中耳真珠種(再発)手術治療日記 術後翌日2

真珠種の手術として「鼓室形成術」が選択される。細かい説明は省く。この手術は耳の後ろを切って耳介(いわゆる耳として見えているもの)を前方にパタンと倒して耳の中に侵入していく。あれこれの処置が終わると最初に切ったところを縫合して終わり。なのだけど、耳の後ろを切って前方に倒して行うため、そのままだと耳が前を向いて傷が治ってしまうらしい。創部に対しての圧迫の狙いと耳が前を向き過ぎてしまわないように、という狙いがあるのかどうかわからないけど耳を頭に貼り付ける方向で圧をかけて包帯をぐるぐる巻きにする。この締め付け感が結構痛い。術後の痛みは何種類かあるけれど、この締め付けによる痛みはなかなかきつい。朝に変えてもらったので「締め付け力」はパワーを取り戻している。「西遊記」で堺正章さん演じる孫悟空が夏目雅子さん演じる三蔵法師につけられた金の輪っかで頭を締め付けられて悶え苦しむシーンがあるけど、あんな感じだ。(同世代にしかわからないか)

この日の朝から食事が摂れる。朝はバターロール、ハム、ほうれん草のソテー、バナナだった。手術の影響で、口を開けると痛い、何かを噛むと痛い。懐かしい感覚だ。これは初めての経験の時だと、うんざりしたものだ。食事が制限されるのか、と思ったので。そのうち解消される問題だと気づいているので「はいはい、この痛みね」と落ち着いていられる。経験は偉大だ。今回は「舌の麻痺」が追加された。これは初めての感覚だ。舌の右側、前方2/3くらいのエリアで味がわからない。食べ物や飲み物が触れている感触も鈍い。そういえば「神経を切らざるを得なかった」みたいに主治医が言っていた。なるほど、こうなるのか。あとで神経の名前を調べよう。そんな微妙な味覚と痛みを味わいながら朝食を過ごす。午前中なのに眠い。痛いのに眠い。

うとうとしていると麻酔科医が来られて術後の様子を尋ねられた。なんでも手術には3種類の麻酔を使うらしく、痛みに対するもの、筋肉に対するもの、意識に対するものがあるらしい。そのうち意識の麻酔がうまく効かないと術中の記憶が残りトラウマのような症状になってしまうらしい。私はそういうこともなく術中のことは全くわからないし、痛みも抑えられていた。たしか手術前の診察で「麻酔が効きすぎるくらい」と言われた記憶がある。麻酔の濃度?量?は繊細にコントロールされるものなのだろう。先生、ありがとうございました。まあ、当然だけど術後の痛みがある。その痛みに対して医師はVASのような効き方をされた。これは本当に返答に困る。私もVASで尋ねることあるけれど尋ねられると困ってしまうものだな、と実感する。「10段階で言うとどれくらいですか?」と聞かれるテストだ(説明を相当端折っている)。「3〜4/10くらいです」と返答する。「痛み止めの薬が出せますので」と言ってくれたけど、薬が欲しいほどの痛みではない。なぜなら、痛いなりに眠くなって眠るから。眠れるうちはいいかな、と思っているので薬の使用は見送った。

いいなと思ったら応援しよう!

フクダヨウスケ
記事を読んでいただいて、共感していただけたらサポートをしてくださると嬉しいです。あなたからのサポートを、他の誰かに届けられるよう頑張ります。