おすすめnote詩「うさぎさん」


聖書については詳しくないけど、この詩を読んで旧約聖書の「知恵の実=りんご」を思いだした。諸説あるのだろうけれど、私はアダムとイブがりんごを食べたことにより自意識が産まれた、という説がとても腑に落ちている。

「ぼく」はりんごを齧る。そのとき自意識が産まれたはずだった。でも、彼は「何もなかったことにした」。つまり自意識が産まれたことを「知らないふりをした」。なぜなら「こどものまま大人になりたい」からだ。

最後、「ぼく」は「あなた」にりんごを渡す場面で終わる。ここでの「あなた」は誰だろう。作者にとっての誰かなのかもしれないし、読者全員に向けられてるのかもしれない。「自意識なんてもったらお終い」と言いながら、りんごを渡す主人公はなかなか手厳しい。

あるいは、この詩全体が作者の自意識から産まれた産物であって、最後は作者の「見ないふり」をされている自意識からしっぺ返しとしての贈物とも読めて、とても面白い。

大人になるということは自意識を「飼い殺し」にすることだと思っていた。でも今は「飼い慣らす」ことだと思ってる。どうだろうね。


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