史実を根拠とした考察手法。もう一度振り返ると、当時の市場環境では事実(ストーリー)ベースの論理的な王道考察が主流。
そういった事実ベースの考察に加え、もっちー先生ならではのアクセントとして、神話や史実を考察の論理展開に組み込みました。


市場環境:中期(~2021年12月)

市場環境(中期:~2021年12月)

当時、現実世界とONE PIECE世界のリンクを説く考察は一般的ではなかったため、その衝撃は大きく、動画の視聴数は瞬く間に上昇し一気に斬新考察者としてのポジションを確立しました。

現在(成熟期)の市場環境と、もっちー先生の動画スタイルの変化

現在の市場環境

もっちー先生が売れ始めると同時に、「ONE PIECE考察」が動画ジャンルとして大きなものになります。もっちー先生の影響か、考察動画を投稿するクリエイターが急増し、市場が飽和状態となりました。
また中には「ドロピザ」という、これまたかなり斬新な考察スタイルを持った新進気鋭の考察者が人気となり、もっちー先生も動画スタイルを変化せざるを得ませんでした。

現在の市場環境を図式化しました。

市場環境(現在:~2022年12月)

もっちー先生の動画スタイルの変化

その考察レベルは維持しつつ、下記3点をもって考察市場において大きくポジションチェンジを敢行している。

①動画スタイルの変更
考察動画の作成をやめ、ライブ配信→切り抜き動画と、大きくそのスタイルを変更しました。スパチャ収益と切り抜きによる認知度拡散を主とした動画スタイルへと変貌を遂げ、現在のYouTube環境に見事に適応しているように思います。

②有名YouTuberとのコラボ
有名YouTuberヒカルや、ONE PIECE YouTuberとのコラボ企画が多くなった。この辺りから尖ってる印象がなくなりました。

③B.O.Tチャンネルの発足
MONSTERsJOHN TVとの共同作成により、B.O.T(バトルオブセオリスト)チャンネルを発足。

このチャンネルでは、視聴者が実際に生放送に出てもらい、視聴者が持ち寄った考察について語る動画を投稿。
これまでは一方公的な考察動画スタイルだったが、視聴参加型の動画コンテンツを横展開しています。
これまで誰もしたことがなかった視聴者参加型考察という新たなポジションを確立しつつあり、新たな境地へと前進しました。

まとめ

いかがだったでしょうか!もっちー先生が、ONE PIECE考察どいうジャンルでどのようなポジションで動画投稿をし、登録者を伸ばしたのかを分析してみました。
YouTubeでチャンネル登録・視聴数を伸ばすには、①市場を冷静に細分化して把握し、②どの市場を狙うべきか明確化した上で、③自分の立ち位置を定めるといった過程が重要であることがうかがえます。

こういった分析手法は、STP分析といい、代表的なマーケティングフレームワークの1つに数えられます。

今やYouTuberという言葉は一般的となり、エンタメ系からニュース、ビジネス系など非常に多くの動画・投稿者が市場に溢れるようになりました。
そんな世の中だからこそ、市場におけるポジショニングの重要性は意識していく必要がありますね!


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