見出し画像

病気になりたくてなる人はいない… 映画『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』

病気になりたくてなる人はいない。これは幼いころから母に聞かされてきた言葉です。僕自身が国指定の難病に罹り、状態は安定していながらも通院を続けている身であることもあって、母の言葉は本当に沁みます。

画像1

今回紹介する映画『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』は、アルコール依存症となった男の物語。彼もアルコール依存症になりたくてなったわけではありません。作中でも医師が語りますが、「この病気の怖いところは他の病気と違って同情を得にくいこと」なのです。

アルコール依存症と聞くと、

なるべくしてなったのではないか
酒を飲まなければいい
意思が弱い

などの批判的な意見ばかりが出てくると思います。実のところ、私もそう思っていましたし、今でもその思いが消えたわけではないです。

でも、本作を見ると、

意志の弱い人間がなる病気で、自分には関係ないことだと言い切れなくなるのです。助けてあげたい気持ちで胸がいっぱいになります。悲しくて寂しくて辛くて苦しんでいる様子が痛いほど伝わってくるからです。

アルコール依存症になった方の死亡率は30~40%と高い。アルコールによる内臓疾患や、精神的ストレスによる自殺や事故死によるものだそうです。

その苦しみに、僕は寄り添ってあげることができるだろうか。逆に僕は誰かに寄り添ってもらえるだろうか。そう考えずにはいられません。

画像2

本作では、浅野忠信さん演じる戦場カメラマンが、酒が原因で家族と離れてしまうことになります。しかし、浅野さん独特の空気感がそうさせるのか、男が酒に溺れ、もがき、苦しむ姿は、意志が弱いの言葉で片付けられないものがあります。

アルコール依存症の怖さと、家族の愛の深さを知ることができる映画です。重めのテーマではありますが、僕の大事にしたい一本に加わりました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?