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古い日記

国にはそれぞれの「色」がある

人種や宗教や政治や経済といったものの方向性を指す

「特色」ではなく

赤とか黄色とか青といった

文字通りの「色」

深い

ほんとうに深い緑

翡翠の原石

それがキューバの色

これは、そんなキューバでの一ヶ月の生活の記録

ハバナへ向かう機内

キューバへの期待よりも

乗り継ぎのため一晩を過ごしたトロントでの悔しさを胸に

大西洋を見下ろしていた

昨晩、滞在した空港近くのホテル

周囲に他の建物はなく

移動にはタクシーを呼ばなければならない

チェックイン時に

ホテルにレストランがないから、と

ピザやハンバーガーといったデリバリー店のチラシを渡された

一枚を手に取りコールする

デリバリーのバイト層は日本と大差ないのだろう

予想通り若い声の男がでる

俺「デリバリーお願いします。私はシーフードピザとコーラが欲しいです。私は○○ホテルにいます。1028号室です。」

店員「☆£*△㈱♂π⊿∮♪√∝∵〆・・・・・.....」

、、、、え?

俺「ホ、ホヮ~ット?」

店員「☆£*△㈱♂π⊿∮♪√∝∵〆・・・・・.....!」

俺「、、、、、、、、、、」

ぜんぜん聞き取れんがな!!!

よし日本でデリバリーピザ頼むとき何を言うか思い返そう

そういえば電話番号とか聞かれるな  よし

俺「電話はホテルへかけてください」

店員「☆£*△㈱♂π⊿∮♪√∝∵〆・・・・・.....!!」

あれ?違うみたい

他になに聞かれるかな、、、

ピザの焼きかげん、、かな?

俺「ウェルダンで」

なぜか

ステーキ風に

店員「☆£*△㈱♂π⊿∮♪√∝∵〆・・・・・.....!!!!!」

やべっ  怒りはじめちゃった  やっべ

あ 名前伝えるのかも!

俺「マイネームイズ シンペイ モギ」

店員「英語が話せるようになってからカナダこいや!!!!!」

ガチャっ、、ツーーーーーーーーー

、、、、、聞き取れた

再び機内

英語も思うようにいかないのに

スペイン語圏のキューバでの生活はどうなってしまうのか

不安が募る

ためいきをついていると

隣の席の中国人系と思しきおじさんが満面の笑顔で話しかけてきた

おじさん「ヘ~イ、どうしたんだため息なんてついて!大丈夫か?」

俺「大丈夫、問題ないよ」

おじさん「そうか、よかった!」

ちゃんと英語が聞き取れたことと

おじさんのくしゃくしゃの笑顔の安心感からか

しばし話し込む

おじさんは中国系カナダ人で、十年ぶりにいとこに会うためキューバへ行くらしかった

おじさんのいとこは十年前にキューバ人と結婚して移住

しかし国際電話の料金が高いらしく

一年に一度しか連絡がとれないと言っていた

おじさんのいとこはここ2年間、肉を口にしていないそうで

おじさんは大量のスパムをお土産に持ってきていた

2年も肉食えないって

社会主義で宗教上の理由もなく肉食えないって、、、、ん~

アメリカの経済封鎖で厳しい状況にあるという知識はあったが

そういうことなのだと知る

やはり飯は期待できないと確信し

到着まで寝ることにした

着陸30分前の放送で目を覚ます

するとおじさんが再び話しかけてきた

おじさん「今日泊まるとこは決まってるのか?」

俺「カサに泊まるよ」

おじさん「君がもしよかったら僕の泊まるホテルにこないか?二人分で予約してあるんだ」

そういっておじさんが差し出したホテルの案内書を見ると

キューバで最高級に位置づけられるメリアグループのホテルだった

悩む

一応日本からカサの予約はしてある 

しかし最高級だぞ

でも今日知り合ったばかりだし

ゲイかもしれんし、、、、、、、

ま、そのときはその時だ

俺「OK!」

おじさんは顔をくしゃくしゃにして笑った

おじさん「GOOD!」

窓の外を見ると

いつの間にかキューバ上空を飛んでいた

言葉を失う

それほどにキューバの緑は心をうった

その緑はカストロやゲバラの着た軍服の色を思い起こさせる

彼らの作った国が見たくて

ここまで来たんだ

早くその土を踏みしめたいとはやる気持ちを抑えきれず

思わずニヤリとしてしまった

続く

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