〜難病とはりきゅう〜その27「7/29第22診 葛藤」


活動を始めてから、すでに5ヶ月近く経とうとしている。

治療をギフトに出来ないかと思って模索しながら5ヶ月が経過する。



前回の状態はだいぶ落ち着いていた。



今日の状態

今日はキタムラさん、

だるいんです

とおっしゃっていた。

  


ご家族の方からもお話を伺うと

「座っていても首がもたれていってしまうんです」


見ていても、わかるくらいの変化だそうだ。



筋肉が萎縮していく難病、ALS。

難病と言われるだけあって、当たり前にあった「何か」を確実に奪っていく力が働いているように感じる。



前回の状態からみると

ムセは治まり、会話はとにかく流暢だった。

笑顔も多く、話の中で「アハっ!」と笑ったり



家族との会話の中でとても幸せそうなキタムラさんがいた。



今日も、旦那さんと娘さんがいたが

お昼も外食して来たのだそうだ。

先ほどの首のもたれは、夕方以降にくるとの事で

家族とのランチは気にせず楽しめたとのこと。



とっても美味しかったのだと言っていた。

先週から何度か外食に行って

家族で楽しんだのだという。



牛タン屋さんや、パスタ屋さん

ご自宅でも手巻き寿司を食べたりと

なんだか豪華な日々だったそう。





「それは羨ましい〜」

なんてお話をしながら

医療家としては

パスタ、たくさん食べたかったけれど右手があまり言うことを聞かなくて思ったように食べられませんでした

とも話していたキタムラさんの言葉に

「それは、体的にだいじょうぶだったかなぁ?」とも思った。



負担だったかどうかは、体を診れば分かるから

そこで判断をしていこう。



体を診ていくと


今日はとっても足が冷たかった。

もっと温かみが出ておかしくないかと思っていたが

なんだか冷たい状態で



どうも、体には負担があったようだと判断をした。



ALSという病気ではあまり消化機能には異状が出ないと言われる。

随意筋と言われる「自ら動かせる筋肉」は異状が出て

不随意筋と言われる「勝手に働いてくれる筋肉」には異状は出ない。



本当にALSの不思議なところでは有るのだが

胃腸や心臓といった「勝手に働いてくれる筋肉」は筋萎縮は起きない。

だからこそ、評価の基準にもならなかったりする。

(ちなみに、呼吸は自分で行うので「随意筋」に含まれ筋萎縮が起こる)




現代医学的には

その名「筋萎縮性側索硬化症」という通り

筋萎縮が起こる事に対して、ターゲットにしているけれど


全身を一つの命として捉えて

「生命力」という力に対して治療を行う東洋医学では


消化力が弱っても、全身に影響するし

単純な疲れによって、症状が出てくる場合も大いに考えられる。



このことからも

キタムラさんの「外食での胃腸への負担」は中々見捨てて置けないと思っていた。



今日は、力の入りづらさ(手や首の力のなさを強く感じている)の他に

・足の冷え

・お腹(胃腸)の疲れ

→今日はおへその周囲に痛みが強かった事もある

・ふくらはぎの張り

が気になった。



冷えは、最近落ち着いていたのだがまた出て来た。

点滴による影響も大いに考えられるし


負担を受けた胃腸を回復させるために

手足に向かう血液をお腹にとどめているとも考えられる。



治療自体は、いつものように背中を診て

お腹の状態に応じて治療をするのだけれど



今日は、右手の水かきへのお灸を足した。

うまくいけば、手や首の力が出てくる場所だ。

来週、しっかり診ないといけないが

今はベストな選択だったかと思う。



葛藤

そんな治療を行いながら

本当に葛藤していた。



「ご飯は胃腸への負担だから減らすように」

とか

「外食の機会を減らしましょう」

ということをしっかり伝えられるか、ということ。



確かに、体には負担があって

普段、自分の鍼灸院で行う治療であれば

間違いなく本人にもしっかりと伝えている案件であると思う。




だけれど、どうだろう?



キタムラさんにとって



外食は、家族との貴重なコミュニケーションであり

外界との接点でもある。

日頃、ベッドに寝ながら天井を見ている(顔の動作も強くないから)キタムラさんにとって


外食の時間は想像以上の素晴らしいものなのだと思う。

そこで得られる安心感や高揚感、愛などは

食事以上にキタムラさんにとって大きなプラスなのだと思う。



「体に負担だからやめましょう」



と言っていいものなのか。

外とのつながりを、断ち切っている言葉ではないのだろうか。



本当に悩んだ。



人と人とが触れる鍼灸治療とは、必ずそこに「体温」があり

その体温は、無機質なやり取りではあまり伝わっていかない。



人を元気にできるのは

いつだって、何か温かい気持ちを持って宿す「体温」であり

人とのつながりを意識できるものだと思っている。



その体温やつながりを無視して治療を進めることは

「鍼灸治療家」として正しいのだろうか?



とてつもなく悩んだ。



だが、決断し

「キタムラさん、少しの間食べ過ぎには控えてください」

とそうお伝えした。



これによって、外食も少し減ってしまう事になるかと思う。

申し訳ないことをしたと思っている。

だが、本当に目指すべきはどこか。ここには言い訳を作らずいきたい。



だからこそ、外食や負担になる食事は控えてもらう事にした。



だがしかし「体温」も忘れてはいない。


私の気持ちを悟ってか、分かってますよ先生!といわんばかりに

旦那さんや娘さんがフォローをして

暗い空気などには全くならずに、前進する一歩を踏めた。



個人での葛藤は、信頼とチームワークによって塗り替えられた。


自分1人で進むんじゃない。皆で進むんだ

自分1人で抱えているんでもない、関わらせていただいているだけだ



それを忘れていた。


一つ一つの問いから逃げず、

残したままにすると、後悔を咲かせるタネを一つずつ処理して


また、一歩ずつ進みたいと思う。





ー支援についてー

閲覧ありがとうございます。
この活動は「治療をギフトに」というプロジェクトです。

安心して治癒に向けて専念していただくために
治療者は一切の費用をいただかず「サポーター」の方からの寄付のみで活動を継続しております。

治療者とその施術が「ギフト」になる。
そんなプロジェクトです。

本プロジェクトではALSという難病の治療を行なっています。
徐々に身体の動きができなくなるという難病で、いまだに治療法が確立されていません。
今回、その症状に対して「東洋医学」とくに鍼灸治療で治癒を狙っていきます。

積聚(シャクジュ)治療という治療法を行なっていますが、東洋的な発想に基づいて体系化された治療で、「古傷」も含めて治療をします。過去、この治療法でALSと向き合った症例は無いのでは無いかと思います。前例が無い挑戦です。
原因不明、治療不可となっている現代医学とは違ったアプローチで、何かしらの糸口を見つけるためにも「継続的な施術」が必要になります。ご本人やご家族にしか分からない負担も多いものです。

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