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家庭用ハイエンドエスプレッソマシンを買うときに知っておくべきこと

こんにちは。以前バリスタをやっていた影響もありいつかは家にほしいと思っていたエスプレッソマシン。2020年は在宅勤務が中心になったこともありついに購入した、、、。その時に日本でそこそこの性能の家庭用のエスプレッソマシンを買うとなるとなかなか大変だと感じたので、良いエスプレッソマシン探しをしている人の助けになればと思い情報を共有させていただく。

家庭用エスプレッソマシンの代表デロンギ、マニア向けのデバイスタイル

まず家庭用エスプレッソマシンを検討したら真っ先に候補に上がってくるのがデロンギ。家電量販店での取り扱いもあり、普及率も高い。そのためググればすぐに使い方やトラブルシューティング、裏技みたいなもの、改造のやりかたなどめちゃくちゃ情報がある。なので初めてエスプレッソマシンを買う人はデロンギを買っておけばだいたい間違いない。ちなみに同じような価格帯でデバイスタイルというメーカーもある。日本の廉価版コーヒーメーカーなどを作っているメーカーだけど、業務用と同じ58mm径のフィルターサイズ、やや強めのスチーム圧などマニア向けの仕様。ただし作りはチープ。

そしてここからが問題。日本で家庭用エスプレッソマシンを購入する際にこれらのクラス以上の性能を持ったエスプレッソマシンを買おうとするといきなりべらぼうに高くなる。車でいうと軽自動車かレクサスしかないみたいな。ただし性能はレクサスまでではないけど、、、

ランチリオシルビアが高くガジアクラシックが安い理由

例えばネットでエスプレッソマシンを調べると必ず上位クラスとして挙げられるランチリオシルビア。日本ではUCCの子会社ラッキーコーヒーマシンが代理店。

上代24万!ヨーロッパやアメリカでは7〜8万くらいで買える。このマシンは確かに堅牢で58mmのフィルターを使っており、3wayバルブ搭載のため業務用マシンと同等のエスプレッソが落とせるけど、シングルボイラーでHX機構ではないのでエントリーモデルと同じようにスチームの追い焚きが必要になり、ラテを作る際のオペレーション的にはデロンギと変わらない。

ほとんど同じ性能のガジアクラシック

8万4800円!あれ?安いよ!ヨーロッパやアメリカでも7万円くらいのマシン。なぜこんなことになっているかというと、日本ではガジアクラシックは家庭用、ほぼ同じ性能なのにランチリオシルビアは業務用として販売されているから。

業務用として販売されてる機器に関しては購入と同時に代理店とメンテナンス契約が結ばれる。故障があった時に連絡すれば、すぐに代理店と契約している下請けの会社が修理に来てくれたり、代替え機を送ってくれたりする。そのため代理店は常にパーツの在庫を抱えている。それらの管理費や人件費などが含まれるため、家庭用に比べ価格が高くなるということだ。驚くことなかれ。業界の暗黙のルールで各代理店仕入れ値の4倍を上代として提示していることが多い!交渉次第で安くなるが、家庭で使う場合はそれ以降のビジネスにつながりにくいのであまり安くしてくれない。お店で使うということであれば物によっては半額くらいにしてくれるかも、、、。

何故海外では家庭用マシン扱いの物が日本では業務用として売られているのか?

もっと性能の高いものでも海外ではほぼ家庭用エスプレッソマシンとして販売されているのに日本では業務用として売られている物がある。

HX機(抽出とスチームが同時に行える)では最も有名なシモネリオスカー2。ランチリオシルビアやガジアクラシックでは満足できない人がおそらく最初に見つけるであろうマシン。抽出とスチームが同時に行える。スチームの作りはいいけど、抽出がやや不安定で作りが少しチープ。

代理店のトーエイ工業のサイトには上代は書いてないけど日本での販売価格はだいたい28万円。海外だと10万~14万くらい。

他には主に1グループマシンを製造しているエスプレッソマシンメーカーロケットのアパルタメント

HX機。作りは頑丈で抽出も安定するし立ち上がりも早い。スチームはオスカー2に比べるとやや弱め。上代で26万円。アメリカだとだいたい17万くらい。ちなみに代理店の大一電化社は上代と実売価格がかなり近いため他の代理店に比べると若干安めに見えるかもしれないが実際の購入金額は他の代理店とそこまで変わらないかも。

このクラスのマシンでも海外では家庭用ハイエンド機としての認識が強い。なぜならポンプがデロンギのものとそう変わらないからだ。

エスプレッソマシンのポンプは2種類ある。バイブレーションポンプとロータリーポンプ。細かい説明はしないけどバイブレーションポンプは壊れやすくロータリーポンプは丈夫。だいたいこのクラスのマシンまでは全部バイブレーションポンプだ。バイブレーションポンプのマシンは海外では基本的に家庭用として認識されている。

ではなぜ日本では業務用として売られているのか?答えはエスプレッソ文化の普及率だ。日本でコーヒーといえばやはりドリップが根強い。ブラックコーヒーといえばほとんどの人はドリップをイメージするだろう。ヨーロッパやアメリカではブラックといえばエスプレッソをお湯で割ったアメリカーノが出てくることが多い。そこまでエスプレッソは一般的なのだ。海外と違いエスプレッソが浸透していない日本でそんなハイエンドなエスプレッソマシンを家庭用として普及させようとしても売れないから業務用として高く売って儲けるしかないのだ。

並行輸入品や個人輸入なら安く買えるけど、、、

じゃあ並行輸入品や、個人輸入すればいいんじゃないか?結論から言うと自分でパーツを輸入して修理できる人以外は基本的にやめた方がいい。なぜかというとエスプレッソマシンは必ず壊れる。家庭での使用でもだいたい3~4年で壊れる。その時に並行輸入品だと代理店は修理してくれない。してくれたとしても法外な金額請求される、、、。ここで一つ裏技。エスプレッソマシンの修理はほとんどの場合パーツ交換になる。修理を請け負うのはだいたい代理店の下請けの修理会社。修理会社はすぐ修理依頼に対応できるようにするため代理店から一旦パーツを買って在庫している。そして修理した後に使ったパーツの費用を代理店に請求するというシステム。そのため代理店を通さず修理会社に持っていきパーツ代と工賃を支払えば修理してくれる場合がある。(業界的には結構グレー。修理屋のおっちゃんと仲良くしとく必要があるかもしれない。)もしどうしても並行輸入品や個人輸入で買いたいという人は先に必ず修理業者を見つけておくなど修理する方法を担保してから購入するようにしたほうがいい。ちなみに私は立場上ややこしくなるのでその方法はやめた。

ヤ〇オクとかで正規品の中古買えば、、、

正規品であれば中古で買った物でも代理店で修理してくれる?ならがんばって状態のいい中古探したほうがいいのでは?結論としてはノー。これは結構意外に思われる。エスプレッソマシンに関しては国内正規品であっても代理店から直接、又は正規販売店から購入した物以外を修理する場合は代理店とメンテナンス契約を個別に結ぶ必要ある。ちなみにその際かかる費用は5万から10万円、、、。その契約を結ばない限り消耗品の販売もしてくれない。闇が深いよコーヒー機器業界、、、。

ハイエンドだけど割と安い価格で売られているマシンもあるにはある

VBMドモバージュニアHX

代理店はDCS。HX機構でスチーム圧もそこそこ強い。圧力計も抽出圧スチーム圧と二つありスペックはかなり高い。外装は部分的にプラパーツで少しチープ。販売価格が20万くらい。イタリアだとだいたい13万くらいなのでいろいろ含めると良心的な価格だと思う。なぜこれがこんなに安いかというとDCSは基本的に最初からほぼ限界まで下げた価格で提示している。交渉できないことが多い。きっとラッキーコーヒーマシンみたいな業界のドンとは仲が悪いだろう、、、。さらにこのマシンは家庭用マシンという扱いで販売されている。DCSも通常はBtoB向けの会社で某Sコーヒーで使われているサーモプラン製のマシンやシネッソなどガチの業務用マシンの代理店だ。それらの製品とは異なりアフターサービスの幅を限定することで同社で扱っているVBMの1グループ機やアスカソのマシンは比較的安くなっているのだ。ただしこのマシンだが消費電力が1600wもある。(サイトによっては1950wって書いてた、、、)下手なデュアルボイラー機よりも電気使う。普通の家のコンセントは通常15Aまでとかなので電源の工事がいるかもしれない。後、今は知らないけど昔は修理依頼がめちゃ多かったみたいなので使ってる人に聞いてみるとかDCSに直接確認した方が良い。

結局どこで何買えばいいの?

結論から言うと高いけど正規代理店で高い金額を払って買うしかない。

日本では欧米程エスプレッソ文化が浸透していない。そのため選べるマシンも限られるし、値段も高くなる。それでも故障した時のリスクが高い輸入品や中古品を買うくらいなら正規品を買った方が良い。なぜならエスプレッソマシンは必ず壊れるからだ。

家でエスプレッソ淹れてるなんていうとまだまだ珍しがられるけど、テレワークの人とかはめちゃくちゃいいと思う。休憩の時に飲むのがブラックコーヒーばかりだと飽きるしエスプレッソ淹れてミルクスチームしてるときとかその時間も含めて息抜きになる。ラテアートも楽しい。もっと家でエスプレッソいれたりラテ作る人が増えればきっとハイエンドマシンも家庭向けに安く手に入れられる日が来る。だからより多くのホームバリスタが現れることを心から期待している。

ちなみに筆者はロケットのアパルタメントを買いました。

理由:かっこいいから。

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