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古い日記4

キューバに行くまでのイメージって

漠然と危険な国なんじゃないかって

そう思っていた

みんなのイメージもそうなんじゃないかな?


実際はとても治安のいい国

ハバナなんかは辻辻に警察官が立ってるし

夜中でも子供たちが外で遊んでたりする


キューバの主要産業

一昔前までは砂糖生産に頼り切ったモノカルチャー経済だった

それをソ連がいい値段で買い取ってくれてたんだけど

1980年代以降ソ連経済の悪化にともなって

キューバの砂糖産業も立ち行かなくなってきた


それではいかんと

観光に力を入れ始め

現在では年間に200万人を超える人がキューバを訪れている

日本人は7000人くらいらしいけどね

治安悪いと 人が来ないでしょ


そんなキューバだけど

やっぱり海外では気をつけなきゃって思わされた一日の話

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3日目の朝

やはり今日もジョージのイビキで目覚める

時計を見るとすでに10時をまわっていた


昨日

レォラにさんざん歩かされて

疲れきって 寝たのが12時前だから

10時間も寝ていたことになる


飛行機疲れとか

時差ボケとかいろいろあって疲れてたんだろう


しばらくベッドでボーっとしているとジョージも目を覚ました


起き掛けから

ものすごい寝癖のまま

「せっかくこのホテルにはプールがあるんだから泳いできなよ!!」

と送り出される


ホテルの目の前はカリブ海なんだけど

きれいなんだけど

いつも冬の日本海みたいに波が高くて泳げやしない


この日は肌寒かったんだけど

ジョージにすすめられるまま泳いだ


泳いでると いつのまにかジョージもプールサイドにきていた

俺のケータイを持ってきて

カメラで撮影してくれた


「俺も撮ってくれ」

とジョージ

プールサイドに横たわる姿は

アザラシを思わせた

部屋に戻り着替えようとすると

「なんで毎日同じ服なんだ?」

とジョージ

実は現地調達すればいいやって考えてたから

日本を発つときに着ていた服以外持ってきていなかった


すると心優しきジョージは

「僕の服をあげるよ」と言って


California

と書かれたTシャツ

そして

純白のブリーフ(おさがり)

をくれた

お昼にレォラと待ち合わせ(この日は時間通りにきた)

今日からお世話になるメリシーのCASAへ向かう


いったんジョージとはここでお別れ

4日後に帰国するジョージを見送る約束をして

メリシーの家へ続く階段(5階)を昇る

「よくきた よくきた」とメリシーに迎えられ

部屋に案内され 荷物を置いたあと

昼食を食べにリビングへ

そこには他の宿泊客が3人いて自己紹介と相成る


一人目はウォルター

オランダ人でブロンドで青い眼で身長190cmくらい

オーランドブルームに似てて 非のうちどころなし


二人目はコーフィー

ガーナ人でアメリカ在住 すっごい気さく

手がごつごつしてた


三人目は名前聞き取れなかった

アフロだったから「チリ毛」と命名

アメリカ人 平井堅似 190cmくらい

3人ともパーカッションの勉強をしにキューバに来ていた


挨拶をすませるとウォルターは部屋へひきあげ

コーフィーとチリ毛は外出していった


俺は昼食をいただく

パンにバター、蜂蜜、ギャバ、スースーするお茶


食べながらリビングを見ると

メリシーに激似の女性がドレスを着ておめかししてる

大きな写真が2枚 デ~~ン と飾られている

(後にわかったのだけど結婚式の写真でした)


メリシーに聞いたら長女と次女だって

もう一人下に娘がいて

メリシーとレオナルドと3人の娘の5人家族


で 夜になると長女と次女の旦那が家に来る

キューバの家庭事情


ハバナとか大都市では 

資材も資金も土地も無いので新しい家を建てることができない

そのため結婚しても家をもつことができず

若い夫婦は相手の実家に通い婚となる

下世話だけど 

夫婦の営みがどうなってるのか 気になるところではある

そんな事情もあってか

(単に気移りしやすいのかもしれないけど)

キューバでは離婚・再婚が当たり前らしい

小学校で聞くと

半数以上の子が実親と暮らしてなかったりするんだって


メリシーの家は仲いいみたいだけどね


昼食後外出する

そろそろ本格的に撮影モードにはいらなくては


到着以来ずっとジョージと一緒だったので

初の一人キューバ


少し緊張しながら外に出る

メリシーのCASAは

Vedado(ベダード地区)のハバナ大学のそばにあって

旧市街から少し離れた場所にある

まだ土地勘がないので

一番分かりやすいマレコン(海岸通り)から旧市街へ向かうことにした


キューバって あまり人種差別のない国

いろいろな血が混じりあっているから

ヨーロッパ系・南米系・アフリカ系どの系統にも抵抗ないみたい


昨日も書いたけど

唯一物珍しい目で見られるのがアジア系

そんでアジア人はみんな中国人だと思われてる


歩き始めると

「おぉ!なんだこいつは!」

みたいな目で見られているのを強く感じた


何人かにひとりは

「ヘイ チーノ!」

と声をかけてくる

始めのうちは 話しかけてもらえるのが嬉しくて

一人ひとりと少し会話をして

やっすいラムを飲ませてもらって

写真を撮らせてもらった


気さくなやつばっかりだ!

と気分よく現地の人と話しながら歩いていると

そのうちの一人がこう言ってきた


「ハポネス クーって知ってるか?キューバには3つの通貨があってな。クーってのが観光客には一番レートがよく両替できるんだぜ。俺の知り合いで両替できるやつがいるから紹介するよ。」


ん~~~~~嘘くせぇ、、、、、

でもなんか必死だし 面白そうだから

それに本当だったら生活かなり楽になるな

だまされたと思って一回くらい誘いにのってみるか


なんて思いながら紹介してくれと頼むと

ついて来いと言って 1時間近く歩かされ


でも途中そいつの家族の話とかキューバの話とかとても楽しく連れ立って歩いてたもんだから なぜかだんだんと信頼できるんじゃないか なんて思い始めたりして

結局だまされた(10CUC)


ちなみにキューバの通過事情

ペソクバーノ(ペソナシオナル)

セウセ(CUC・ペソコンバーティブル・クー)

の2つの通貨がある


ペソクバーノはキューバ人が使う通貨

セウセは観光客が使う通貨

2つの通貨の交換比率は1:20

観光客向けの通貨はものすごい高いってこと


なぜそんな面倒なことするかっていうと

いろいろ理由あるけどわかりやすいところから

まず単純に外貨収入を増やすこと 観光客は基本的にセウセしか使えないから高いお金を払ってセウセを購入しなくてはならない

そして社会主義政策の労働力確保のため キューバの生活にいくら不満があってもキューバ人が外国に出るのは難しい キューバ人に払われる給料は安いペソクバーノだから


結局「クー」ってのはセウセの別称でした

せっかく信頼を置き始めた 

仲良くなりかけた相手に1時間近く連れまわされ裏切られ

気づけば場所も良く分からない ダウンタウンにきていた


とりあえず大通りを目指す

道の両側には2~3階建てのボロボロの家が立ち並ぶ


人々は俺が通ると一様に動きを止めこちらを見てきた

とりあえず挨拶だけしとこうと思って

「オラ!」

と言ってみるけど反応がない

気さくな人ばっかりじゃないんだなぁと思いつつ歩いていくと

突然

足元で何かが炸裂した

どうやら石が砕けたようだ

だれだ!!

って思って振り返ると 20人くらいの人がジッとこちらを見ていた


怖っ!!!!!!


もう怖すぎて早いとこ脱出しようと歩きはじめる

するとまた足元に石が飛んでくる

振り返っても誰が投げたかわからない

キューバ怖い

キューバ怖い

と思いながら

振り返るのは止めて足早に立ち去った

 

なんとか旧市街にたどり着き

安心できる場所を探していると アンボス・ムンドスにたどり着いたので
屋上のカフェに行き ビールを注文し 一人へこんでいた


歩く気力も奪われTAXIでCASAに帰宅

ちょうど夕食の時間 

ウォルター・コーフィー・チリ毛の3人と一緒に食事をとる

すると夜3人で旧市街に音楽聴きに行くけど一緒にどうだい?

って誘われた


その時すこしだけ街に出るのが怖かったけれど

190cmくらいが2人と屈強な黒人といれば安心だろうし

キューバの音楽を3人のミュージシャンと聴きに行くのは楽しそうなので

ついていくことにした


昼に通ったマレコンを通り旧市街へ

夜の旧市街は

あちこちのレストランから音楽が聞こえてくる

歩きながら気に入った音楽が聴こえてくれば

店に入りちょっと飲んでまた店を変える

3人はキューバミュージックについて熱く語っていた 

俺は写真撮ったり 踊ってみたりしてた

そうしてあるレストランに入ったとき

コーフィーが飛び入りでパーカッションの演奏を始めた

湧き上がる場内 

次々に踊りはじめる客たち

歌い手の合いの手が入り 

手拍子をする客たち

みんな立ち上がってる

みんな音楽を身体で聴いている

キューバは音楽だ

音楽がキューバだ

ボルテージは上がる

ボルテージは上がり続ける


どこまでも


キューバの夜に音楽は鳴り止まなかった

そうしていつのまにか 

怖かった出来事など忘れていた


続く


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