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ピーター・ドイグの作品から、物語を書いてみました。【再会の夜】

コロナ禍の影響でしばらく開催延期となっていた、東京国立近代美術館の「ピーター・ドイグ展」がようやく再開されたので、早速行ってきました!待ちに待っていた展示なので、とても嬉しかったです。

まずは、展示とピーター・ドイグについて。

イギリスが誇る現代の「画家の中の画家」、日本初個展
ピーター・ドイグ(1959-)は、ロマンティックかつミステリアスな風景を描く画家です。今日、世界で最も重要なアーティストのひとりと言われています。
彼は、ゴーギャン、ゴッホ、マティス、ムンクといった近代画家の作品の構図やモチーフ、映画のワンシーンや広告グラフィック、自らが暮らしたカナダやトリニダード・トバゴの風景など、多様なイメージを組み合わせて絵画を制作してきました。
私たちが彼の作品に不思議と魅せられるのは、どこかで見たことのあるようなイメージを用いながらも、全く見たことのない世界を見せてくれるからだと言えるでしょう。
本展は、ピーター・ドイグの初期作から最新作までを紹介する待望の日本初個展です。絵画から広がる想像の旅へみなさんをお連れします。
ピーター・ドイグとは
1959年、スコットランドのエジンバラ生まれ。カリブ海の島国トリニダード・トバゴとカナダで育ち、1990年、ロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得。1994年、ターナー賞にノミネート。2002年よりポート・オブ・スペイン(トリニダード・トバゴ)に拠点を移す。
テート(ロンドン)、パリ市立近代美術館、スコットランド国立美術館(エジンバラ)、バイエラー財団(バーゼル)、分離派会館(ウィーン)など、世界的に有名な美術館で個展を開催。
同世代、後続世代のアーティストに多大な影響を与え、過去の巨匠になぞらえて、しばしば「画家の中の画家」と評されている。

東京国立近代美術館ウェブサイトより)


説明にある通り、どこかで見たことのあるような懐かしい感覚を覚えます。けれど、ミステリアスで理解できないような部分も併せ持っているので、そのバランスにとまどい、ずっと眺めてしまいます。

また、作品がとても大きいので、それぞれの世界観に引き込まれやすいというのもあるかもしれません。


それからピーターに親近感を覚えたのは、映画のワンシーンや広告グラフィックなど、身近なイメージを組み合わせて作品を創っているという作風が、そんなに自由に「絵画」を描いていいんだ!と思ったからです。

どうしても、絵画とか画家の作品というと、ある特殊な能力を持った人のための領域という印象がありますが、ピーターのように身近なイメージを用いて作品にする、という手法が私にとっては斬新で、作家と作品を身近に感じさせてくれます。

けれど、やはり技術や視点は素晴らしく、親近感と唯一無二の才能とのバランスが、多くの人を魅了する要因のひとつかな?なんて思いました。


作品を見ていると、物語を書きたくなったので、作品解説は全く無視して、私が思い浮かんだ物語を綴っていきたいと思います(初の試み!)。

作品は有名な《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》2000-02年

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【再会の夜】Yuko
今年もこの日がやってきた。

エネルギーの木が満ちると、うっすらと黄色のミストが吐き出され、それが合図となって、深い青に包まれた北国の夜空に、オーロラが降り注ぐ。

眩い蛍光緑のゆらめきに誘われ、星たちが集まり、ちらちらと雪のように降り注ぐ。年に一度の再会の夜は、こうして宇宙の喜びと共に始まるのだ。


大地には水が湧き、小さな小舟でやってくる彼のための水の路がつくられる。私は、あちらとこちらを隔てる柵を押し開け、彼を待つ。ここでしか会うことができない、約束の場所で。


彼を待っている時、私たちの再会を記す白壁に埋め込まれた石を数えることにしている。毎年別れの時に、オーロラから降り注がれる光で色が付けられるのだ。今年は何色になるのだろう。

それにしても、何個の石があるだろうか。私たちの歴史を表す、色とりどりの美しい石たち。


星たちが湖面に降り注ぎ始めると、遥か時の彼方から彼がやってくる。太陽の輝きでできた黄金色のマントを羽織った彼と、夜の帳でできた藍の軍服を来た私の再会。

「やぁ、元気かい。今年も会えたね」

黄と藍が再会した祝福を、オーロラは一層とその緑の輝きを増して祝ってくれた。

「さて、今年はどんな話をしようか」

夜はまだ始まったばかりだ。


素晴らしい絵画やヴィジュアル作品を見た時、何かストーリー書きたいな、と思っていたので、今回は初めてのチャレンジでしたが、とても楽しかったです!

この作品に限らず、他にも想像力を掻き立ててくれるものばかりです。是非、素敵な世界を味わいに美術館に足を運んでみてください!
※2020年10月11日まで開催していますよ

「ピーター・ドイグ展」東京国立近代美術館

ほとんどの作品が撮影OKなので、少しご紹介しますね。

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