図書館の本が電子書籍に置き換わらないたった1つの理由

貸出用電子書籍はコスパが悪すぎるから。

……正直言いたいことはこれだけだがもう少し語ろう。

例えば紀伊国屋書店がやっているライブラリエの電子書籍カタログを見てみよう。

https://mirai.kinokuniya.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/LibrariE_ninkisakka.pdf

安くて1000円台後半、何千円するものもある。少なくとも紙の本の2倍以上だ。
しかも、ライブラリエの場合、大体契約期間は2年で、2年たったらまた更新しないといけない(最近は無制限のも増えているらしいが)。
と考えると、蔵書一冊取りそろえるあたりのコストは、紙の本より何倍もかかることになる。
となれば完全に電子書籍に置き換わることは困難であるし、特に規模が小さい公共図書館は、紙の本でいいや、という判断になるのだ。

しかも、電子書籍はあくまで貸与権が与えられるだけで、実際にモノをくれるというわけでもない。リサイクルもできないわけだ。
これはなんとなくの感想だけど、出版社はまさしく図書館戦争のごとく、今「反撃」の心を胸に抱いているのではないか。
新刊本を図書館がすぐに入れることを疑問視している出版社は多いと聞く(過去いろいろあった。実際に売り上げが下がるかを示した研究もある。結果は忘れたけど)。
https://www.gentosha-book.com/method/trivia/library_controversy/

ただ、新刊本が流通するならば、それを図書館が購入するのは容易だ。だからこそ対策が難しかった。しかし電子書籍ならば? 出版社側で流通をコントロールできるのだ。なるほど、これは確かにパラダイムシフトってやつかもしれん。

ただ、このままでは図書館×電子書籍の持続可能性は低いといえるだろう。明日はどっちに転ぶのだろうか。電子書籍が安くなるのか、図書費を増やして対応するのか、あるいは受け入れ冊数を絞ってでも電子書籍を続けるのか、それとも変わらず紙の本を取りそろえるのか。そこらへん教えて偉い人よ。


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