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〜難病とはりきゅう〜その23「7/1第18診 魔の土曜日と肺活量」

メールが届いた。

土曜日の治療を行なっている先生からだった。


「おはようございます。いつもお世話になっております。先日のキタムラ様の訪問についてですが、メールにて連絡があり体調不良の為お休みとなりました。状況を伺えればと思いお電話しましたが、電話口では先週にもまして呂律が回っていない状態で、朝から気持ち悪さも感じているとの事でした。水曜日の先生の施術後は調子は落ち着いており、訪問前日の金曜日に主治医の往診があった際も、調子はそこまで悪くなかったそうです。キタムラ様の体調を考慮し長電話は控えましたので、簡単な状態しか伺えませんでした。梅雨時期の不安定な陽気も影響しているとは思いますが、このよう状態が続くと不安感が強くなり気に病む事で、心身共に調子を崩される事も出てくるのではないかと心配しております。また、次回の治療時に状態確認をして頂ければと思います。お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認の程、
何卒宜しくお願い致します。」


「まさか、また!?」

率直にいうと、驚いた。


メールからも分かるが、キタムラさんの体調が先週同様に悪化したのだ。



それにしても先生の丁寧な文章にはいつも頭が下がる。

本当に繊細な気遣いと優しさの溢れた文章で、キタムラさんにはもちろん私にも配慮が溢れていて、毎回読むと感謝で満ちてくる。



でも、何故そうなったのかは

2人の鍼灸師が頭を悩ませても一向にわからない。



何故か、先週もそうなのだが土曜日なのだ。

前回行ったのが水曜日

そこから2日開け、土曜日にも鍼灸治療がある。



治療効果がもっと持続性が高ければ。。


一瞬、そう悔やんだ。


だが、難病の進行は待ってくれない

終わったことでなく、次の瞬間

つまり「今」に集中していかなければならない。



とにかく情報を徹底的に得て

あらゆる事を考え、一つ一つ読み解き

自分の確たる方針を打ち出して

一手一手慎重に、かつ大胆に打ち

病との戦いを制していかなければならない。



気持ち新たに。


実は、

最近伺ったもう一件の患者さんが亡くなった。

末期の癌だった。


鍼灸師である知人から頼まれ、日頃からのケアを伝えるなどなども含め

少しはお役に立てるのでは、と一縷の望みを抱いて向かったのだが


初診から一週間後には亡くなっていた。


何もできなかったのだと思う。

当日、むくみなどは少し引いたのだが回復はしなかった。

知人の鍼灸師に伝えたアドバイスも、効果は見せないほど悪い状態だった。

重荷を背負わせてしまったのではないか。と今も思う。

気持ちとは裏腹に進行する病に対して、無力だったと重荷を背負うのは自分一人で良いのにと思った。



もっともっと力があれば。


一人でも悲しい思いをする人が減らせるのに。


そう、強く思った。


高まれば治せるものなのかどうかはわからない。

相手は難病という、実態すら見えない敵だ



きっと、キタムラさんは

底なしの沼に落ちて行くような不安を感じているはずだ。


何とかそこから這い出し、少しでも不安をかき消し

この、与えられた人生を豊かに、幸せに過ごしてもらいたい。



だからこそ、止まっていてはいけない

ひと時も怯まず、前に進んでこそそれが達成できるのだと思う。


無力にすら感じる自分を戒める意味でも

何が起こったとしても

諦めないことだけは、信じることだけは絶対に捨てない。



今日のキタムラさんの様子

今日、伺うとキタムラさんは横になっていた。


旦那さんも娘さんもいらっしゃって、暖かく迎えてくれた

どうやら、非常時は脱したようだった。



土曜日、大変でした


そう仰って

気持ち悪くなったこと

言葉が喋りづらかったこと

だるさが強く、しんどかったこと

など話してくれた。


不思議と、土曜日1日だけの話だったようで

日曜日はすっかり元気になったのだそう。


先生、私すっかり生き帰っちゃいました


そう、お茶目な表情で笑うキタムラさんに

心から安堵した。



金曜日までは調子がよく、ドクターも特に何もなく帰っていた翌日

体調が悪化してしまったことで

キタムラさんは

「進行してしまっているんだ」

そう感じたと思う。


だが、そんな態度は少しも見せず

(時折、涙が出そうな表情もありながらも)

元気にふるまっていた。


この優しさが、この温かさが

目の前を阻む難病に立ち向かう気持ちを

いつも柔らかく包み、助けてくれるような気がしている。



治療の内容

治療に移った。


この時期も、足が冷えているキタムラさんに

湯たんぽを当ててくれとお願いしていた。


きちんと対応をしてくれていて、

今日も布団をまくると足の周りは温かくなっていた。



右足の指つけ根の関節が痛みがあり

左のふくらはぎにも痛みが強くあった。



体調が良い時には出てこない肩周りや、右顎に痛みが出ていて

のぼせも含め、何か問題がおきているのだと感じた



お腹と脈の状態を確認しながら治療を行った。


今日は恥骨のあたりとおへそのあたりが痛みが出ていた。


背中の治療を行いながら、肩周りなどは緩んできたが

足元の冷えの改善がいまいちだった。


体調の状態にも合わせて

今日は腰のお灸を加えていこうと考えた。



一つ一つお灸をしていくと

腰周りの緩みが出て、足先が少し温まってきた。


お腹を見ると、痛みが減ってきて

硬さも緩んだ。


お灸は、効果の持続性も高いので

これで土曜日を過ごせればと思った。



キタムラさんに話を聞くと

金曜日に元気になったことで、目を使いすぎてしまったようだ。


確かに、ベッドに横になっている時間

暇になってしまうこともあるんだと思う。

目の使いすぎを止めるというより

目をつかってしまいたくなる「構造」なのかもしれない。

色々と考えたいと思う。



目を使うことを注意してくださいねと伝えると

キタムラさんは


魔の土曜日を元気に乗り越えないとですね


なんて話をしていた。

今週の土曜日は、なんとか症状が出ないことを祈る。




そんな治療途中

旦那さんから、良い話を聞いた。


「実は、肺活量が93%を超えて過去最高だったんです。ドクターも驚く内容で、看護師さんとヒソヒソ話をしていたほどです(笑)」



全ての動きを奪う難病に向かって行く

治療チームにとっては

なにより嬉しい話だった。



ー支援についてー

閲覧ありがとうございます。
この活動は「治療をギフトに」というプロジェクトです。

安心して治癒に向けて専念していただくために
治療者は一切の費用をいただかず「サポーター」の方からの寄付のみで活動を継続しております。

治療者とその施術が「ギフト」になる。
そんなプロジェクトです。

本プロジェクトではALSという難病の治療を行なっています。
徐々に身体の動きができなくなるという難病で、いまだに治療法が確立されていません。
今回、その症状に対して「東洋医学」とくに鍼灸治療で治癒を狙っていきます。

積聚(シャクジュ)治療という治療法を行なっていますが、東洋的な発想に基づいて体系化された治療で、「古傷」も含めて治療をします。過去、この治療法でALSと向き合った症例は無いのでは無いかと思います。前例が無い挑戦です。
原因不明、治療不可となっている現代医学とは違ったアプローチで、何かしらの糸口を見つけるためにも「継続的な施術」が必要になります。ご本人やご家族にしか分からない負担も多いものです。

その為ご支援くださるサポーターの皆さんから私の治療を「ギフト」として送ってください。

ご本人:受取人
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としてそれぞれの役割の中で、全員が笑顔になっていければ嬉しいです。
ただ、読み物として共感した。という思いもとても嬉しく思っています。

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(note内でのサポート機能では手数料などで引かれてしまう為、継続性が減ってしまうと判断しました)

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太鼎堂鍼灸院 髙橋洋輔(タイテイドウシンキュウイン タカハシヨウスケ)


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【全て治療費に充てます】 ここで書かれる「難病患者」さんからは治療費をいただきません。皆さんのサポートは全て治療費に充てます。全て「ギフト」になります。 この記事では治療のドラマをリアルタイムでお伝えします。 サポーターとして継続的な難病への治療の為、応援してくだされば嬉しいです