グループ・アプローチで高める心理的安全性について
今回は心理的安全性について、教室という場所において「どのように具体的にアプローチをかけていくのか」という視点を明らかにしていこうかなと思います。よく心理的安全性が大切だというような意見を耳にしますが、「では実際にどうすればいいのか?」というような議論がなされずにいるのが現状だと感じています。また、今までの学級経営における内容を心理的安全性と結び付け、「これで心理的安全性が高まる」と発言している内容も多く見られます。まさしくその通りで、今までの数多くの学級経営に興味のある人たちが「当たり前のように子どもたちに向けてやってきたこと」は結果として子どもたちの心理的安全性を高めている要因になっているわけです。そのような「今まで存在していたこと」を改めて考えた結果、私はグループアプローチを通して子どもたちの「安心感」を向上させていくことが必要だと考えました。今回はその簡単な流れを紹介していこうと思います。
①安心感とは何か?
さて、子どもたちが教室内で安心感を抱く上で必要なことはどんなことでしょうか。例えば教室の環境を整えるだけで自然的に安心感は抱くことができるのでしょうか。安心感という1つの言葉でも、たくさんの意味合いを含んだものであることは間違いありません。「幸福感」が安心感につながる人もいれば「居場所感」が安心感につながる人もいるかもしれません。そのように「安心感」という一つの言葉をとってもその構成要素は数多く存在し、「どれがどれと関連するのか」を偏に解釈することはかなり難しいことです。
②安心感を子ども同士のつながりと捉える
私自身の考え方ですが、安心感とは「子ども同士のつながりの強さ」というような解釈をしています。というのも、今までの経験上、子どもたちが学級における安心感を抱きながら学校生活を送っていたと感じるような場面では必ずといっていいほど「強い子ども同士のつながり」が存在したのです。私自身は「つながる力」・「つながっているという実感」こそ子ども同士の関りの中で安心感が生まれる大きなきっかけになるのではないかと考えているわけです。この「子ども同士のつながり」という面に着目すると、では具体的にどのようにしてアプローチをかけていくのかということが重要になります。
③グループ・アプローチから行う安心感の向上
今回紹介するのは構成的グループエンカウンターというグループ・アプローチの方法です。構成的グループエンカウンター(以下SGE)とは集中的なグループ体験を指します。参加者はクライエントや患者ではなく、健常者を対象にします。つまり、治療を求めてではなく、自己啓発や自己改革を求めて参加する人が対象です。日本において國分康考・國分久子によって1970年代後半から提唱・実践されました。ふれあい(本音と本音の交流)と自他発見(自他の固有性・独自性・かけがえのなさの発見)を目標とし、個人の行動変容を目的としている。哲学では実存主義、プラグマティズム、論理実証主義を、理論的にはゲシュタルト療法をはじめとしてカウンセリングの主要理論を背景にしています・・・。
なんだか難しく感じるように思うかもしれませんが、簡単にまとめてみました。
簡単に言うと、ルールや決まりを大事にした上で、子ども同士が関わり合うエクササイズを行い、相手のことを理解したり、自分のことを理解するような流れをとるというわけです。
数あるエクササイズの中から、自分のクラスに合った内容を選択し、そしてクラスで実施していくというような流れをとります。その中で子どもたちは「つながり」を深めていくわけです。エクササイズを通して学んだことや学習したことを、自分の中に落とし込むだけでなく、他者と本音で話し合う中で他者理解にまでつながていく。このような流れこそが、子ども同士のつながりを強めていくことになるのではないか、と思うわけです。
④具体的に
では、よく使われる例として「サイコロトーク」というエクササイズが存在します。まずは学級に対してサイコロトークを行う上でのグループサイズの決定やルールの確認を行います。次にエクササイズに入るわけですが、例えば
のような形でサイコロの出目にそってグループで話を続けます。そのような交流を通して、お互いが相手のことを知る機会であったり、聴き合う関係の醸成につながるわけです。最後には必ず「シェアリング」を行います。今回のエクササイズを通してどのように感じたのか。新しい気づきや、自分の中での学びは何だったのか。そのような感情を交流していきます。その活動を通して、子どもたちは「安心感」を本当の意味で培っていくことができると思うわけです。
⑤最後に
今回は心理的安全性の中に存在する「安心感」について、グループ・アプローチという視点で考えてみました。安心感は大切というような言葉はよく耳にしますが「では具体的にどうするのか?」という視点で書かれている書物はそれほど多いわけではありません。そのような感覚に同じ思いをもっている人も多くいるのではないかと思い、今回のような記事を書かせて頂きました。今回の内容は少しでもみなさんの学級経営に役立てられれば幸いです。
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