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貸したかった時の話をしようか

◯はじめに
9月も終わり、沖縄も少しづつ涼しくなってきた今月のテーマは「融資」です。ご融資したかったけど、私の力不足やお客様の協力不足もありご融資できなかったことが度々ありました。
◯◯銀行や◯◯公庫、◯◯金庫から融資を引っ張り出したい起業家やその支援者の方は是非ご一読ください。
出資は実務経験が皆無なのでまだ語れません 泣
あと、9月で28歳になりました!!
上場できたら結婚します(彼女いないけど)。
それでは行きましょう ^ ^

◯決裁クエストを理解しよう
まず初めに、「担当者を熱い想いで説得するのは無意味」という事実を肝に銘じましょう。
若かりしスティーブ・ジョブズとイーロン・マスクにお金を出せる金融機関は今日時点の沖縄には存在しません。伝説の起業家が非礼だからではなく、彼らのビジョンを上司に説明して納得させられる金融マンがいないからです(いや、いるでしょと思ったあなた!ウォルター・アイザックソンの「スティーブ・ジョブズ」と「イーロン・マスク」をまだ読んでないようですね!!)。
良くも悪くも、金融機関からお金を引っ張り出す時は「決裁」というクエストをクリアする必要があります。それはつまり、あなたは目の前の融資担当者に計画書や見積書という「アイテム」を預け、その担当者が皆さんの代わりに上司、ひいては本部や保証協会を説得するクエストをしてもらうんです。
言われてみればそうだねとなりそうですが、相談窓口で熱弁を振るうお客様は非常に多かったです。もちろんダメとは言ってません。あなたに経歴・経常利益・可処分資産・総資産利益率・繰越利益剰余金があれば想いを熱く語りましょう!
しかし、もしこれらのほとんどが欠けているのなら、クエストに送り出す融資担当に活躍してもらうべく冷静になる必要があります。
尚、相談窓口であなたが決裁権者と直接会話する可能性は限りなく0に近いです。部長や支店長がわざわざ挨拶に出てくる程の大きな会社・金額だったとしても、その案件は上位部署や役員決裁となっているはずです。あなたは担当者が欲しがるアイテムを用意し、あとは信じてクエストに送り出す宿命なんです。自らラスボスと対峙することはないと理解しましょう(むしろそれが助かる方も少なくないはず)。
実際、私も融資相談をしながら「◯◯調査役は納得するか」「◯◯課長にどう説明するか」をずっと考えていました。恐らくほとんどの金融マンがそうです。難しい案件ほど、決裁クエストの上流にいる上司の特性を無識的に考慮しているものです。
そんな人間にあなたの「夢」「希望」「情熱」を共感させるのは大変ですし、理解させてもその上司まで感動させるのは困難です。
まぁ、その担当者が脱サラして起業する時には挨拶のご連絡があるかもしれません。しかもソイツは5回くらい不在着信を残しても挨拶しようとするくらい胸を打たれている可能性はあります。

◯Start was end.
次に、「名刺を渡した瞬間に終わってることもある」という信じたくもない事実を受け入れましょう。こればかりは仕方ありません。これはクエスト云々ではなく、担当者が無能ならその時点で終わることがあるということです。もちろん、あなたが持ってきた事業計画書がクソだったという可能性も否定はできません。
経歴や業績が良ければ(or 何も取り柄が無ければ)、融資担当のスキルは結論ではなくそこに至るスピードのみに影響を及ぼしますが、そうでないほとんどの案件は担当者によって融資可否の判断が流動的なのが現実です。
金融機関はどこも「組織として判断しているので担当(or 支店)を変えても結果は同じです」というスタンスです。そのため「担当者次第」を支持する実験結果なんてありませんが(残念ながら?)これは事実です。
この影響が顕著に出るのが「創業融資」と「金融マンがPL脳」ケースだと私は考えています。

◯創業融資
創業融資は、既に事業を始めた方からの融資相談より難しいです。実績のないところから創業計画書を吟味するのは骨が折れるからです。そのため、以前リサーチした業界や自分が興味のある業界の融資相談は非常にやりやすいです。ただ、ここで言いたい「担当者次第」というのは知識とか経験ではない、言語化するのが難しい曖昧なポイントです。
そのため、ここでは私が心に残っている創業融資を例に説明します。
そのシェフは、調理師学校を卒業後、フランスや東京で約15年修行を積んできた経験豊富な方でした。
観光地ではない地域での開業でしたが、那覇市や北谷町と比較しても遜色ないほど客単価・客数が強気な内容の創業計画書でした。
しかも、コロナ禍で同地区・同業態の既存融資先が行き詰まっていたこともあり満額回答は難しい状況でした。
しかし、「この物件なら自分の城にできる」「もし事業がダメでも、いつでも料理長に戻れる」といった姿勢に私個人が惹き寄せられ、商工会や他の金融機関への協力を持ちかけ、支店長決裁のクエスト成功に向け「外堀を埋めていく」作業を丁寧に進めていきました。
マーケット調査・その地域の所得帯・店舗の立地を総合的に勘案すると(今だから言えますが)、融資のリスクは低くない案件でした。
しかし、蓋を開けると大成功。近隣では既に有名な繁盛店となっています。
これが創業融資の難しさであり面白さですが、私の事前調査が全くの的外れだったことが露呈してしまった訳です。
無能な金融マンは「事業に融資」を行い、半沢直樹は「人に融資する」違いがあるのではないかと考えています。心惹かれた自分の直感を信じ、胸を張ってご融資できるくらいの自信が欠けてた私は力不足だったと言わざるを得ません。
「この事業がうまくいかなくても、この人はどうにかして返済資金を工面してくる誠意と能力はあるか(いつでも料理長に戻れる)」、「この融資が焦げ付いても担当者として後悔しないか(この経歴と自己資金を用意してコケたら仕方ない)」まで踏まえて判断できる金融マンに名刺を渡せたらラッキーということです。
創業融資は「貸さない理由」をいくらでも引っ張ってこれますので、金融マンがクエストを面倒に感じてしまうと大きなにハンデになります。

◯PL脳を知ろう
PL脳とは文字通り、脳ミソがPLということです。BSを融資判断に有効に活かせない状態とも言えるかもしれません。
PLとBSは損益計算書と貸借対照表のことです。
え、知らない!?!?
であれば、先に進む前に少しご自身でググってみて下さい・・・。
気を取り直しまして、あなたは200万円の契約を受注した場合、どのように代金を回収しますか?
役務を全て提供してから200万円を振り込んでもらうと、お客様も振込手数料やその手間を1回で済ませられます。
しかし、トンズラや倒産する可能性も0ではありません。
一部(例えば半分とか)は先にお支払い頂く方が安心かもしれません。私はまだ創業初期なので数十万単位でも前金で50%は頂いています。しかしこれ、仕訳は「現金 / 前受金」なんですね。つまり、PLの売上高と損益には影響しないんです。経営で一番重要なキャッシュフロー(現預金増減)は改善されていても、PL上は何も動きがありません。
この様に、合理的な経営判断がPLに反映されないというケースはよくありますが、「赤字ですね」「減収ですね」という短絡的な判断で融資を断っちゃう無能な金融マンはそこそこいるようです(語尾の書き方悩んだなぁ)。
ちなみに、決算書はBSがPLの上にあるのが一般的ですが、「いつもわざわざBSをめくって先にPLから見る」という金融マンは黄信号です。融資相談における担当者チェックに是非どうぞ。3期分くらいを持っていって、どのページから見るかを確認するんです(私の決算書チェック手順は機会を見つけて投稿します)。
実は、自分が担当じゃない会社の決算書が届いた時に並び替えて担当職員に渡し、その方がどのページから見るかを遠くからチェックするのが金融マン時代の趣味でした 笑
余談として、私がBSの内容を存分に考慮してご融資できた思い出の案件がありました。
「赤字&債務超過」だけど「4期連続で売上と総資産回転率が増加」というオーナービジネス企業へのご融資です。
業務負担はご融資金額に見合ったものではありませんでしたが、「これぞ金融」という醍醐味を感じ頑張って決裁クエストを戦い抜いた案件でした。あの会社の社長には多くの刺激をもらい、今でも励みになっています。脱サラ前、ご挨拶のために何件か不在着信を残したことで今でも懇意にさせて頂いています。

◯終わりに
今月は融資について書いてみました。「貸したいのに、貸せない」ケースは担当者として精神をすり減らすこともしばしばでした。誰にもメリットがない不幸を減らしたいと思い、起業家に知っておいて欲しい情報をまとめています。
釈迦に説法で恐縮ですが、法人で税務申告がちゃんとされていないと融資相談は進められません。
税務申告書の別表と決算書(BS・PL・SS・製造業なら製造減価報告書・販管費内訳・個別注記表)、勘定科目明細、減価償却明細は提出必須で、場合によっては総勘定元帳や賃金台帳などの帳簿まで遡ります。いずれも税務署の徴求に10年間(実際は3年?)は応じる必要があるものですので、「有りません」が通用しません。ご融資はおろか、記録が残るとそれ以降のお取引にも影響が出ますので法人の税務申告だけは税理士さんにお願いすることをお勧めします。
もし資金調達について不安なことやサポートの希望がありましたらいつでもご連絡ください!^^
今年も残り3ヶ月、一緒に駆け抜けましょう!!!


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