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どの道から行きますか?と質問しないプロのタクシー運転手

タクシー運転手の態度が悪いとか、女性には上から目線でタメ口を聞くとか、良くない噂ばかり聞く。

でも、先日利用したタクシーの運転手はプロだった。タクシー運転手という仕事をハックして、常にスキルを研鑽し、顧客満足にひたすら貪欲な姿勢を見せてくれた。

「どの道から行きますか?」と困る質問をしない。

個人的にこの質問をされて嬉しくなる人がいるとは思えない。早くて安い道で行ってくれに決まっているからだ。どの道から行くか指定したいなら「○○線で△△まで行ってください」と最初に言う。

そもそもタクシーに乗る人間すべてが道のことを知っているわけではない。(タクシー運転手は道のことをしっておかなくてはいけいないが。)

伝えるべきことは伝え、不安を取り除いてくれる

今回の運転手は「反対方向に走った方が早いので、この先でUターンしますね」とだけ言ってスマートに走り出す。さらに「申し訳ないですが、信号の変わる時間が早いので次の次の青信号でターンします。」とこちらが安心することはしっかりと伝えてくれる。

走行中、今回の目的地には良く行くのかと聞かれ、僕がはいと答えると、「次回からは一つ手前の駅の○○出口で乗車するともっと安く行けます」と教えてくれた。

そんなことを教えると損をするのでは?と思ったが、毎回この運転手さんに乗るわけでもなく、この人は損をしないのだと気がついた。なによりもタクシー利用者をちゃんとお客様だと思っているからこそできる発言だと感じた。

どこで降りるのがベストか提案してくれる

また、目的地に近づくころに「足は痛くないですか?少し歩けますか?」と聞いてくる。また僕がはいと答えると、目的地の正面に回るより裏口で降りると200円くらい安くなることを教えてくれた。

その裏口だと少し階段があることから、足の状態をたずね、問題ないならそこに着けようとしたのである。

だまって正面まで行ってくれても何も問題ないのに、あえて確認する。この人はプロ中のプロで間違いないと思った。

そして支払い時は僕が財布を取り出す素振りを見せないことを察したのか、カードリーダーを取り出しながら「どのサービスで支払いますか?画面タッチお願いします。」と最後までスマートだった。

興味本位でいつも何時まで働いているのか聞いてみたら「午前2時まではがんばります」と言われて、プロであっても厳しい世界なんだと思いつつ、僕が大富豪だったら専属でお願いしますと土下座したい気持ちになった。

すべてのタクシーが、今回のような運転手になればいいのにと思いながら、目的地の裏口から入ったのだった。

おしまい。

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