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グラフィックデザイナーとして、デザイナーや、デザインをするいうことについて

私は15年以上、グラフィック&デジタルデザインのお仕事をしていますが、今も変わらずデザインすることが大好きです。

一般的に「デザイン」というと、主に視覚的なもの(表層的な装飾)をつくる行為のことと思われがちですが、本来の意味は、計画、企画、設計、構想、仕組み、構造といった幅広い行為まで含まれます。

実際のお仕事でも7〜8割は「調べる・考える」ことに時間は費やされ、後の2〜3割がMacで実際に「目に見えるものとして形づくる」作業に当てられます。(こっちの方がデザイナーの仕事と思っている人が多いのかなと思います)。

なので、多くの時間を割いている「調べる・考える」ために本屋さんに行ったり、美術館に行ったり、必要があれば旅に出たり、散歩をすることだって立派な「お仕事」なんだとすら思います。常に頭の中には「お題」があって、色々なものを見聞きし、体験している中で「よし!これでいける」と方向性が決まるような感じです。

なので、よくお客さんから「私にはデザインセンスないから」と言われることがあるのですが、天から降りてくる意味不明なアイデアというより、普段から色々な情報を取り入れて課題に見合った答えを的確に提案する、といった情報の選択みたいな側面も大いにあると思います。

これがベスト!と選び取るセンスという意味のセンスは必要だと思いますが、感覚的な才能よりももっと理論的で実践的。結構な時間を費やして表層下で働いているのです。言わないけれど。


そんな「考える」職業のデザイナーなのですが、デザイナーをはじめ、私は何かものをつくる人が大好きです。

なぜなら彼らはいつも好奇心いっぱいで、その視点はとても個性的で、新しい世界を見せてくれるから。

ある日、友人のデザイナーが「デザイナーでよかったよねー。だって何でも楽しいんだもん」と言った言葉が忘れられません。その時は植物の話で盛り上がったのですが、葉脈や花びらの色ひとつとっても何て美しいんだろう。。と世界の不思議に簡単に感動してしまうのです。

思えば、グラフィックデザインの修行中に先輩デザイナーから「あと0.01mm右!」と怒られたりもしたっけ、と懐かしく思ったりします。

0.01mm右に視点をずらしたら何ミリ世界は変わって見えるのだろうか?

細かい?自己満足?そんなに変わらない?どっちでもいいから早く仕上げて、そんな声も聞こえて来そうですが、私はそんなことにこだわるデザイナーという人たちが大好きなのです。


それから最近よく思うのですが、依頼があってものをつくる、という職業の人たちは「聞き上手」です。

お仕事の最初はヒアリングから始まります。伝えたいもの、届けたい人、伝え方、どこで、いつ、どんな方法で... そんなことを丁寧に聞いていきます。

経験を重ねている人ほど「聞き上手」です。言葉だけに頼ることなく、その奥にある「本当の気持ち」を汲み取ることに長けているように思います。

なので、「調べる・考える」の前に「よく聞く」が一番大切なんじゃないかなーと、気づきにアップデートがありました。

そのためには、良質な質問力も欠かせない...。

そんなことを思っていたら、またこの仕事の面白さが倍増しました。


つくること、つくる人への興味は深まるばかりです。

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