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心霊よりゾンビより結局は人間が1番怖い。映画『ゾディアック』

心霊とかの和風ホラー、ゾンビとかの洋風ホラー、どっちも怖いけど、結局は人間が1番怖い。

そう思わせてくれた映画が『ゾディアック』である。実話をベースに、とある連続猟奇殺人事件を追う男たちの物語だ。

「いや、何が1番怖いかは人それぞれやろ…」と言いたいかもしれないが、ちょっとだけ考えてみてほしい。

心霊とかゾンビは、日常生活には出てこない。(いる、いない、信じてる、信じてないは横に置いておく)

少なくとも自分は40年生きてきて心霊、ゾンビとリアルに関わったことは一度もない。だから、もしも遭遇したらこんな感じじゃないか?って想像しかできない。

でも、人間は違う。毎日リアルに関わってる。親父にもぶたれたことはあるし、ヤンキーにボコボコにされたこともある。その痛みをガチで味わってきてるし、思い出したくもないほど痛くて怖かった経験はありまくる。

心霊に呪われたり、祟られたりすると、なんかわからんけど苦しくなって死んじゃうみたいなのは映画で見たことあるし、そこに恐怖を感じないと言えば嘘になる。

でも、心霊の怖さは出落ちというか、出てきた瞬間がピークであとはもう「なんか怖い」しかない。

しかし人間は違う。暴力をふるわれる恐怖を本気で感じるからだ。だから「はっきり怖い」になる。

心霊が出てきて、ドアの鍵がなぜか自動でロックされるのとは違う。そんなのは「アレ?どうして鍵がかかるの?おかしいな…」みたいな思考になるけど、人間がその手でロックしてきたら絶望しかない。絶対にロックされたことが間違いないから。

想像だけの世界と、リアルを巻き込んでの世界。まるで追体験のような恐怖が本作にはある。

自分が悪くもないのに「ごめんなさい、ゆるしてください」と言ってしまいそうな、藁をもすがる気持ちで言うしかない心情にされるというか。

心霊やゾンビにあやまるやつはいない。なぜなら謝罪が通じるとは思えないから。しかし相手が人間なら通じると思ってしまう。それでも許してはくれないから、なおさら恐怖が膨れ上がるのだ。

物陰から急に飛び出してくるゾンビ。布団の中にまで入り込んでくる心霊も怖い。でも、それはリアルで包丁をもって歩いてくる人間の怖さには敵わないのだ。

決して最初から不気味なわけでもなく、超常現象がおきることもなく、淡々と物語が進むだけなのだが、『ゾディアック』には確かな怖さがある。

心霊とゾンビに少し休んでもらおうかな、と思ったときにでも見てほしい。

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